【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症(以下「感染症」)による厳しい状況が緩和され、企業収益は一部に弱さがみられるものの、総じてみれば改善しており、個人消費及び雇用情勢に持ち直しの動きがみられました。このような状況の中で、当社は、7月に長期経営計画「Dプラン」(2022~2030年度)を策定し、「京成グループの事業エリアのみなさまとの共創、及び、日本の玄関口、成田空港の機能強化への寄与を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する」を2030年におけるグループビジョンといたしました。その第1ステップである中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)においては、「コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備する」を中期経営目標として掲げ、当社グループは諸施策を推進してまいりました。また、9月1日付で新京成電鉄株式会社を完全子会社とし、グループ経営体制の強化に努めております。以上の結果、営業収益は1,857億1千8百万円(前年同期比15.9%増)となり、営業利益は84億8千万円(前年同期は営業損失21億9千2百万円)となりました。経常利益は、203億2千2百万円(前年同期は経常損失22億5千8百万円)となり、親会社株主に帰属する四半期純利益は230億1千7百万円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失44億3千8百万円)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
(運輸業)感染症対策として、政府公表の基本的対処方針等を踏まえ、従業員のマスク着用、消毒、換気及びお客様が手を触れる箇所を中心とした鉄道・バス車両等への抗菌・抗ウイルス加工を継続して実施しております。鉄道事業では、当社及び北総鉄道株式会社において、沿線の活性化に繋がるよう成田空港線及び北総線の運賃について、10月に値下げを実施いたしました。安全輸送確保の取り組みとして、スカイライナーをはじめとした有料特急の全列車への警備員の乗車を開始いたしました。また、高架橋の耐震補強工事及び駅のバリアフリー化工事等を進めました。大規模工事については、葛飾区内の押上線連続立体化工事において、京成立石駅の仮駅舎新設工事を推進したほか、「一級河川荒川水系荒川改修事業に伴う京成本線荒川橋梁及び綾瀬川橋梁架替工事」において、準備工事に着手するなど、各種工事を推進いたしました。営業面では、11月にダイヤ改正を実施し、スカイライナーの一部列車を新たに新鎌ヶ谷駅に停車させることで、松戸・柏エリアからの成田空港へのアクセスを更に充実させたほか、昨今の生活様式の変化に伴うお客様のご利用状況を踏まえた運行体制の見直しを実施し、一部路線・時間帯においてワンマン運転を開始いたしました。また、スカイライナー車両を使用した貸切臨時列車「團十郎号」を運行したほか、「スカイライナーご利用4,000万人達成記念式典」を開催いたしました。さらに、人気タレントが演じる「京成王子」をモチーフにしたテレビCM及び特別装飾のスカイライナーをリニューアルいたしました。このほか、新京成電鉄株式会社において、開業75周年を記念して、各種施策を実施いたしました。
バス事業では、感染症の影響による需要の減少等を踏まえ、高速バス路線において運休・減便を実施しておりますが、一部路線では復便をしております。一般乗合バス路線においては、需要の変化に応じたダイヤ改正等を実施したほか、成田空港交通株式会社において、バスのデイタイムフリー乗車券とスカイライナー券等がセットになった「スカイライナー成田周遊きっぷ」を販売し、利用促進を図りました。タクシー事業では、京成タクシー船橋株式会社、京成タクシー習志野株式会社、京成タクシー市川株式会社、京成タクシーかずさ株式会社及び株式会社舞浜リゾートキャブにおいて、事前確定運賃サービスを開始し、利便性及びサービス向上に努めました。以上の結果、営業収益は1,070億8千7百万円(前年同期比22.0%増)となり、営業利益は18億4千万円(前年同期は営業損失79億2千2百万円)となりました。
(事業別内訳)
単位:百万円、%
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
増減率
鉄道事業
営 業 収 益
41,378
51,429
10,050
24.3
営 業 利 益
△3,764
654
4,418
―
バス事業
営 業 収 益
29,114
34,827
5,712
19.6
営 業 利 益
△3,025
788
3,813
―
タクシー事業
営 業 収 益
17,291
20,830
3,538
20.5
営 業 利 益
△1,133
396
1,529
―
運輸業
営 業 収 益
87,784
107,087
19,302
22.0
営 業 利 益
△7,922
1,840
9,762
―
(当社鉄道事業運輸成績表)
単位
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
増減率(%)
営業日数
日
275
275
―
―
営業キロ
キロ
152.3
152.3
―
―
客車走行キロ
千キロ
73,935
77,216
3,281
4.4
旅客人員
定期
千人
103,900
110,238
6,338
6.1
定期外
〃
66,771
78,282
11,511
17.2
計
〃
170,671
188,520
17,849
10.5
うち成田空港発着
〃
6,095
9,515
3,420
56.1
うち有料特急
〃
1,057
2,367
1,310
123.9
旅客運輸収入
定期
百万円
12,639
13,226
587
4.6
定期外
〃
17,753
24,094
6,341
35.7
計
〃
30,392
37,321
6,928
22.8
うち成田空港発着
〃
4,196
8,531
4,335
103.3
うち有料特急
〃
850
2,277
1,426
167.6
運輸雑収
〃
1,631
1,635
3
0.2
収入合計
〃
32,024
38,956
6,931
21.6
一日平均収入
〃
116
141
25
21.6
乗車効率
%
23.6
26.7
3.1pt
―
(注) 乗車効率は
延人キロ
により、算出しております。
客車走行キロ×平均定員
(流通業)ストア業では、株式会社京成ストアにおいて、店舗出荷型ネットスーパーを「リブレ京成千葉寺店」にて開始いたしました。その他流通業では、京成バラ園芸株式会社において、昨年度にオープンしたいちご狩り施設をバージョンアップし、集客に努めました。以上の結果、営業収益は377億2千2百万円(前年同期比7.6%増)となりましたが、営業損失は4億6千2百万円(前年同期は営業損失3億1百万円)となりました。
(事業別内訳)
単位:百万円、%
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
増減率
ストア業
営 業 収 益
24,024
26,061
2,037
8.5
営 業 利 益
△14
△188
△174
―
百貨店業
営 業 収 益
7,353
7,614
261
3.6
営 業 利 益
△366
△338
28
―
その他流通業
営 業 収 益
3,685
4,045
360
9.8
営 業 利 益
78
64
△14
△18.3
流通業
営 業 収 益
35,062
37,722
2,659
7.6
営 業 利 益
△301
△462
△160
―
(不動産業)不動産賃貸業では、市川市南八幡の賃貸施設を取得したほか、千葉市中央区において高齢者施設の建設工事を推進しております。不動産販売業では、中高層住宅「パークホームズ千葉」の販売及び引き渡しを行ったほか、来年度に引き渡し予定の中高層住宅「サングランデ千葉
都賀テラス」を販売いたしました。また、中高層住宅予定地として千葉市中央区の土地を取得いたしました。以上の結果、営業収益は210億9千1百万円(前年同期比6.2%増)となり、営業利益は73億9千4百万円(前年同期比12.4%増)となりました。
(事業別内訳)
単位:百万円、%
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
増減率
不動産賃貸業
営 業 収 益
14,427
16,347
1,919
13.3
営 業 利 益
6,236
7,141
904
14.5
不動産販売業
営 業 収 益
2,510
1,479
△1,031
△41.1
営 業 利 益
178
61
△116
△65.4
不動産管理業
営 業 収 益
2,929
3,264
335
11.5
営 業 利 益
162
191
28
17.4
不動産業
営 業 収 益
19,867
21,091
1,223
6.2
営 業 利 益
6,578
7,394
816
12.4
(注)京成不動産株式会社について、第1四半期連結会計期間の期首より内訳を不動産販売業から不動産賃貸業に変更しており、前第3四半期連結累計期間の数値を変更後の内訳に組み替えて比較しております。
(レジャー・サービス業)レジャー・サービス業では、京成ホテルミラマーレにおいて、京成の電車をテーマにしたコンセプトルームがご好評をいただいたことから、販売期間を延長しております。また、京成トラベルサービス株式会社において、感染症の状況を考慮した上で、京成線内を特別行路で運行する各種のイベント列車ツアー等、多様な旅行商品の企画・催行により、収益の確保に努めました。このほか、鋸山ロープウェー株式会社において、営業開始60周年を記念し、各種企画を開催いたしました。以上の結果、営業収益は91億4千1百万円(前年同期比55.5%増)となり、営業損失は7億2千万円(前年同期は営業損失12億8千9百万円、5億6千8百万円の改善)となりました。
(建設業)建設業では、鉄道施設改良工事や当社グループ外から受注している各種工事を実施いたしました。以上の結果、営業収益は194億9千9百万円(前年同期比0.8%増)となりましたが、営業利益は5億3百万円(前年同期比16.8%減)となりました。
(その他の事業)その他の事業の営業収益は64億5千2百万円(前年同期比23.5%増)となりましたが、営業利益は1億3千9百万円(前年同期比27.0%減)となりました。
(2) 財政状態の状況資産合計は、前期末比531億3千7百万円(5.9%)増の9,534億8千4百万円となりました。これは、新京成電鉄株式会社の連結子会社化等によるものです。負債合計は、前期末比337億6千7百万円(6.6%)増の5,464億9百万円となりました。これは、社債の発行等により有利子負債が増加したことによるものです。純資産合計は、前期末比193億7千万円(5.0%)増の4,070億7千5百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により「利益剰余金」が増加したことによるものです。
(3) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループでは新たに長期・中期経営計画を策定し、2022年7月29日に公表いたしました。また、これに併せて経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標を設定しております。
① 長期経営計画当社グループでは、2022~2030年度の9年間を計画期間とする、長期経営計画「Dプラン」を推進しており、2030年度における当社グループの在るべき姿を、グループビジョンとして以下の通り定めております。グループビジョン実現に向けて設定した「グループ長期経営課題」に基づき、各重点施策を実行してまいります。
[グループビジョン]京成グループの事業エリアのみなさまとの共創、及び、日本の玄関口、成田空港の機能強化への寄与を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献する。
[グループ長期経営課題]「安全・安心」を根幹の課題とした上で以下の通りとする。■ 日々の暮らし■ 観光振興■ 空港輸送■ ガバナンス■ 人材
[重点施策]◎ 安全・安心・災害対策の強化・お客様の安全を守る取り組みの強化・テクノロジーの活用
1 日々の暮らし・活力が持続するまちづくりの推進・エコロジカルなまちづくりの推進
2 観光振興・既存観光エリアの魅力向上・新たな観光資源やルートの開発
3 空港輸送・成田空港の更なる機能強化への対応・更なる利便性の追求
4 ガバナンス・環境・社会に関する情報開示の充実・健全な財務体質の維持・コーポレート・ガバナンスの強化
5 人材・ダイバーシティの推進・チャレンジする人材の育成
② 中期経営計画長期経営計画「Dプラン」の第1段階となる中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)は、「コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備する」ことを中期経営目標として掲げております。各種施策を着実に推進することで、長期経営計画に掲げる長期グループビジョンの実現に向け体制を整え、再び成長軌道へと回帰することを目指しております。
③ 目標とする経営指標中期経営計画「D1プラン」(2022~2024年度)の数値計画を以下の通り設定しております。
中期経営計画「D1プラン」2024年度計画
営業収益
3,390億円
営業利益
376億円
営業利益率
11.1%
EBITDA倍率
5.4倍
(注) EBITDA倍率=有利子負債残高÷(営業利益+減価償却費)
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題長期・中期経営計画を新たに策定したことに伴い、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題を以下の通り変更しております。
(優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題)当社グループを取り巻く事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響により、引き続き厳しい状況となっております。このような状況の中で、当社グループでは、更なる「発展」を期すとともに、事業を「力強く」また「革新的」に「日々」推進することを目指し、長期経営計画「Dプラン」及び中期経営計画「D1プラン」をスタートさせており、コロナ禍による低迷から成長軌道へと回帰するとともに、長期ビジョン実現に向けた経営推進体制を整備してまいります。グループ長期経営課題として、基本的かつ永続的ニーズである安全・安心を根幹とした上で、ビジョン実現に向けた方向性となる①日々の暮らし、②観光振興、③空港輸送、また、基盤整備として④ガバナンス、⑤人材を掲げ、京成グループの事業エリアのみなさまとの共創、及び、日本の玄関口、成田空港の機能強化への寄与を通じ、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。
(5) 研究開発活動該当事項はありません。