【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社企業グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社企業グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析の内容は次のとおりであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症における行動制限の緩和や各種政策の効果により経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られるようになったものの、ウクライナ情勢の長期化や物価高騰、急速な為替相場の変動等、依然として先行きが不透明な状況が続きました。このような状況下にあって、当社企業グループは、一部製品で物不足が継続するなか、お客様への供給責任を果たすべく、在庫確保・拡充に取り組むとともに、お客様の需要動向を的確に捉えた販売活動に注力した結果、大幅な増収を達成することができました。特に、半導体デバイス事業の伸長が全体業績に大きく貢献しました。加えて、前期に引き続き国内・海外ともに子会社が大きく伸長したことも業績に寄与しました。中長期経営計画「NEW C.C.J2200」の2年目となる当期は、来るべき未来社会に選ばれる技術商社として、ロボットビジネスを含むソリューション提案の専門営業部署が本格稼働し、技術部門と連携して営業と技術が一体で拡販活動を推進することによって、ロボットやM2M技術を活用した工場の自動化、省人化ニーズへの対応や3Dプリンターによる新しいものづくり技術の普及に努めてまいりました。また、当社企業グループの技術力を発信・披露する場として、展示会への出展に加え、自社サイトでのオンライン展示会や独自のウェビナーの開催を増加させるなど製造現場の課題解決に向けたソリューション提案によるビジネス拡大に向けて取り組んでまいりました。加えて、利益生産性の向上を図るべくOA化による業務の合理化・効率化についても推し進めてまいりました。これらの活動の成果として、当連結会計年度の業績は、売上高は初めて2,000億円を突破して2,272億66百万円(前年度比17.5%増)、営業利益103億16百万円(前年度比53.8%増)、経常利益110億1百万円(前年度比48.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は78億41百万円(前年度比52.4%増)で、すべての利益項目は、連結会計年度として過去最高を更新いたしました。
セグメント別については以下のとおりであります。
〔FAシステム事業〕売上高:1,149億17百万円(前年度比13.4%増)、営業利益:60億60百万円(前年度比47.4%増)各事業分野全般において、取扱商品の納期遅延が継続する中、グループ一丸となって商社機能を発揮し顧客需要に対応すべく努めました。FA機器分野では、半導体製造装置関連や物流関連の設備投資が好調で、プログラマブルコントローラー、インバーター及びACサーボが好調に推移するとともに、低圧配電制御機器は一部機種の納期改善もあり大幅に増加いたしました。また、産業機械分野では、補助金効果によりレーザー加工機とマシニングセンターが大幅に伸長し、産業デバイスコンポーネント分野においてもタッチパネルモニターが伸長するとともに、子会社で接続機器が大幅に増加しました。その結果、当事業全体の売上高は、前年度比13.4%の増加となりました。
〔半導体デバイス事業〕売上高:890億17百万円(前年度比24.3%増)、営業利益:40億71百万円(前年度比62.1%増)半導体デバイス事業では、半導体・デバイス製品の需要は年間を通して高水準に推移し、一部製品の確保に奔走する状況が続きました。その中でマイコン、ロジックIC及びパワー半導体が大幅に伸長しました。また、海外においても日系企業向けを中心に伸長しました。電子デバイス分野では、メモリー並びにコネクターなどの接続部品が大きく伸長し、液晶パネルは底堅い需要が継続しました。その結果、当事業全体の売上高は、前年度比24.3%の増加で、過去最高となりました。
〔施設事業〕売上高:175億47百万円(前年度比14.3%増)、営業利益:2億27百万円(前年度比42.5%増)施設事業では、空調機器関連の店舗用パッケージエアコンが卸商向けに好調に推移するとともに、低温機器が製品供給の回復から大幅な増加となりました。加えてリニューアル需要を受けて物流関連向けなどに昇降機やLED照明が好調に推移するとともに、エコキュートや電気温水器等の住設機器も大幅に伸長しました。また、データーセンター向け大型電源始め熱源設備等により大きく伸長しました。その結果、当事業全体の売上高は、前年度比14.3%の増加となりました。
〔その他〕売上高:57億84百万円(前年度比13.5%増)、営業損失:42百万円(前年度は73百万円の損失)MMS分野では、立体駐車場向け部材が増加しましたが、金属部材の価格高騰と年度前半の円安の影響もあり利益確保は厳しい状況でありました。EMS分野では、部材不足の影響を受ける中、家電向け液晶基板ビジネスが大幅に増加しました。その結果、その他事業の売上高は、前年度比13.5%の増加となりました。
上記セグメントの内、海外関連売上高については以下のとおりであります。
売上高:412億69百万円(前年度比23.8%増)海外関連売上高は、中国のロックダウンと米中貿易摩擦の長期化による影響はあるものの、海外の日系顧客向けを中心に好調な需要に支えられ、売上高が大幅に伸長し過去最高となりました。結果、海外関連売上高比率は前年から1ポイント上昇し、18.2%となりました。
連結損益計算書における売上高以外の項目ごとの分析については、以下のとおりであります。
① 売上原価、販売費及び一般管理費
売上高の増収に伴い売上原価は、前連結会計年度より288億60百万円増加し、1,963億65百万円(前期比17.2%増)となりました。また、売上高に対する売上原価の比率については、0.2ポイント減少の86.4%となっております。販売費及び一般管理費は、前連結会計年度より13億68百万円増加し、205億84百万円(前期比7.1%増)となりました。主な要因は、業績伸長による人件費や物流費の増加によるものです。
② 営業利益
営業利益は、前連結会計年度より36億6百万円増加し、103億16百万円(前期比53.8%増)となりました。売上高営業利益率は、前連結会計年度より1.1ポイント増加の4.5%となりました。
③ 営業外損益
営業外収益は、前連結会計年度より34百万円減少し、7億59百万円となりました。主な要因は、雑収入の減少によるものです。一方、営業外費用は、前連結会計年度より16百万円減少し、73百万円となりました。
④ 経常利益
経常利益は、前連結会計年度より35億89百万円増加し、110億1百万円(前期比48.4%増)となりました。売上高経常利益率は、前連結会計年度より1.0ポイント増加の4.8%となっております。
⑤ 特別損益
特別利益は、前連結会計年度より57百万円増加し、1億70百万円となりました。主な要因は、投資有価証券売却益によるものです。特別損失は、前連結会計年度より1億1百万円増加し、1億14百万円となりました。主な要因は、投資有価証券評価損によるものです。
⑥ 親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度より26億96百万円増加し、78億41百万円(前期比52.4%増)となりました。
生産、受注及び販売の状況については、以下のとおりであります。
① 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
FAシステム事業
114,917
113.4
半導体デバイス事業
89,017
124.3
施設事業
17,547
114.3
その他
5,784
113.5
合計
227,266
117.5
② 当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
FAシステム事業
101,214
112.8
半導体デバイス事業
86,621
124.9
施設事業
15,326
100.0
その他
7,300
129.4
合計
210,461
116.9
(注) 上記金額は、実際仕入額によっております。
(2) 財政状態当連結会計年度における資産合計は、前連結会計年度に比べて184億62百万円増加の1,536億35百万円となりました。この主な要因は、受取手形、売掛金及び契約資産の増加100億30百万円、商品の増加74億42百万円であります。負債合計は、前連結会計年度に比べて110億61百万円増加の689億94百万円となりました。この主な要因は、支払手形及び買掛金の増加77億90百万円、短期借入金の増加18億48百万円であります。純資産合計は、前連結会計年度に比べて74億1百万円増加の846億41百万円となりました。この主な要因は、利益剰余金の増加60億92百万円であります。
(3) キャッシュ・フロー当社企業グループの当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、105億71百万円となり前連結会計年度末より6億12百万円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、2億85百万円の支出(前連結会計年度は75億95百万円の支出)となりました。主な内容は、税金等調整前当期純利益110億58百万円、仕入債務の増加額71億70百万円などの増加と売上債権の増加額90億57百万円、棚卸資産の増加額70億9百万円などの減少であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、2億10百万円の収入(前連結会計年度は9億68百万円の支出)となりました。主な内容は、投資有価証券の償還による収入3億円などであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、88百万円の収入(前連結会計年度は7億2百万円の収入)となりました。主な内容は、短期借入金の増加による収入18億63百万円、配当金の支払額による支出17億45百万円などであります。
資本の財源及び資金の流動性について当社企業グループの運転資金需要のうち主なものは、仕入から回収までの資金立替、販売費及び一般管理費等の営業費用等で、自己資金及び金融機関からの借入金にて調達しております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社企業グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。