【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、行動制限が緩和され、経済活動および社会活動の正常化に向けた動きが見られるものの、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化、資源価格の高騰、さらには円安の進行に伴う物価の上昇などが重なり、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような環境の下で、当社グループでは中長期的な成長を目指し、既存ファンドにおいては、株式会社日本政策投資銀行及び三井住友信託銀行を中心に組成した「マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合(バイアウト1号ファンド)」において保有する株式を売却したことにより、当該ファンドに対するセイムボート投資を通じたファンド投資持分利益を計上しました。また当社子会社であるSpring Asset Management Limited及びMIBJ Consulting (Beijing) Co., Ltd.が管理運営を行う香港証券取引所に上場しているリート(不動産投資信託)であるSpring REITにおいて、中国における大規模高級商業施設の取得が完了したことにより、成功報酬を計上しました。
新規ファンドにおいては、今後高い成長が期待できる台湾のメガソーラー開発事業に参画するため、事業パートナーであるMaiora Asset Management Pte Ltdが運営する台湾のメガソーラー開発会社に対し、約10億円の投資を実行しました。更に、子会社である株式会社マーキュリアインベストメントにおいて、本邦中堅企業等の事業承継をテーマとした「マーキュリア日本産業成長支援2号投資事業有限責任組合」(バイアウト2号ファンド)を組成し、269億円にて初回クロージングを完了後、事業会社への投資を実行するとともに、航空機投資事業において、新型コロナウイルス発生後、本邦初となる航空機ファンドを組成するなど、マクロ環境に沿った投資戦略に基づく事業企画を行ってまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、営業収益4,598,442千円(前年同期比10.3%増)、経常利益2,207,508千円(前年同期比21.5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,562,581千円(前年同期比19.8%増)となりました。
なお、当社グループは投資運用事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
(単位:千円)
2021年12月期実績
2022年12月期実績
営業活動によるキャッシュ・フロー
178,603
△349,429
投資活動によるキャッシュ・フロー
227,561
△583,046
財務活動によるキャッシュ・フロー
1,345,556
△796,974
換算差額他
30,195
68,161
現金及び現金同等物の期末残高
4,604,764
2,943,477
当社グループでは2016年12月期の東京証券取引所への上場時、2017年12月期の東京証券取引所市場第一部への市場変更時及び2021年12月期に実施した新株発行による公募増資により調達した資金について、当社が運営するファンドへのセイムボート投資及び先行投資(タイミングブリッジ投資)に充当して参りました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末から1,661,288千円減少し、2,943,477千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローについては、当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は、349,429千円となりました(前期は178,603千円の獲得)。主な要因としては、税金等調整前当期純利益2,207,508千円を計上したものの、営業投資有価証券が1,873,497千円、その他流動資産が358,718千円増加したこと、及びその他流動負債138,265千円減少し、法人税等の支払額190,293千円があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローについては、当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、583,046千円となりました(前期は227,561千円の獲得)。主な要因としては、関係会社(非連結子会社)に対する貸付(520,000千円)及び投資有価証券の取得による支出(26,489千円)があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローについては、当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、796,974千円となりました(前期は1,345,556千円の獲得)。主な要因としては、配当基本方針に従い配当金の支払い(418,232千円)及び自己株式の取得による支出(360,066千円)があったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループで行う事業につきましては、投資運用事業の単一セグメントであり、生産、受注、販売実績を定義することが困難であるため、これらに代わるものとして、投資残高、営業収益及び営業総利益を記載しております。
a. 投資業務の実績
投資残高
科目
当連結会計年度末
(2022年12月31日現在)
前年同期比(%)
運用資産残高 (千円)
297,092,601
36.9
b. 営業収益及び営業総利益
① 営業収益
科目
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ファンド運用事業 (千円)
2,748,938
4.8
自己投資事業 (千円)
1,563,297
14.3
その他 (千円)
286,208
59.9
合計(千円)
4,598,442
10.3
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の営業収益及び当該営業収益の総営業収益に対する割合は次のとおりであります。
営業収益計上先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
Spring Real Estate Investment Trust
910,797
21.8
1,516,393
33.0
マーキュリア日本産業成長支援投資事業有限責任組合
779,570
18.7
873,852
19.0
SR Focus L.P.
441,267
10.6
599,960
13.0
En Fund L.P.
872,788
20.9
229,387
5.0
あすかDBJ投資事業有限責任組合
79,336
1.9
–
–
② 営業総利益
科目
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前年同期比(%)
ファンド運用事業 (千円)
2,748,938
4.8
自己投資事業 (千円)
1,359,740
62.7
その他 (千円)
286,208
59.9
合計(千円)
4,394,885
20.8
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」及び「重要な会計上の見積り」に記載のとおりでありますが、営業投資有価証券及び営業貸付金に係る重要な会計方針及び見積りが連結財務諸表に大きな影響を及ぼす場合があります。
当社グループでは、運営するファンドに対するセイムボート投資として、営業投資有価証券及び営業貸付金を保有しております。
市場価格のない株式等以外のものについては、時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理を行っております。市場価格のない株式等については、投資先の財政状態の悪化による実質価額の著しい低下の有無等により減損処理の要否を、営業貸付金については、回収可能性の判断に基づき貸倒引当金の要否を検討しております。
減損処理の要否を検討する際の投資先の実質価額の見積り、及び貸倒引当金の要否を検討する際の回収可能性の見積りについては、投資先の財政状態、損益の状況、投資時事業計画との乖離状況、将来キャッシュ・フローの状況等を勘案して、検討を行っております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響につきましては、一定期間にわたり継続し、その後収束するとの想定により、現時点においては、営業投資有価証券及び営業貸付金の評価を通した短期的な業績への影響はあるものの、長期的な業績への影響は限定的であるものと判断しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)経営成績の分析
(単位:千円)
2021年12月期
実績
2022年12月期
実績
対前期比
2022年12月期
業績予想
対業績
予想比
ファンド運用事業
2,623,645
2,748,938
105%
管理報酬
1,893,927
2,437,537
129%
成功報酬
729,718
311,401
43%
自己投資事業
1,367,307
1,563,297
114%
その他
178,974
286,208
160%
営業収益
4,169,925
4,598,442
110%
4,400,000
105%
営業原価
531,554
203,557
38%
営業総利益
3,638,371
4,394,885
121%
販売費及び一般管理費
1,875,004
2,340,031
125%
営業利益
1,763,367
2,054,854
117%
1,900,000
108%
経常利益
1,816,815
2,207,508
122%
2,100,000
105%
親会社株主に帰属する当期純利益
1,304,427
1,562,581
120%
1,450,000
108%
(営業収益)
ファンド運用事業において、バイアウト2号ファンドの組成により管理報酬が増加したこと及びSpring REITにおいて、新規物件の組入が完了したことで、成功報酬を計上したことにより、ファンド運用事業の営業収益は、2,748,938千円(前期比4.8%増)となりました。
また、自己投資事業において、バイアウト1号ファンドの保有株式売却に係るファンド持分利益の計上により、自己投資事業の営業収益は、1,563,297千円(前期比14.3%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業収益は4,598,442千円(前期比10.3%増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して465,027千円増加し、2,340,031千円(前期比24.8%増)となりました。
この結果、営業利益は前連結会計年度より291,487千円増加し2,054,854千円(前期比16.5%増)となりました。
(営業外損益)
当連結会計年度は、前連結会計年度と比較して営業外収益は74,285千円増加し170,519千円(前期比77.2%増)となりました。これは主に為替差益157,301千円の計上によるものであります。
また、営業外費用は24,921千円減少し17,866千円(前期比58.2%減)となりました。これは主に、前連結会計年度に計上しておりました株式交付費18,631千円によるものであります。
この結果、経常利益は前連結会計年度より390,693千円増加し、2,207,508千円(前期比21.5%増)となりました。
(特別損益)
当連結会計年度における特別損益の発生はありませんでした。
税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ390,693千円増加し2,207,508千円(前期比21.5%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度より258,154千円増加し1,562,581千円(前期比19.8%増)となりました。
(b)財政状態の分析
(単位:千円)
資産
2021年12月末
残高
2022年12月末
残高
2022年12月末構成比
負債/純資産
2021年12月末
残高
2022年12月末
残高
2022年12月末構成比
現金及び預金
4,674,764
3,013,477
15%
借入金
873,500
843,500
4%
営業未収入金
541,075
603,901
3%
その他負債
1,315,180
1,597,481
8%
営業投資有価証券/営業貸付金
11,143,086
14,018,292
70%
負債合計
2,188,680
2,440,981
12%
投資有価証券
280,965
307,454
2%
自己資本
15,108,362
16,627,674
83%
その他資産
1,370,236
2,039,944
10%
その他純資産
713,083
914,412
5%
資産合計
18,010,126
19,983,067
100%
純資産合計
15,821,445
17,542,086
88%
(資産)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して1,972,942千円増加して19,983,067千円となりました。
これは主に、現金及び預金が1,661,288千円、繰延税金資産が215,219千円減少した一方で、台湾のメガソーラー開発会社への投資、バイアウト1号ファンド及びバイアウト2号ファンドの出資約束金額履行及び保有有価証券に係る時価評価の影響等により、営業投資有価証券が2,816,939千円、関係会社への貸付により、関係会社短期貸付金が520,000千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末の負債総額は、前連結会計年度末と比較して252,301千円増加して2,440,981千円となりました。
これは主に、短期借入金が100,000千円、未払費用が161,837千円、未払法人税等が243,778千円、賞与引当金が33,641千円増加した一方で、未払金が330,997千円減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産額は、前連結会計年度末と比較して1,720,641千円増加して17,542,086千円となりました。
これは主に、利益剰余金が1,144,349千円、その他有価証券評価差額金が529,067千円増加したことによるものです。
(c)キャッシュ・フローの状況
第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況に記載のとおりであります。
(d)資本の財源及び資金の流動性の状況
当社グループの資金需要のうち主なものは、投資対象への自己投資資金(間接投資やファンド経由の出資となる場合を含みます)及び人件費をはじめとした販売費及び一般管理費等であります。
これらの資金需要に対応するための財源は、営業活動によるキャッシュ・フローで得られる自己資金、及び新株発行により調達した資金とすることを基本方針としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入等により調達していく考えであります。
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