【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来に関する事項には、不確実性を内在しており、あるいはリスクを含んでいるため、将来生じる実際の結果と異なる可能性を含んでおりますのでご留意ください。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、前半、国内では新型コロナウイルスの再拡大を迎えるも、後半は徐々に行動制限が緩和され経済の活動が復調の兆しを見せるものの、引き続き米国をはじめとする先進諸国の金融緩和縮小、ウクライナ情勢等を受けたエネルギー資源の高騰やインフレによる調達価格の上昇などの影響が懸念され、依然として経済活動の先行きが不透明な状況となっております。このような事業環境のもと、当社グループが属する業界は、コロナ禍においては感染症対策としてのテレワーク導入や業務のデジタルシフトへの環境整備が進み、デジタルトランスフォーメーションなどの領域においても依然と高まるサイバーセキュリティへの関心、オフィスのネットワークインフラ環境の改善で需要が高まりを見せる一方、先行き不透明な景況感の中でIT投資判断に引き続き慎重さが見られております。デジタルマーケティング関連事業においては、「顧客を増やす・育てる」を実現するデジタルマーケティングツール「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)」をサブスクリプションモデル(継続課金型)として提供し、顧客獲得数の増加とARR(年間経常収益)の増加に引き続き取り組んでおりますが、デジタルマーケティングツールの更なるプロダクト機能の充実、サービス品質の向上を実現するため、SaaSツールのメインプランの値上げを行い、また販路拡大において顧客紹介、パートナー販売の開拓にも注力しました。また、ITインフラ関連事業におきましては、中小・中堅企業の顧客基盤と強固なリレーションシップを図りつつ、オフィスに欠かせない基幹設備から事務サポートまでIT技術を手段として顧客に「解決」を提案・提供し、顧客の事業運営をより良い方向に変化させるべく、継続した生産性向上を支援してまいりました。当連結会計年度においては、ウィズコロナ、アフターコロナを意識した顧客の事業活動に動きが見られ、デジタルマーケティング関連事業及びITインフラ関連事業ともに、前年同期比較で売上高が増加いたしました。特に、ITインフラ関連事業においては、第3四半期に引き続き主要商材のMFP(複合機)とネットワーク関連機器販売が好調に推移し牽引したことで、当連結会計年度における連結営業利益も大幅に増加いたしました。
その結果、当連結会計年度における業績は、売上高は20,004,407千円(前期比24.9%増)となりました。売上原価は11,549,563千円(前期比25.9%増)となりました。これは主に、ITインフラ関連事業の事業譲受に伴う増加によるものであります。販売費及び一般管理費は6,730,743千円(前期比3.6%増)となりました。これは主に、広告投資による費用が減少した一方、ITインフラ関連事業の事業譲受による人件費などの販管費増加によるものであります。その結果、営業利益は1,724,100千円(前期比400.0%増)となりました。経常利益は、持分法適用関連会社の業績が好調に推移したことにより持分法による投資利益を計上したことなどより、1,844,375千円(前期比233.1%増)となりました。また、保有する投資有価証券の一部売却を行い売却益400,071千円を計上したことで、特別利益452,830千円(前期比40.4%減)となりました。一方で、特別損失として当第4四半期連結会計期間において、当社連結ベースで350,604千円の減損損失を計上することといたしました。デジタルマーケティング関連事業(以下「同事業」といいます)においては、2021年3月期以降、従来のフローモデル(売切り型)に代わり、顧客から一度に得られる収益は少額でもそれがストックとして継続的に積み上がっていくサブスクリプションモデル(継続課金型)にビジネスモデルを転換、経営資源を集中し、開発体制の強化とマーケティング活動への投資を行ってきたことで、着実に売上高を積み上げてまいりました。一方、2023年3月期において、従来のセールス中心の販売組織に加え、PLG戦略(「Product Led Growth:プロダクトレッドグロース」の略語で、SaaSプロダクトそのものに営業やマーケティングの機能を付け、成長を目指す考え方です。)として組織を立ち上げましたが、PLG組織にSLG組織の既存メンバーを異動したことで、SLG組織は新人比率が増加しており、この新人の教育に時間を要しつつ、PLG戦略の立ち上げにも時間を要したこと、更にSaaSツールの月次売上高は純増するも、ツールのオプション解約によりサブスクリプションモデルの売上高が鈍化したことにより、当初計画に対して遅れる結果となりました。 これらの状況を踏まえ、次期2024年3月期以降の同事業においては、引き続きサブスクリプションモデルを中心に事業展開を進め、2024年3月期のセグメント利益の黒字化を達成し、収益性向上を目指してまいります。
税金等調整前当期純利益は1,937,927千円(前期比47.5%増)となり、税効果会計適用後の法人税等負担額は725,470千円(前期比104.1%増)となりました。上記の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は1,212,456千円(前期比26.5%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<デジタルマーケティング関連事業>当連結会計年度におけるデジタルマーケティング関連事業は、以下のとおりであります。デジタルマーケティング関連事業におきましては、顧客を増やす5つの課題領域「情報発信」「集客」「顧客体験・顧客体験価値向上」「顧客育成・顧客化」「リピート・解約防止」を実現するSaaSツール群「Cloud CIRCUS(クラウドサーカス)※」を提供しております。Cloud CIRCUSは、初めてデジタルマーケティングにお取組みされる方でも、誰でも簡単にすぐ始められ使いこなせるツールとなっており、フリーミアム展開も進めております。また、Cloud CIRCUSに加えて、広告運用やサイト構築のノウハウを基に、マーケティングコンサルティングや運用のサポートも提供し、ツールと合わせて、マーケティング力の進化を統合的に支援することで、潜在的なデジタルシフトニーズに対応し、1社に複数のサービスを提供しております。当連結会計年度におきましては、2022年12月にCloud CIRCUSのメインプランの月額料金を一律20%値上げしたことによるMRRの増や、Cloud CIRCUSのクロスセルや新規受注が増加したことで、サブスクリプションモデルの売上が好調に推移したことに加え、Cloud CIRCUS関連の受託開発の受注やWeb制作も増加し、フロー型の売上も増加いたしました。
※Cloud CIRCUS
課題領域
提供ツール名
サービス内容
情報発信
ActiBook(アクティブック)
電子Book制作ソフト、動画共有
BlueMonkey(ブルーモンキー)
WebCMS&オウンドメディア構築
AppGoose(アップグース)
アプリ運用
Plusdb(プラスディービー)
データベース構築
creca(クリカ)
スマホ用ランディングページ制作
集客
―
マーケティングコンサル、広告運用コンサル
顧客体験顧客体験価値向上
COCOAR(ココアル)
AR制作ソフト
LESSAR(レッサー)
Webブラウザ用AR制作ソフト
CrowdBooth(クラウドブース)
オンライン展示会
IZANAI(イザナイ)
チャットボット
顧客育成・顧客化
BowNow(バウナウ)
マーケティングオートメーション
リピート・解約防止
Fullstar(フルスタ)
カスタマーサクセスマネジメント
その結果、デジタルマーケティング関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高3,195,829千円(前期比13.9%増)、セグメント損失(営業損失)157,757千円(前期はセグメント損失(営業損失)274,219千円)となりました。
<ITインフラ関連事業>当連結会計年度におけるITインフラ関連事業は、以下のとおりであります。当連結会計年度におきましては、かねてより進めてまいりましたM&Aによる顧客基盤の拡充に加え、顧客管理・営業管理システムを利用した顧客情報・資産情報の蓄積により、情報の見える化が実現されたことで、商材・サービスのクロスセルや適切な時期でのリプレース実施が可能になりました。更に、マーケティングによる顧客アプローチの仕組みを組織的に展開することで、和歌山コンタクトセンターやCS(Customer Success(カスタマー サクセス))からの顧客フォロー体制も整備され、アプローチ、商談・提案、受注、納品までの一連の流れを、営業担当、和歌山コンタクトセンター、CSにより、組織とシステムによる仕組みでの対応が整い、営業の回転率が向上しました。また、前期に実施した当社100%連結子会社であるスターティアリードへの事業譲受(M&A)による拠点統合及びメンテナンス人員の効率化が、生産性向上に大きく寄与いたしました。特に営業活動の中で、中小企業の情報セキュリティ対策のニーズを捉え、情報セキュリティ製品であるUTM(統合脅威管理)を中心としたネットワーク機器の導入などのソリューション案件に顧客のニーズが大幅に集中したことから、収益性の向上に寄与いたしました。更に、MFPに於いても直販及びパートナー販売が共に好調に推移したことで売上高と利益が大きく増加いたしました。
その結果、ITインフラ関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高16,807,948千円(前期比28.0%増)、セグメント利益(営業利益)1,835,622千円(前期比142.4%増)となりました。
<CVC関連事業>当連結会計年度におけるCVC関連事業は、以下のとおりであります。CVC関連事業におきましては、新規の投資実行はありませんでした。
その結果、CVC関連事業の当連結会計年度における業績は、売上高はなく、セグメント損失(営業損失)1,000千円(前期はセグメント利益(営業利益)46,529千円)となりました。
(2) 財政状態
① 流動資産当連結会計年度末の流動資産は9,896,736千円となり、前連結会計年度末と比較して2,131,148千円増加いたしました。その主な内容は、現金及び預金の増加1,813,306千円、棚卸資産の増加183,240千円、その他の増加186,061千円がありましたが、その一方で、受取手形、売掛金及び契約資産の減少36,672千円があったことなどによるものであります。
② 固定資産固定資産は3,016,143千円となり、前連結会計年度末と比較して596,942千円減少いたしました。その主な内容は、投資有価証券の減少637,288千円、ソフトウエアの減少176,243千円、のれんの減少59,135千円、工具、器具及び備品の減少16,336千円がありましたが、その一方で、繰延税金資産の増加261,951千円、差入保証金の増加30,778千円があったことなどによるものであります。
③ 流動負債流動負債は5,953,795千円となり、前連結会計年度末と比較して272,673千円減少いたしました。その主な内容は、短期借入金の減少947,000千円がありましたが、その一方で、1年内返済予定の長期借入金の増加219,712千円、未払消費税等の増加216,325千円、買掛金の増加106,643千円、未払法人税等の増加79,886千円、未払費用の増加34,968千円があったことなどによるものであります。
④ 固定負債固定負債は1,267,131千円となり、前連結会計年度末と比較して348,047千円増加いたしました。その主な内容は、長期借入金の増加336,834千円、株式給付引当金の増加22,659千円がありましたが、その一方で、繰延税金負債の減少17,012千円があったことなどによるものであります。
⑤ 純資産純資産は5,691,952千円となり、前連結会計年度末と比較して1,458,832千円増加いたしました。その主な内容は、親会社株主に帰属する当期純利益1,212,456千円による利益剰余金の増加、自己株式の処分666,504千円があった一方で、剰余金の配当135,829千円による利益剰余金の減少、持分法適用会社の減少に伴う利益剰余金の減少112,929千円、投資有価証券の時価下落等によるその他有価証券評価差額金の減少167,538千円があったことなどによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は4,868,599千円と前連結会計年度末と比較して1,813,306千円増加(前期比59.3%増)いたしました。当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
① 営業活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは1,661,684千円の収入となりました(前連結会計年度は118,772千円の支出)。その主な内容は、税金等調整前当期純利益1,937,927千円、減価償却費の計上474,794千円、減損損失の計上350,604千円があった一方で、法人税等の支払額987,071千円、投資有価証券売却益400,071千円があったことなどによるものであります。
② 投資活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは227千円の収入となりました(前連結会計年度は359,266千円の支出)。その主な内容は、投資有価証券の売却による収入494,612千円、関係会社株式の売却による収入230,000千円があった一方で、固定資産の取得による支出686,911千円、差入保証金の差入による支出61,176千円があったことなどによるものであります。
③ 財務活動によるキャッシュ・フロー当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは135,238千円の収入となりました(前期比51.1%減)。その主な内容は、短期借入れによる収入1,200,000千円、長期借入れによる収入1,500,000千円、新株予約権の行使による自己株式の処分による収入665,988千円がありましたが、その一方で、短期借入金の返済による支出2,147,000千円、長期借入金の返済による支出943,454千円、配当金の支払額135,829千円があったことなどによるものであります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(生産、受注及び販売の状況)当社グループは事業の性質上、生産・受注の実績はありません。
(1)
仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業
-
-
ITインフラ関連事業
8,301,281
115.8
CVC関連事業
-
-
その他
-
-
合計
8,301,281
115.8
(注)
金額は、仕入価格によっております。
(2)
外注実績当連結会計年度における外注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
外注高(千円)
前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業
695,137
80.9
ITインフラ関連事業
380,347
119.8
CVC関連事業
-
-
その他
-
-
合計
1,075,484
91.4
(3)
販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
デジタルマーケティング関連事業
3,195,829
113.9
ITインフラ関連事業
16,807,948
128.0
CVC関連事業
-
-
その他
-
-
合計
20,003,777
124.9
(注)
セグメント間取引については、相殺消去しております。