【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間の業績につきましては、売上高1兆2,579億円、営業損益962億円、経常損益7,392億円、親会社株主に帰属する四半期純損益は7,232億円となりました。なお、当社持分法適用会社OCEAN NETWORK EXPRESS PTE. LTD.(以下「ONE社」)の増益などにより、営業外収益で持分法による投資利益として6,076億円を計上いたしました。うち、同社からの持分法による投資利益計上額は当第3四半期連結累計期間において5,671億円となります。
当第3四半期連結累計期間の連結業績及び対前年同期比較は以下のとおりです。
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減額/増減率
売上高 (億円)
9,285
12,579
3,294 /
35.5%
営業損益 (億円)
424
962
538 /
126.9%
経常損益 (億円)
4,876
7,392
2,515 /
51.6%
親会社株主に帰属する
四半期純損益 (億円)
4,871
7,232
2,360 /
48.5%
為替レート (9ヶ月平均)
¥110.51/US$
\135.48/US$
\24.97/US$
船舶燃料油価格(9ヶ月平均)※
US$539/MT
US$787/MT
US$248/MT
※平均補油価格(全油種)
また、セグメントごとの売上高、セグメント損益(経常損益)及び概況は次のとおりです。
上段が売上高(億円)、下段がセグメント損益(経常損益)(億円)
セグメントの名称
前第3四半期連結累計期間
(自 2021年4月1日
至 2021年12月31日)
当第3四半期連結累計期間
(自 2022年4月1日
至 2022年12月31日)
増減額/増減率
ドライバルク事業
2,678
3,444
766 /
28.6%
319
523
203 /
63.9%
エネルギー事業
2,178
2,974
795 /
36.5%
182
348
165 /
90.9%
製品輸送事業
3,693
5,288
1,595 /
43.2%
4,301
6,389
2,088 /
48.6%
うち、コンテナ船事業
430
409
△20 /
△4.8%
4,146
5,662
1,516 /
36.6%
不動産事業
291
299
7 /
2.7%
89
74
△14 / △16.7%
関連事業
328
423
94 /
28.8%
△17
△4
13 /
-%
その他
114
149
34 /
30.1%
24
16
△8 / △33.0%
(注)「売上高」は外部顧客に対する売上高を表示しております。
① ドライバルク事業
ケープサイズの市況は、旺盛なインド向け石炭需要を背景に5月中旬にピークを迎えましたが、世界経済の先行き不透明感に加え、新型コロナウイルス規制の緩和・撤廃による船腹稼働率上昇に起因する船腹需給の緩みを受けて8月末までに大幅下落しました。その後、10月上旬の中国での悪天候を受け、一時的に強含みする局面がみられたものの、他の材料に乏しく上値の重い展開が続きました。パナマックスの市況は、4月以降、コロナ禍に伴う荷動き減や前述の船腹需給の緩みによる影響を受けながらも底堅く推移しましたが、7月以降は、世界経済の減速や中国向け荷動きの減少によって下落傾向が顕著となりました。10月以降も中国向け石炭・穀物の荷動きは振るわず、軟調に推移しました。
このような市況環境下ではありましたが、中長期契約の安定的な履行とオープンハッチ船やツインデッカー船において堅調な荷動きを着実に取り込んだことに加えて、当社連結子会社において、持分法適用会社GEARBULK HOLDING AGに対する貸付金について過去計上していた貸倒引当金の一部を同社財務状況改善に伴い戻し入れたため、前年同期比で増益となりました。
② エネルギー事業
<タンカー>
原油船は、船腹供給過剰により上半期は厳しい市況が続いたものの、夏場以降、ロシア・ウクライナ危機後のトレードパターン変化に伴うトンマイルの伸長や冬場の原油需要増・米国の戦略備蓄放出等を背景に、船腹需要は増え、市況は回復しました。石油製品船は、石油製品価格の高騰や製油所の定期修繕によって需要及び供給が減少し低迷する局面もありましたが、原油船同様、ロシア・ウクライナ危機を背景としたトレードパターン変化に伴うトンマイル伸長等によって、市況は高水準で推移しました。
このような市況環境の中、安定的な長期契約の履行、コスト削減に努めた結果、タンカー事業全体では前年同期比で増益となりました。
<オフショア>
FPSO事業は、既存の長期貸船契約により引き続き安定的な利益を確保する中、新規プロジェクトの稼働も寄与し、前年同期比で増益となりました。
<液化ガス>
LNG船事業は、既存の長期貸船契約により引き続き安定的な利益を確保する中、一部長期契約の満了の影響もあり、前年同期比で減益となりました。FSRU事業は、既存船が新規短期契約締結に伴い追加稼働し、前年同期比で増益となりました。
③ 製品輸送事業
<コンテナ船>
当社持分法適用会社であるONE社において、欧米におけるインフレの進展、米国での商品在庫積み上がりによる荷動き需要減退、及び港湾混雑の緩和による供給増等の影響により、8月以降、短期運賃市況は急落し、当第3四半期連結会計期間は前年同期比及び当年度第1四半期連結会計期間や第2四半期連結会計期間比で減益となりました。しかしながら、上半期における利益の積み上げもあり、当第3四半期連結累計期間では前年同期比で増益となりました。
<自動車船>
世界的な半導体不足や新型コロナウイルス感染拡大に起因する自動車部品不足等が継続しましたが、柔軟に配船計画を見直すことで前年同期を上回る輸送台数を確保した結果、前年同期比で増益となりました。
<港湾・ロジスティクス>
港湾事業は、夏場以降、北米ターミナルにおける混雑状況が緩和傾向にある中でもコンテナ取扱量は堅調に推移しました。ロジスティクス事業は、市況下落の影響を受けましたが、上半期で積み上げた利益の貢献もあり前年同期比で増益となりました。
<フェリー・内航RORO船>
旅客輸送は、全国旅行支援等による国内旅行需要の喚起、及び年末年始の帰省需要の回復を捉え、乗船客数が前年同期比で大幅に増加しました。物流においてもトラック荷動きが前年同期と同様堅調に推移し、損益を下支えした結果、フェリー・内航RORO船事業全体として前年同期比で損益改善となりました。
④ 不動産事業
当社グループの不動産事業の中核であるダイビル(株)が保有する一部オフィスビルの建替えに伴い、前年同期比で減益となったものの、安定的に利益を確保しました。
⑤ 関連事業
客船事業は、営業運航の増加により、前年同期比で損益改善となりました。曳船事業は各社各港において状況に差はあるものの、作業対象船の入出港数の増加や作業料金改定により、前年同期比で増益となりました。
⑥ その他
主にコストセンターであるその他の事業には、船舶運航業、船舶管理業、貸船業、金融業などがありますが、前年同期比で減益となりました。
(2)財政状態の状況
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ8,360億円増加し、3兆5,228億円となりました。これは主に投資有価証券が増加したことによるものです。
負債は、前連結会計年度末に比べ2,529億円増加し、1兆6,048億円となりました。これは主に短期借入金が増加したことによるものです。
純資産は、前連結会計年度末に比べ5,831億円増加し、1兆9,179億円となりました。これは主に利益剰余金が増加したことによるものです。
以上の結果、自己資本比率は前連結会計年度末に比べ、6.6ポイント上昇し、54.1%となりました。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において経営方針・経営戦略等について新たな見直し、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した、経営方針・経営戦略について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において新たに発生した優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題はありません。
(6)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費の総額は1,570百万円となっております。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発の状況に重要な変更はありません。