【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
本文の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー・食料価格の高騰や、各国の金融引き締めにより減速感が深まってまいりました。
また、わが国経済においては政府による行動制限が発出されない状況下で、非製造業で改善が見られるものの、製造業においては不安定な為替相場・原材料価格の高騰・エネルギー価格高騰が継続しており、収益の下押し要因となっております。
当社グループの主な事業領域である自動車分野は、半導体不足等供給制約の影響が長引いており、自動車生産の回復は停滞感が強まってまいりました。
また、電子情報通信分野では、デジタル社会進展によりデータセンター向け投資に旺盛な需要が続いておりましたが、9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まり、データセンター向け投資抑制の影響が継続しております。
当社グループの業績もこのような外部環境の影響を強く受け、売上高は407億98百万円(前年同四半期比15.9%増)となりました。
利益面では、鋼材値上げやエネルギー・輸送コストアップの影響があったものの、増収及び円安により営業利益は8億67百万円(同56.8%増)、為替差益の発生や受取配当金により経常利益は12億96百万円(同52.8%増)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純利益は、2022年12月16日に公表致しました連結子会社の補償費用や投資有価証券売却益を計上した結果、9億16百万円(同67.5%増)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
<日本>
電子情報通信分野でHDD用サスペンションの需要増や円安の影響から、前年同四半期の販売を大きく上回りました。
結果として、セグメント売上高は272億5百万円(前年同四半期比13.5%増)、増収及び円安影響によりセグメント利益は3億98百万円(同11.6%増)となりました。
<北米>
メキシコ子会社、米国子会社の自動車関連製品は、自動車減産の影響を受け回復が鈍化しておりますが、円安及び鋼材価格アップ分の価格転嫁により、セグメント売上高は62億66百万円(前年同四半期比22.0%増)となりました。利益面ではセグメント損失は12百万円(前年同四半期は1億36百万円のセグメント損失)となりました。
<アジア>
自動車分野は、自動車減産の影響を受け回復が鈍化しておりますが、通信関連及びプリンター関連が増加しました。
結果として、セグメント売上高は89億13百万円(前年同四半期比19.3%増)、セグメント利益は12億27百万円(同33.5%増)となりました。
製品区分別の売上業績を示すと、次のとおりであります。
(自動車分野)
[材料関連製品]
材料関連製品は、メキシコ子会社の売上が為替影響により前年同四半期から増加しました。その結果、売上高は57億46百万円(前年同四半期比12.7%増)となりました。
[自動車関連製品]
自動車関連製品は、中国のロックダウン(都市封鎖)や半導体不足等供給制約の継続による自動車生産の減産影響がありましたが、バスバー等電動化関連やLED関連製品等一部の製品で大きく増加し全体としては前年同四半期から増加しました。その結果、売上高は196億40百万円(前年同四半期比9.5%増)となりました。
(電子情報通信分野)
[HDD用サスペンション]
HDD用サスペンションは、データセンター向け投資が旺盛に推移しており高い需要が継続しておりましたが、9月以降各国の金融引き締めや地政学的リスクによる景気後退の懸念が強まり、データセンター向け投資抑制の影響が発生してまいりました。直近第3四半期連結会計期間では、前年同四半期比9.4%減となりましたが、全体としては為替レートが円安となったことも影響し、売上高は104億72百万円(前年同四半期比32.9%増)となりました。
[プリンター関連]
プリンター関連は、新型コロナウイルス感染症の影響によるリモートワークへの移行により家庭用(コンシューマ向け)の需要増加があった前年同四半期から減少が続いておりましたが、直近第3四半期連結会計期間から増加し、売上高は31億26百万円(前年同四半期比11.2%増)となりました。
[通信関連]
通信関連は、主な市場である北米・アジアにおける需要回復の影響や新規拡販により、売上高は12億61百万円(前年同四半期比46.2%増)となりました。
(その他製品)
その他製品では開発品の量産移行による製品区分の変更影響があり、売上高は5億51百万円(前年同四半期比10.4%減)となりました。
(2) 財政状態の分析
[資産]
総資産は655億42百万円(前連結会計年度末比76億10百万円増)となりました。これは主に、販売増加に伴い受取手形及び売掛金などの売上債権が5億83百万円、棚卸資産が18億28百万円、HDD用サスペンションの能増投資等により有形固定資産が17億86百万円、関係会社株式の取得等により投資有価証券が10億32百万円増加したほか、外部借入等により現金及び預金が19億97百万円増加したことによります。
[負債]
負債は262億31百万円(前連結会計年度末比54億81百万円増)となりました。これは主に、仕入の増加により支払手形及び買掛金が3億39百万円、流動負債のその他に含まれる設備投資等に係る未払金が8億88百万円増加したほか、短期借入金及び長期借入金が36億84百万円増加したことによります。
[純資産]
純資産は393億11百万円(前連結会計年度末比21億29百万円増)となりました。これは主に、利益剰余金が配当により6億68百万円、投資有価証券の売却等によりその他有価証券評価差額金が3億77百万円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が9億16百万円、為替変動により為替換算調整勘定が22億78百万円増加したことによります。
(3) 経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針
当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、8億50百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。