【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の行動制限が徐々に緩和されたことにより経済活動の正常化が進み、緩やかな持ち直しの動きが見られました。しかしながら、ウクライナ紛争の長期化、エネルギーや原材料価格の高騰、世界的なインフレ加速による景気減速の懸念等、依然として先行きは不透明な状況にあります。
このような経営環境におきまして当社は、2020-2022年度中期経営計画「IG2022」にてテーマとして掲げる4つの戦略「計測・制御・分析ソリューションにおけるNo.1を目指す」「ターゲットの明確化とマーケティングの強化」「Only One Solutionの構築」「経営基盤の盤石化」を推進してまいりました。
その結果、当事業年度における業績は、以下の通りとなりました。
売上高 319億23百万円 (前期比 8.4% 24億60百万円増)
営業利益 22億41百万円 (前期比
10.1% 2億5百万円増)
経常利益 23億57百万円 (前期比
11.8% 2億48百万円増)
当期純利益 15億49百万円 (前期比 33.5%
3億88百万円増)
また、セグメントにつきましては、当社では計測制御機器、理化学機器等の各種電子応用機器の販売と、それに付随するエンジニアリング業務などを行っているものであり、単一であります。
制御・情報機器システム(PA、FA)部門
当部門につきましては、電気・ガス・水道等のライフライン関連が引き続き堅調となり、売上高は166億13百万円(前期比6億4百万円増)となりました。
計測器(測定器、計測システム)部門
当部門につきましては、半導体不足に起因した納期遅延の影響が徐々に解消され、売上高は38億20百万円(前期比3億2百万円増)となりました。
理化学機器(ラボ分析計)部門
当部門につきましては、半導体、化学、材料関連の研究開発投資が増加し、売上高は90億39百万円(前期比11億93百万円増)となりました。
産業機器・その他部門
当部門につきましては、自動車関連企業において次世代モビリティ開発に向けた投資需要が拡大し、売上高は24億49百万円(前期比3億60百万円増)となりました。
当事業年度末の総資産は、現金及び預金、投資有価証券等が増加したことなどにより、前事業年度末に比べ31億51百万円増加し、270億69百万円(前期比13.2%増)となりました。また、負債合計は、買掛金、契約負債が増加したことなどにより、前事業年度に比べ16億37百万円増加し、118億88百万円(前期比16.0%増)となりました。純資産は、利益剰余金の増加などにより、前事業年度末に比べ15億13百万円増加し、151億80百万円(前期比11.1%増)となりました。この結果、自己資本比率は56.1%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、前事業年度末残高から10億20百万円増加し、98億89百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりとなっております。イ.営業活動によるキャッシュ・フロー
当事業年度における営業活動による資金収支は、22億95百万円の収入(前年同期比19億1百万円の収入増)となりました。これは主に、税引前当期純利益23億57百万円に加えて、仕入債務の増加などがあった一方、法人税等の支払、売上債権の増加等によるものであります。
ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー
当事業年度における投資活動による資金収支は、7億9千6百万円の支出(前年同期比1億9百万円の支出減)となりました。これは主に、無形固定資産や投資有価証券の取得などによるものであります。
ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー
当事業年度における財務活動による資金収支は、4億78百万円の支出(前年同期比48百万円の支出増)となりました。これは主に、配当金の支払などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社は、制御・情報機器システム、計測器、理化学機器等の販売と、それに付随するエンジニアリング業務などを行っているものであり、セグメントは単一であります。
したがいまして、仕入、受注および販売の実績につきましては、商品の品目別に関連付けて示しております。
a.仕入実績
当事業年度における仕入実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別
金額(千円)
対前年増減率(%)
制御・情報機器システム
10,099,163
2.8
計測器
3,206,100
13.1
理化学機器
7,392,037
20.9
産業機器・その他
1,978,999
29.3
計
22,676,301
11.7
(注)機器等の販売に付随するエンジニアリング業務の仕入高については、上記には含まれておりません。
b.受注実績
当事業年度における受注実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別
受注高(千円)
対前年増減率(%)
受注残高(千円)
対前年増減率(%)
制御・情報機器システム
17,628,193
△2.2
13,500,917
7.8
計測器
3,587,791
△12.7
895,006
△20.6
理化学機器
9,094,646
3.1
3,392,970
1.7
産業機器・その他
5,652,300
174.7
4,226,812
312.7
計
35,962,931
8.9
22,015,707
22.2
c.販売実績
当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。
品目別
金額(千円)
対前年増減率(%)
制御・情報機器システム
16,613,809
3.8
計測器
3,820,273
8.6
理化学機器
9,039,312
15.2
産業機器・その他
2,449,703
17.3
計
31,923,099
8.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、本項の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
①当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高及び売上総利益)
当事業年度は、ライフライン関連のプロジェクト案件が順調に推移したことに加え、半導体不足に起因した納期遅延の影響が徐々に解消されたこと等により、売上高は319億23百万円(前期比24億60百万円増)となりました。売上総利益は増収に伴う増加分に加え、工程管理の徹底による原価低減に努めた結果、68億99百万円(前期比4億93百万円増)となりました。
(販売費及び一般管理費)
当事業年度の販売費及び一般管理費は、46億57百万円(前期比2億88百万円増)となり、売上高に対する比率は14.6%(前期比0.2%減)となりました。
(営業利益、経常利益及び当期純利益)
上述の結果、当事業年度の営業利益は22億41百万円(前期比2億5百万円増)、経常利益は23億57百万円(前期比2億48百万円増)、当期純利益は15億49百万円(前期比3億88百万円増)となりました。
(財政状態の分析)
当事業年度末の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費を主とする販売費及び一般管理費の営業費用によるものであります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資によるものであります。当社は、その資金を自己資本及び事業活動において獲得した資金により賄っております。
当社の当事業年度末の資金残高は、98億89百万円(前期比10億20百万円増)であり、上記運転資金・設備投資資金を十分な水準で確保しており、資金の流動性の確保に特段の問題はないと考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たりまして、将来発生する事象に対しての見積もり及び仮定設定を行う必要があり、経営者は、過去の実績や状況及び現在入手可能な情報を総合的に勘案し、その時点で最も合理的と判断した見積もりや仮定を継続的に採用しております。しかしながら、これらの見積もりには不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
当社が採用している会計方針のうち、重要となる事項につきましては、「第5 経理の状況」の「重要な会計方針」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が財務諸表作成における見積もりの判断に影響を及ぼすと考えております。
(繰延税金資産)
当社は、繰延税金資産について定期的に回収可能性を検討し、回収可能性の判断においては、将来課税所得見込額と実行可能なタックス・プランニングを考慮し、将来の税金負担を軽減する効果を有すると判断した回収可能額を繰延税金資産として計上しています。将来課税所得の見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、翌事業年度以降の財務諸表において認識する繰延税金資産および法人税等調整額の金額に影響を与える可能性があります。
(工事契約に係る収益)
工事契約に係る収益には、主に制御・情報機器システム等に係る計装工事の請負が含まれ、履行義務を充足するにつれて一定の期間にわたり収益を認識しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合(インプット法)に基づいて行っております。想定していなかった原価の発生等により工事原価総額に変更があった場合には、工事進捗率が変動するため、売上高や売上原価に影響を与える可能性があります。
④経営方針、経営成績、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、株主価値増大を数値的に判断する指標として、「自己資本比率50%以上」「自己資本当期純利益率(ROE)10%以上」を目標としております。当事業年度における自己資本比率は56.1%、自己資本当期純利益率(ROE)は10.7%と目標を上回りました。