【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大を抑止するための活動制限に緩和が見られたなかで、長期化するウクライナ情勢に伴う資源価格や物価の高騰、各国の中央銀行によるインフレ抑制に向けた金融引き締め措置などにより、世界経済の先行きは不透明な状況となりました。欧州では、資源エネルギーの供給懸念や価格高騰、高インフレの長期化などを背景にした消費者マインドの低迷により景気減速の懸念が強まりました。米国では、高インフレに伴う政策金利の引き上げが景気を下押しした一方で、堅調な雇用環境を背景とした個人消費は底堅く推移しました。 中国では、ゼロコロナ政策による経済活動の散発的な制限によって個人消費の持ち直しは緩慢なものとなり、景気回復は力強さを欠きました。 日本では、資源価格の高騰や円安進行に伴う物価の上昇が個人消費を下押ししたものの、ウィズコロナの下、経済活動の正常化も進み、景気は緩やかな持ち直しの兆しを見せました。このような環境の下、自転車、釣具の需要は落ち着きを見せつつも依然として底堅く、当連結会計年度における売上高は628,909百万円(前年同期比15.1%増)、営業利益は169,158百万円(前年同期比14.1%増)、経常利益は176,568百万円(前年同期比15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は128,178百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。 自転車部品新型コロナウイルス感染拡大下における世界的な自転車への高い関心は落ち着きを見せたものの、依然として自転車の需要は新型コロナウイルスの感染拡大前を上回る水準で推移しました。完成車の市場在庫は、ハイエンドクラスは低い水準で推移した一方、エントリークラスに続いてミドルクラスの在庫レベルも高まりました。 海外市場において、欧州市場では、自転車に対する高い関心も手伝い、自転車および自転車関連商品の販売は底堅く推移しました。E-BIKEやハイエンドクラスのロードバイクを中心とした完成車在庫に品薄感があったものの、市場在庫はやや高めの水準で推移しました。 北米市場では、自転車需要は底堅かったものの、完成車の供給調整の影響により市場在庫は適正な水準より高めで推移しました。 アジア・中南米市場では、インフレ高進により消費者マインドが冷え込み、自転車への関心が沈静化したものの、中国市場においてはゼロコロナ政策下でロードバイクを中心としたサイクリングに対する関心が高まり、スポーツバイクの市場在庫は低い水準で推移しました。 日本市場においては、スポーツ自転車と電動アシストバイクに対する需要は底堅いものの、一般の完成車の市場在庫は高めの水準で推移しました。 このような市況の下、ロードバイク向け高級モデルの新製品「105」や、電動アシストスポーツバイクコンポーネントSHIMANO STEPSシリーズをはじめ、幅広い製品に対して多くのご注文を頂きました。
この結果、当セグメントの売上高は517,436百万円(前年同期比16.6%増)、営業利益は144,994百万円(前年同期比15.9%増)となりました。
釣具世界的に高まった釣りへの関心が落ち着きを見せたなかで、一部の地域で釣具に対する旺盛な需要が見られました。 日本市場においては、ファミリー層や初心者層向けの普及価格帯製品の動きは沈静化した一方で、釣りスタイルに多様化が見られ、中・高価格帯製品の販売は堅調に推移しました。 海外市場においては、北米市場では、釣具の需要は全般的に落ち着きを見せたものの、依然としてソルトウォーター向け製品の需要は底堅く、販売は堅調に推移しました。 欧州市場では、英国においてインフレ高進等の影響を受けて市場に停滞感が漂ったなかで、南欧や東欧域での販売は堅調に推移しました。 アジア市場では、釣具に対する旺盛な需要によるマーケットの伸張から販売は好調に推移しました。中国市場においては、厳しいロックダウン措置の影響がありつつも、制限解除後、釣具の需要は力強い動きを見せました。 豪州市場では、天候不順の影響はあったものの、釣具の需要は底堅く販売は堅調に推移しました。 このような市況の下、新製品のスピニングリール「MIRAVEL」を中心に市場から高い評価を受けるとともに、引き続き、スピニングリール「STELLA」や「ULTEGRA XTE」、電動リール「BEASTMASTER MD」なども好評を博しました。この結果、当セグメントの売上高は110,993百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は24,163百万円(前年同期比4.5%増)となりました。
その他当セグメントの売上高は479百万円(前年同期比7.2%増)、営業利益は1百万円(前年同期は営業利益20百万円)となりました。
財政状態は次のとおりであります。当連結会計年度末における資産合計は826,413百万円(前連結会計年度末比121,043百万円増)となりました。これは、現金及び預金が65,909百万円、商品及び製品が24,438百万円、建物及び構築物が9,490百万円、投資有価証券が5,633百万円、機械装置及び運搬具が4,302百万円それぞれ増加し、建設仮勘定が7,402百万円減少したこと等によるものです。当連結会計年度末における負債合計は85,318百万円(前連結会計年度末比3,401百万円減)となりました。これは、買掛金が3,757百万円減少したこと等によるものです。当連結会計年度末における純資産合計は741,095百万円(前連結会計年度末比124,444百万円増)となりました。これは、利益剰余金が71,877百万円、為替換算調整勘定が51,945百万円それぞれ増加したこと等によるものです。この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の87.3%から89.6%となり、1株当たり純資産は6,697円82銭から8,166円35銭となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ59,492百万円増加し、417,266百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動による資金の増加は110,684百万円となりました(前連結会計年度は112,439百万円の増加)。資金の主な収入要因は税金等調整前当期純利益174,112百万円によるものです。主な支出要因は法人税等の支払額49,445百万円、棚卸資産の増減額23,939百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動による資金の減少は33,378百万円となりました(前連結会計年度は20,129百万円の減少)。資金の主な収入要因は連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入5,307百万円によるものです。主な支出要因は有形固定資産の取得による支出20,247百万円、定期預金の預入による支出8,118百万円、無形固定資産の取得による支出7,265百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度における財務活動による資金の減少は58,422百万円となりました(前連結会計年度は58,774百万円の減少)。資金の主な支出要因は自己株式の取得による支出34,412百万円、配当金の支払額21,497百万円等によるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a. 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
自転車部品
510,472
13.9
釣具
96,169
19.8
その他
299
3.3
合計
606,941
14.8
(注) 金額は販売価格による概算値であります。
b. 受注状況当社グループは、自転車部品及び釣具については大部分を見込生産によっております。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
自転車部品
517,436
16.6
釣具
110,993
8.4
その他
479
7.2
合計
628,909
15.1
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
PAUL LANGE & CO. OHG
61,086
11.2
75,656
12.0
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、本報告書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、過去の実績や他の合理的な方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれら見積りと異なる場合があります。当社グループは、特に以下の事項が、当社グループの連結財務諸表の作成において適用される重要な判断と見積りに影響を及ぼすと考えております。
a. 固定資産の減損当社グループは、事業の区分をもとに概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位として資産のグルーピングを行い、将来キャッシュ・フローを見積もっております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損損失の算定に影響を与える可能性があります。
b. 繰延税金資産当社グループは、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し、回収見込額を計上しております。その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析(売上高)自転車部品事業では、世界的な自転車への高い関心は落ち着きを見せたものの、ロードバイク用フラッグシップモデルである「DURA-ACE」と「ULTEGRA」に加え、新製品の「105」、電動アシストスポーツバイクコンポーネントのSHIMANO STEPSシリーズを中心に、多くのご注文を頂きました。お客様からのご注文に対し、国内外の生産拠点において増産対応を進めたことにより、販売を伸ばしました。釣具事業では、世界的なアウトドアブームに支えられた釣りへの関心に落ち着きが見られた一方、海外の一部地域における旺盛な需要に牽引され、中高級品を中心として販売は堅調に推移致しました。この結果、自転車、釣具の需要は落ち着きを見せつつも依然として底堅く推移し、当連結会計年度の売上高は628,909百万円(前年同期比15.1%増)となりました。
(売上総利益)自転車部品事業、釣具事業ともに世界的な資源価格高騰の影響を受けた一方で、市場からの底堅い需要による増収効果により、当連結会計年度の売上総利益は265,645百万円(前年同期比14.8%増)となりました。売上総利益率は前連結会計年度より0.1ポイント減少し42.2%となりました。
(営業利益)自転車部品事業、釣具事業の売上高増加に伴う運送費等の比例費の増加及び新型コロナウイルス感染拡大による活動制限の緩和を受けて広告宣伝費が増加したことにより、販売費及び一般管理費が96,486百万円(前年同期比16.1%増)となりましたが、当連結会計年度の営業利益は169,158百万円(前年同期比14.1%増)となりました。営業利益率は前連結会計年度より0.2ポイント減少し26.9%となりました。
(経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益)営業外収益から営業外費用を差し引いた純額は、受取利息の増加等により7,409百万円(前年同期は4,274百万円)となり、当連結会計年度の経常利益は176,568百万円(前年同期比15.7%増)となりました。当社グループにおいて、工場の建替費用及び物流倉庫における減損損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純利益は128,178百万円(前年同期比10.6%増)となりました。
b. 財政状態の分析資産、負債及び純資産の状況については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載しております。
c. 資本の財源及び資金の流動性について当社グループの運転資金需要のうち主なものは、当社製品製造のための材料及び部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。営業費用の主なものは人件費及び広告宣伝費、販売促進費等のマーケティング費用です。当社の研究開発費は様々な営業費用の一部として計上されていますが、研究開発に携わる従業員の人件費が研究開発費の重要な部分を占めています。当社グループの運転資金および設備投資資金につきましては、一般的に、内部資金により資金調達することとしており、その健全な財務状態、営業活動によるキャッシュ・フローを生み出す能力により、当社の成長を維持するために将来必要な運転資金及び設備投資資金を調達することが可能と考えています。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当連結会計年度の達成状況は以下のとおりです。当連結会計年度の売上高は計画比38,910百万円増(6.6%増)となりました。自転車部品事業では、既存品を含む多くの製品への受注残に対して増産を進めたことから計画比で増収となりました。釣具事業では、海外の一部地域における旺盛な需要に牽引され、売上高は計画を上回りました。営業利益につきましては、増収効果による利益増により、計画比5,659百万円増(3.5%増)となりましたが、資源価格高騰の影響等により営業利益率は計画比0.8ポイント減の26.9%となりました。
指標
計画(百万円)
実績(百万円)
増減(百万円)
計画比(%)
売上高
590,000
628,909
38,909
6.6
営業利益
163,500
169,158
5,658
3.5
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