【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間(以下「当期」という。)の国内外の経済は、インフレ率の拡大に鈍化がみられたものの高い物価水準が維持されました。日本を除く主要各国ではインフレを抑制するための金融引締めが進み、これに伴う景気への悪影響が懸念されました。米連邦準備制度理事会(FRB)は6月に利上げを一時停止しましたが、年内に2回の追加利上げの実施を示唆しました。また、中央銀行であるカナダ銀行が再利上げに踏み切ったほか、欧州中央銀行やイングランド銀行も利上げ継続姿勢を示しています。
株式市場では、日経平均株価は上昇基調で推移し、当期末は前期末比で18.3%上昇し、33,189円と33年ぶりの高値となりました。特に日本銀行が植田新総裁のもと、金融緩和策の維持を決めたことから、5月以降は騰勢が強まりました。日本の株式市場改革に対する期待を背景に、海外投資家が12週連続で大幅に日本株を買い越す動きもありました。6月にはこれまでの株価の上昇ピッチが速かったことから調整局面もありましたが、短期かつ小幅にとどまりました。
一方、米国株は、政策金利引上げによる景気後退懸念が重しとなりました。しかし、金融不安が落ち着きを見せ、債務上限問題にかかるデフォルトも回避する中、NYダウ平均株価は3.4%上昇し、当期末は34,407ドルとなりました。また、NASDAQ総合指数は生成AIブームも追い風に12.8%の大幅上昇となりました。
外国為替市場では、円売りが際立ちました。ドル円相場は日米金利差の拡大や当局の金融政策スタンスの差が明確となったことを手掛かりに円安が進み、当期末は1ドル=144.99円と2022年11月以来の円安水準となりました。同様に対ユーロでも円安が進み、1ユーロ=157.60円と2008年9月以来の円安水準で終えております。
債券市場では、日本銀行が金融政策を変更するとの思惑から、日本の10年国債利回りは4月に0.32%から0.48%へ急上昇しました。しかし、4月28日の金融政策決定会合で金融緩和策が維持されたことで、落ち着きをみせました。もっともイールドカーブコントロール政策をいずれ見直すとの見方は根強く、10年国債利回りは0.395%で終えました。米国では、FRBが年内に利下げに転じるとの市場の見方の修正が余儀なくされ、短中期債中心に利回りは上昇傾向で推移しました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。
当期の業績につきましては、営業収益18億31百万円(前年同期比152.4%)、純営業収益18億17百万円(同152.8%)、営業利益6億26百万円(前年同期は営業損失37百万円)、経常利益9億76百万円(前年同期比775.9%)、親会社株主に帰属する四半期純利益10億96百万円(同445.2%)となりました。
当期における収益等の内訳は以下のとおりであります。
① 受入手数料
「受入手数料」は、6億10百万円(前年同期比136.8%)となりました。受入手数料の内訳は以下のとおりであります。
(委託手数料)
株券委託手数料は、3億54百万円(同146.8%)を計上し、これに受益証券(上場投資信託)委託手数料を加えた「委託手数料」は、3億58百万円(同143.0%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、3百万円(同85.8%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の取扱いの増加により、1億64百万円(同131.1%)となりました。
(その他の受入手数料)
主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、83百万円(同127.6%)となりました。
② トレーディング損益
株券等トレーディング損益は、48百万円の利益(前年同期は2億33百万円の損失)、債券等トレーディング損益は、9億21百万円の利益(前年同期比120.6%)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、2億1百万円の損失(前年同期は3億61百万円の損失)となりました。この結果、「トレーディング損益」は、7億69百万円の利益(前年同期比453.1%)となりました。
③ 金融収支
金融収益4億37百万円(前年同期比75.4%)から金融費用13百万円(同118.7%)を差し引いた「金融収支」は、4億24百万円(同74.5%)となりました。
④ 販売費・一般管理費
「販売費・一般管理費」は、11億91百万円(前年同期比97.0%)となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益は、投資事業組合運用益等合計で5億57百万円(前年同期比176.0%)を、一方、営業外費用は、為替差損等合計で2億8百万円(同135.6%)を計上いたしました。この結果、「営業外損益」は、3億49百万円の利益(同214.0%)となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益等合計で6億47百万円(前年同期比274.5%)を、一方、特別損失は、投資有価証券売却損で70百万円(前年同期は計上なし)を計上いたしました。この結果、「特別損益」は、5億77百万円の利益(前年同期比244.5%)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当期において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)対処すべき課題
当期において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動しますので、当社の連結経営成績についても、証券市場を通じて、それらの要因・情報からの影響を受ける度合いが高いと言えます。
したがいまして、このような環境が当社の連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)財政状態に関する分析
① 資産
当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、484億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ8億36百万円増加いたしました。これは主に現金・預金が35億59百万円減少した一方で、トレーディング商品が26億21百万円、預託金が16億15百万円増加したことによるものであります。固定資産は、267億37百万円となり、前連結会計年度末に比べ34億9百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が33億80百万円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、751億48百万円となり、前連結会計年度末に比べ42億46百万円増加いたしました。
② 負債
当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、237億9百万円となり、前連結会計年度末に比べ21億22百万円増加いたしました。これは主に短期借入金が11億円減少した一方で、預り金が29億77百万円、未払法人税等が2億78百万円増加したことによるものであります。固定負債は、25億11百万円となり、前連結会計年度末に比べ5億11百万円増加いたしました。これは主にその他の固定負債が5億7百万円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、262億34百万円となり、前連結会計年度末に比べ26億33百万円増加いたしました。
③ 純資産
当第1四半期連結会計期間末における純資産は、その他有価証券評価差額金が9億94百万円、利益剰余金が6億17百万円増加いたしました。
この結果、純資産合計は、489億13百万円となり、前連結会計年度末に比べ16億12百万円増加いたしました。
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