【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間(以下この項目において「当期」という。)の国内外において、新型コロナウイルス感染症の感染者数減少に伴い経済活動の再開が進みました。一方、高いインフレ率を抑制しようと主要各国の中央銀行が大幅利上げを繰り返したことから、多くの国で景況感が悪化傾向となりました。
金融市場では、世界景気が後退するのではとの懸念と、金融引締め局面の終了を見据えた楽観とが交錯しました。
株式市場では、日経平均株価は概ね28,500円から25,500円のレンジ相場となりました。日経平均株価は下落して始まりましたが、原油価格などの下落基調転換を背景に米連邦準備制度理事会(FRB)は2023年にも利下げに転じるとの期待から8月17日には29,222円の高値を付けました。しかし、FRB議長が早期利下げの見方を否定し、また各国中央銀行が大幅利上げを続けたことから下落に転じました。10月に入ると、FRBが年内にも利上げペースを鈍化させるとの見方が浮上し、日経平均株価は再び戻り歩調となりました。12月に入ると、FRBや欧州中央銀行が更なる利上げに積極的な姿勢を見せた上、12月20日に日本銀行が実質的な利上げを行ったことを嫌気し、日経平均株価は26,094円で当期を終えました。
外国為替市場では、10月まで世界的にドルの独歩高となりましたが、年末にかけてはドル高の修正局面となりました。ドル円相場は日米の金利差拡大や金融政策スタンスの差を手掛かりに円安が進み、10月21日には1ドル=151.93円と1990年以来、約30年ぶりの円安水準となりました。なお円安が投機的かつ急激であるとして日本国政府・日本銀行は9月と10月に24年ぶりとなる円買いドル売り介入を実施しました。その後は米欧の中央銀行が利上げ幅の縮小を模索する中でドル独歩高は転機を迎えました。ドル円は、日本銀行の政策変更と日本の金利上昇が相まって急速に円安修正圧力が高まり12月20日に1ドル=130.58円を付け、1ドル=132.70円で当期を終えました。
債券市場では、日本の10年国債利回りは概ね0.20%から0.25%のレンジで推移していましたが、12月20日に日本銀行がイールドカーブコントロール政策における10年国債利回りの誘導レンジを0プラスマイナス0.5%に拡大したことから急騰しました。12月21日には0.48%を付け、0.41%で当期を終えました。
こうした環境の中、当社は、お客さまの多様なニーズにお応えするため、「特色ある旬の商品」の提供に努めました。また、株主資本の効率的運用の観点から、積極的な財務運営も行ってまいりました。
当期の業績につきましては、営業収益32億34百万円(前年同期比62.3%)、純営業収益31億94百万円(同62.0%)、営業損失3億49百万円(前年同期は営業利益13億92百万円)、経常利益1億34百万円(前年同期比7.3%)、親会社株主に帰属する四半期純利益3億30百万円(同19.4%)となりました。
当期における収益等の内訳は次のとおりであります。
① 受入手数料
「受入手数料」は、13億41百万円(前年同期比88.3%)となりました。受入手数料の内訳は次のとおりであります。
(委託手数料)
株券委託手数料は、7億24百万円(同92.2%)を計上し、これに受益証券(上場投資信託)委託手数料を加えた「委託手数料」は、7億49百万円(同92.6%)となりました。
(引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料)
「引受け・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の手数料」は、12百万円(同42.1%)となりました。
(募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料)
「募集・売出し・特定投資家向け売付け勧誘等の取扱手数料」は、受益証券(投資信託)の取扱いの減少により、3億73百万円(同77.1%)となりました。
(その他の受入手数料)
主に受益証券(投資信託)の代行手数料からなる「その他の受入手数料」は、2億6百万円(同104.8%)となりました。
② トレーディング損益
株券等トレーディング損益は、1億81百万円の損失(前年同期は41百万円の利益)、債券等トレーディング損益は、12億13百万円の利益(前年同期比45.0%)、為替のデリバティブ取引を中心としたその他のトレーディング損益は、3億44百万円の損失(前年同期は1億13百万円の損失)となりました。この結果、「トレーディング損益」は、6億87百万円の利益(前年同期比26.2%)となりました。
③ 金融収支
金融収益11億90百万円(前年同期比116.0%)から金融費用39百万円(同114.9%)を差し引いた「金融収支」は、11億51百万円(同116.0%)となりました。
④ 販売費・一般管理費
「販売費・一般管理費」は、35億44百万円(前年同期比94.2%)となりました。
⑤ 営業外損益
営業外収益は、受取配当金等合計で6億34百万円(前年同期比123.9%)を、一方、営業外費用は、為替差損等合計で1億50百万円(同325.4%)を計上いたしました。この結果、「営業外損益」は、4億83百万円の利益(同104.0%)となりました。
⑥ 特別損益
特別利益は、投資有価証券売却益で4億6百万円(前年同期比63.1%)を、一方、特別損失は、投資有価証券売却損等合計で64百万円(同167.2%)を計上いたしました。この結果、「特別損益」は、3億42百万円の利益(同56.5%)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(3)対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)経営成績に重要な影響を与える要因及び経営戦略の現状と見通し
当社の連結営業収益は、証券市場に係る受入手数料及びトレーディング損益を柱としており、その大半が株式市場及び債券市場を源泉としております。株式・債券市場の好・不調による業績への影響を緩和するため、収益源の多様化を通じて収益の安定性確保に努めておりますが、それでもなお、業績が証券市場の動向に左右され、大きく変動する可能性があります。また、国内外の金融商品市場の急激な変動により、当社が保有している金融商品の評価損益が多額になる可能性もあります。
一般的に、証券市場や外国為替市場は、内外の政治・経済情勢、金利、企業収益等、様々な要因を反映して変動しますので、当社の連結経営成績についても、証券市場を通じて、それらの要因・情報からの影響を受ける度合いが高いと言えます。
したがいまして、このような環境が当社の連結経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)財政状態に関する分析
① 資産
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、470億72百万円となり、前連結会計年度末に比べ51億63百万円減少いたしました。これは主に、現金・預金が14億37百万円、預託金が11億62百万円、トレーディング商品が10億97百万円減少したことによるものであります。固定資産は、233億29百万円となり、前連結会計年度末に比べ37億69百万円増加いたしました。これは主に、投資有価証券が35億25百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は、704億2百万円となり、前連結会計年度末に比べ13億94百万円減少いたしました。
② 負債
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、214億16百万円となり、前連結会計年度末に比べ22億27百万円減少いたしました。これは主に、預り金が9億20百万円、短期借入金が8億50百万円、未払法人税等が3億70百万円減少したことによるものであります。固定負債は、24億94百万円となり、前連結会計年度末に比べ4億62百万円増加いたしました。これは、その他の固定負債が4億66百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、239億24百万円となり、前連結会計年度末に比べ17億65百万円減少いたしました。
③ 純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は、利益剰余金が7億85百万円減少し、その他有価証券評価差額金が11億56百万円増加いたしました。この結果、純資産合計は、464億77百万円となり、前連結会計年度末に比べ3億71百万円増加いたしました。
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