【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度における世界経済は、前期からの世界同時的な景気回復等から生じた物価上昇に加え、ウクライナ情勢の影響を受けた国際商品市況の高騰や各国での金融引き締めの進展等を背景に世界の多くの市場でインフレ懸念からの景気減速感が鮮明になりました。また、中国ではゼロコロナ政策によるロックダウンにともなうサプライチェーンの混乱等が生じましたが、期中でゼロコロナ政策は撤廃され、その後は回復傾向に向かっています。一方、わが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和されたことによる個人消費の回復が顕著となり、世界景気の悪化や物価高等を背景とした停滞感はあるものの、インバウンド需要の戻りも期待され緩やかな回復傾向となっています。
このような中、当社は、当期を初年度とする5か年計画である第8次中期経営計画「SEIKO Milestone 145 = SMILE145」をスタートさせ、新たに定めた3つの戦略ドメインである「エモーショナルバリューソリューション事業(EVS事業)」、「デバイスソリューション事業(DS事業)」、「システムソリューション事業(SS事業)」を中心に事業展開を進めました。EVS事業では、国内市場向けのウオッチ事業、和光事業が個人消費の改善を背景に大きく回復し、ウオッチ事業の海外市場向けも多くの国や地域で売上高を伸ばすことができました。DS事業は、前半は引き続き好調な需要を確実に捉えることで売上高を伸ばしましたが、第3四半期から大きく市況が悪化したことにともない、民生品向けデバイス等を中心に売上高が急減速いたしました。SS事業は多角化やストックビジネス拡大への取組みが奏功して、前年度を上回る売上高となりました。その結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は、2,605億円(前年度比9.7%増)となりました。連結全体の国内売上高は1,326億円(同6.6%増)、海外売上高は1,278億円(同13.2%増)となり、海外売上高割合は49.1%でした。当連結会計年度の広告宣伝販促費は前年度に対して約15%増加いたしました。労務費やその他の販売費および一般管理費も前年度から増加しましたが、売上高が伸びたことなどにより営業利益は前年度から24億円改善し112億円(同28.1%増)となりました。営業外収支は概ねイーブンとなり、経常利益は前年度を12億円上回る111億円(同12.4%増)となりました。固定資産売却益が特別利益として2億円発生した一方、投資有価証券売却損等による特別損失17億円が発生し、また法人税等調整額が前年度より12億円増加したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は50億円(同21.6%減)となりました。なお、当連結会計年度の平均為替レートは1米ドル135.5円、1ユーロ141.0円でした。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当社はグループ10年ビジョンの実現に向け、提供するソリューションを基準とした3つの戦略ドメイン(エモーショナルバリューソリューションドメイン、デバイスソリューションドメイン、システムソリューションドメイン)を設定し、第8次中期経営計画「SMILE145」においてもドメインごとの戦略を策定し、推進しております。これにともない、報告セグメントを従来の「ウオッチ事業」、「電子デバイス事業」、「システムソリューション事業」から3つの戦略ドメインである「エモーショナルバリューソリューション事業」、「デバイスソリューション事業」、「システムソリューション事業」へ変更しております。従来のウオッチ事業および電子デバイス事業に含めていた一部事業ならびにタイムクリエーション・和光事業他に含めていたタイムクリエーション事業・和光事業をエモーショナルバリューソリューション事業といたしました。デバイスソリューション事業は、従来の電子デバイス事業からエモーショナルバリューソリューション事業に変更した一部事業以外となります。システムソリューション事業は従来から変更はありません。
エモーショナルバリューソリューション事業(EVS事業)EVS事業の売上高は前年度比199億円増加の1,707億円(前年度比13.2%増)となりました。国内の完成品ウオッチは個人消費の回復により「グランドセイコー」、「セイコー プロスペックス」を中心に前年度から大きく売上高を伸ばしました。また海外でも、米国で「グランドセイコー」をはじめとしたグローバルブランドが牽引し大幅な売上高増となり、欧州でも全般的に「グランドセイコー」が好調に推移し、英国、フランス、ドイツ等で大きく売上高を伸ばしました。一方、中国ではロックダウンやその後の個人消費の低迷の影響を受けて売上高を落としました。ウオッチムーブメントの外販ビジネスにつきましては、円安の影響もあり売上高は増加しました。和光事業の売上高は国内高額品市場の回復にともない前年度と比べ大きく伸びましたが、国内市場向けクロック、設備時計の売上高は伸び悩みました。売上高の増加、円安の進行等により営業利益は前年度から32億円増加し115億円(同39.6%増)となりました。
デバイスソリューション事業(DS事業)DS事業は売上高645億円(前年度比5.7%増)、営業利益50億円(同10.3%減)となりました。第3四半期以降、民生品向けあるいは汎用品向けデバイスの受注に減速傾向が見られはじめたものの、医療向け電池、半導体製造装置向け高機能金属等が引き続き好調に推移しましたが、生産調整とエネルギーコストの高騰等により増収減益に留まりました。
システムソリューション事業(SS事業)SS事業の売上高は前年度比22億円増加の366億円(前年度比6.4%増)、営業利益は前年度比4億円増加の43億円(同10.7%増)となりました。外食産業向けなどにコロナ禍からの回復傾向が見られた他、性能管理・セキュリティ関連ビジネスなどデジタルインフラを支える事業が年間を通して順調に推移し、またシステム関連、決済関連も伸長した結果、28四半期連続で対前年同四半期比増収増益となりました。
(2) 財政状態(資産)当連結会計年度末の総資産は3,559億円となり、前連結会計年度末に比べて、為替による影響も含め283億円の増加となりました。流動資産では、現金及び預金が55億円、棚卸資産が107億円増加したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末より186億円増加し1,734億円となりました。固定資産では、有形固定資産が60億円、無形固定資産が6億円、投資その他の資産が30億円増加したことから、固定資産合計は前連結会計年度末と比べ97億円増加の1,825億円となりました。
(負債)負債につきましては、短期借入金が88億円、長期借入金が71億円増加したことで借入金合計は1,322億円となりました。その他、支払手形及び買掛金が22億円減少したことなどにより、負債合計は前連結会計年度末と比べ、為替による影響も含め182億円増加の2,241億円となりました。
(純資産)純資産につきましては、株主資本が24億円増加し、また、為替換算調整勘定が55億円増加したことなどから、合計でも前連結会計年度末と比べ101億円増加の1,317億円となりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度の現金及び現金同等物の期末残高は362億円となり、前連結会計年度末と比べて54億円の増加となりました。また、営業活動および投資活動によるキャッシュ・フローを合計したフリー・キャッシュ・フローは△62億円となりました。 これは主に以下の要因によるものです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益が96億円となり、減価償却費123億円を加え、棚卸資産の増減額△82億円、仕入債務の増減額△33億円等の調整を行った結果、92億円のプラス(前年度は203億円のプラス)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出△121億円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出△14億円等を計上した結果、155億円のマイナス(前年度は93億円のマイナス)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、長短借入金の返済および借入がネットで152億円、リース債務の返済による支出△18億円、配当金の支払額△25億円等があり105億円のプラス(前年度は139億円のマイナス)となりました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性当社グループの主な資金需要は、製造費用、販売費及び一般管理費等の運転資金需要、設備投資や研究開発費、ブランディング費用などの成長及び企業価値向上を目的とした投資需要であり、資金の主な源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー、有利子負債による資金調達であります。資金の流動性につきましては、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は362億円であり、将来の資金需要に対し適正な水準を確保していると認識しております。また、当社および国内の事業会社においてキャッシュ・マネジメント・システムを導入し、グループ全体の資金効率化を図っております。さらに、様々な不測の事態においても機動的かつ安定的に経常運転資金を確保するため、複数の金融機関とコミットメントライン契約を締結しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(6) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
エモーショナルバリューソリューション事業
38,306
18.4
デバイスソリューション事業
39,434
5.8
システムソリューション事業
15,412
6.6
合計
93,153
10.8
(注) 1.金額は、製造原価によって算出しております。2.連結消去後の金額で記載しております。3.前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前期比(%)
受注残高(百万円)
前期比(%)
エモーショナルバリューソリューション事業
7,511
2.1
1,759
15.2
デバイスソリューション事業
10,725
△42.9
4,518
△40.5
システムソリューション事業
19,186
13.9
2,799
△8.2
合計
37,423
△12.9
9,077
△25.4
(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。
2.前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
エモーショナルバリューソリューション事業
167,742
13.5
デバイスソリューション事業
58,428
3.1
システムソリューション事業
33,554
3.2
その他・調整額
778
111.8
合計
260,504
9.7
(注) 1.連結消去後の金額で記載しております。2.総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はないため、「主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合」の記載は行っておりません。3. 前期比は、変更後のセグメントの区分で比較しております。
