【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、資源価格上昇による部材の高騰や米国の政策金利の引き上げに起因した円安が続いた後、日米金利差の縮小により急速に円高が進むなど為替変動の影響を大きく受けました。また、入手難が続いている半導体デバイス部品は、メモリなどの一部製品では緩和の動きが見られましたが、パワー半導体などは依然として供給が逼迫しており、産業機械、自動車をはじめとする製造業は部品不足により生産活動が滞る事業環境が継続いたしました。
一方、設備投資は、先進物流施設などの建設投資、脱炭素に向けた環境対応投資が下支えとなったことにより、緩やかな持ち直しとなり、景気は緩やかな回復基調で推移いたしました。
海外においては、中国では、新型コロナウイルス対応の行動制限の緩和により、感染者数が急増し、個人消費が低迷するなど、景気に下押し圧力がかかるとともに、ウクライナ情勢など地政学リスクが、資源価格の更なる上昇を招くなど、世界経済の先行きは極めて不透明な状況が続いております。
当社グループを取り巻く環境は、デジタル化やネットワーク化が急速に進展することで、半導体デバイス品の需要は底堅いものがある一方、海外経済の減速を背景に半導体デバイス品やこれらを生産する機械装置の需要の調整圧力が一段と高まることが予想されるなど予断を許さない状態が続いております。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は456億7千3百万円、前年同期に比べて9.0%の増収、営業利益は13億2千5百万円、前年同期に比べて56.5%の増益、経常利益は14億4千2百万円、前年同期に比べて53.7%の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は、繰延税金資産の取崩しを行ったことにより8億4千万円、前年同期に比べて2.0%の減益という成績になりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(半導体デバイス事業)
・売上高
307億9千1百万円
(前年同期比14.4%増)
・営業利益
17億5千5百万円
(前年同期比44.6%増)
半導体デバイス事業においては、一部半導体デバイス部品において、製品確保が難しい状況のため、自動車や白物家電、工作機械や半導体製造装置関係をはじめとする製造業での生産制約が続いております。
このようななか、売上面は、部材供給において、逼迫した状況が続いておりますが、総体として徐々に解消する方向で進んだことと海外製メモリ等の伸長により、順調に推移いたしました。利益面は、売上面が順調であったため好調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
半導体デバイスは、自動車関連では、危険運転対策用車載機器装置向けやその他装置向けの需要が底堅く推移し、堅調に推移いたしました。
白物家電関連は、部材不足のため、空調機の生産に制約が続いていることによりインバータ用パワー半導体の売上が、減少傾向で推移いたしました。
産業機関連は、半導体製造装置向け等でアナログ、パワー半導体は、製品確保が難しい状況が続いておりますが、受注は堅調に推移いたしました。
事務機器関連は、複合機向けの受注が伸長し、海外製メモリの売上が好調に推移いたしました。
スマートフォン関連は、納入先において他社品の受入れが停滞したことに伴い、当社納入デバイス品の受注が伸長し、好調に推移いたしました。
金属材料事業は、銅建値が高値圏で推移したことにより、売上増加の要因となり、順調に推移いたしました。
IC開発は、主力客先からの各種開発、テスト案件への増員要請に対し、パートナー会社活用により、好調に推移いたしましたが、IC試作サービスの受注に苦戦したことにより、全体としては堅調に推移いたしました。
(プリント配線板事業)
・売上高
50億9千5百万円
(前年同期比0.5%減)
・営業損失
4千1百万円
(前年同期営業損失8千7百万円)
プリント配線板事業においては、中国基板メーカーと連携して行っている海外基板ビジネスは、為替が足元で円高傾向に転じたため売上面、利益面とも堅調に推移いたしました。
自社製基板ビジネスは、販売単価の見直しなどで売上面は改善いたしましたが、生産面は、電力等の燃料、資材価格の高騰によるコスト増加並びに生産設備の不具合で国内工場の生産効率が低下したこともあり、営業損失となりました。
事業の詳細は以下のとおりです。
車載向け基板は、半導体不足による自動車メーカーでの生産調整及び採用デバイスの変更に伴う設計変更等もありましたが、メタルコア基板、厚銅箔基板、特殊技術を活用したLED応用製品向けモジュール基板の受注は堅調に推移いたしました。
民生向け薄板基板は、電子精密機器の一部機種では需要が回復いたしましたが、全体としては、低調に推移いたしました。
産業機向け基板は、各種ロボット制御向けや半導体製造装置向け基板の受注が好調に推移いたしました。
海外で中国基板メーカーと連携して行っている基板ビジネスは、新規製品の立上げ並びに電子玩具向けの受注が伸長したとともに為替が足元で円高傾向に転じたため、商談案件が増加傾向となり、堅調に推移いたしました。
(産業機器システム事業)
・売上高
67億8百万円
(前年同期比6.7%減)
・営業利益
5億2千3百万円
(前年同期比7.6%減)
産業機器システム事業においては、部材不足による納期長期化が続くなか、半導体市況の需要減少による設備投資への慎重さが見られるものの、機器製品、空調冷熱等の需要増により、総じて堅調に推移いたしました。
事業の詳細は以下のとおりです。
産業メカトロニクスは、主要客先からの加工装置・自動化システムの大型設備案件の需要に慎重さが見られましたが、堅調に推移いたしました。
FA機器は、製品構成部材の材料不足により製品確保が難しい状況が続いておりますが、半導体製造装置関連向けの需要伸長により、好調に推移いたしました。
施設向け設備は、空調冷熱では、北海道、東北地区からの受注が順調に推移いたしました。
3Dプリンタは、装置本体の受注に苦戦し、低調に推移いたしました。
制御装置は、物流市場におけるコスト増加等による設備投資抑制傾向もあり、物流倉庫向け搬送ロボット案件の受注に苦戦し、低調に推移いたしました。
(システム開発事業)
・売上高
27億6千8百万円
(前年同期比8.2%増)
・営業利益
2億1千1百万円
(前年同期比28.7%減)
システム開発事業においては、売上面は、電力関連向け受託開発やビジネス系ソリューションが順調に推移いたしました。利益面は人件費増加などもあり、やや低調に推移いたしました。
なお、システム開発事業では、9月及び3月に売上高及び利益の計上が集中する傾向にあります。これは従来からの業界傾向であります。
事業の詳細は以下のとおりです。
受託開発では、電力関連向けにおいては、新規案件、既存システム保守・改良案件により、順調に推移いたしました。また、鉄道関連向けをはじめとするその他向けも要員確保に苦戦しましたが、堅調に推移いたしました。
受注ソリューションでは、受注面は堅調に推移いたしました。
ビジネス系ソリューションでは、既存顧客からのリプレース案件もあり、売上面、利益面ともに好調に推移いたしました。
建設関連では、ソリューション案件は、大型案件の受注により、総じて順調に推移いたしました。また、パッケージ販売は、BIM対応の建築積算パッケージの販売が堅調に推移いたしました。
(その他)
・売上高
4億7千万円
(前年同期比34.1%増)
・営業利益
6千2百万円
(前年同期比228.9%増)
協栄マリンテクノロジ株式会社が行う、救命設備の販売・整備事業は、船舶用、航空機用救命具の整備受注が好調に推移するとともに、救命設備の販売も伸長し、好調に推移いたしました。
②財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べて35億7千4百万円増加し、399億2千2百万円となりました。
・流動資産は、現金及び預金23億7千3百万円の増加、商品及び製品11億4千1百万円の増加等により、36億7百万円増加し、328億9千7百万円となりました。
・固定資産は、投資有価証券2億5千4百万円の減少、有形固定資産1億2千6百万円の増加等により、3千2百万円減少し、70億2千5百万円となりました。
・流動負債は、支払手形及び買掛金21億5千7百万円の増加、短期借入金11億9千2百万円の増加、1年内返済予定の長期借入金10億2千6百万円の減少、未払法人税等6億5千1百万円の減少等により、17億7千7百万円増加し、192億6千1百万円となりました。
・固定負債は、長期借入金8億5千1百万円の増加等により、11億5千9百万円増加し、50億5千8百万円となりました。
この結果、純資産は、6億3千8百万円増加し、156億3百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末の41.2%から2.1ポイント減少し、39.1%となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当社グループにおける当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は、1千7百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)生産、受注及び販売の実績
当第3四半期連結累計期間において、プリント配線板事業の受注実績が著しく減少しております。
これは、2021年9月に相模原事業所が閉鎖したことに加えて、民生向け薄板基板において一部機種を除いて需要低下が継続したこと等によるもので、受注高が19億4千万円(前年同期比48.5%減)、生産高が46億3千1百万円(前年同期比5.4%減)となっております。