【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
① 業績
当連結会計年度の当社グループを取り巻く経営環境は、新型コロナウイルス感染症の世界経済への影響が縮小しつつあるものの、中国上海ではロックダウンによって2ヵ月間経済活動が停滞するなど、当連結会計年度においてもその影響は大きなものでした。加えて、銅などの原材料価格の高騰による影響、またロシア・ウクライナ情勢によって原油高や物価高が進み経済環境の不安定な状況が続いております。
こうした中、当社グループは、光製品や電子機器の新製品普及活動、AVコンソール製品などの販促活動を積極的に行うとともに、ITネットワーク関連製品など新規製品の開発活動に取り組んでまいりました。
その結果、国内では予定されておりました地方放送局新社屋への納入が進むなど、増収となりました。海外では、中国で減収となったものの米国・韓国の業績好転や円安の為替影響もあって全体では増収増益になりました。
以上により、連結売上高11,167百万円(前連結会計年度比11.3%増)、営業利益1,177百万円(前連結会計年度比16.6%増)、経常利益1,260百万円(前連結会計年度比17.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益868
百万円(前連結会計年度比27.5%増)となりました。
なお、当社グループの報告セグメントは所在地別の業績を基にしたものであり、その主な概要は次のとおりです。
(日 本)
日本市場は、売上げは回復基調となり、放送市場で地方放送局の新社屋建設、制作関連の設備更新向け納入も継続しており、電設市場でも大型物件は減少したものの公営競技場更新物件、スタジアムやアリーナ物件に納入して、売上高は5,990百万円(前連結会計年度比8.0%増)となりました。セグメント利益も増収に伴い638百万円(前連結会計年度比25.3%増)となりました。
(米 国)
米国市場は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に軽減するなか、継続して物流混乱の影響を受けておりますが、放送市場において番組制作の4K対応に向けた更新需要増加に伴い現地ディーラ向け納入が堅調で、売上高は1,320百万円(前連結会計年度比38.3%増)、セグメント利益も増収に伴い117百万円(前連結会計年度比102.2%増)となりました。
(韓 国)
韓国市場は、新型コロナウイルス感染症の影響が軽減し、電設市場向けの納入が堅調でした。また、遅延しておりました放送市場の4K対応に向けた更新物件が始まっており、売上高は1,014百万円(前連結会計年度比20.9%増)となりました。セグメント利益は、増収に伴い146百万円(前連結会計年度比141.7%増)となりました。
(中 国)
中国市場は、新型コロナウイルス感染症のゼロコロナ政策による景気減速の影響を受け、計画されていたプロジェクトの延期が増加し、売上高は1,349百万円(前連結会計年度比16.9%減)となりました。セグメント利益も減収に伴い201百万円(前連結会計年度比33.4%減)となりました。
(シンガポール)
東南アジア市場は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に軽減して、遅延していた物件の再開によるシステムインテグレータやディーラ向け納入が堅調で、売上高は500百万円(前連結会計年度比32.4%増)となりました。セグメント利益も増収に伴い81百万円(前連結会計年度比81.0%増)となりました。
② キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、税金等調整前当期純利益1,260百万円計上し、現金及び現金同等物に係る換算差額140百万円などの増加要因があったものの、売上債権の増加120百万円、棚卸資産の増加285百万円、法人税等の支払い350百万円、有形固定資産の取得による支出929百万円、配当金支払い215百万円などの減少要因があったため、前連結会計年度末に比して227百万円減の8,569百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
売上債権の増加120百万円、棚卸資産の増加285百万円や法人税等の支払い350百万円等の支出があったものの、税金等調整前当期純利益1,260百万円の計上に加え、減価償却費204百万円などの現金及び現金同等物増加要因があり、835百万円の収入超となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得929百万円を主因に913百万円の支出超となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
配当金の支払い215百万円を主因に290百万円の支出超となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前連結会計年度比(%)
日本(千円)
2,125,578
110.4
中国(千円)
731,574
86.6
合計(千円)
2,857,153
103.1
(注)1.上記の金額は生産子会社の製品販売価格によっております。
2.当社グループは、日本及び中国で生産を行っております。
b. 受注実績
当社及び連結子会社は見込み生産を行っているため、該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
前連結会計年度比(%)
日本(千円)
5,990,566
108.0
米国(千円)
1,320,587
138.3
韓国(千円)
1,014,954
120.9
中国(千円)
1,349,092
83.1
台湾(千円)
145,517
152.6
シンガポール(千円)
500,605
132.4
インド(千円)
100,179
147.1
欧州(千円)
552,683
141.9
中東(千円)
193,450
140.5
合計(千円)
11,167,637
111.3
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年3月20日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、当連結会計年度末における資産・負債及び当該連結会計期間の収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を行っております。
ただし、過去の実績や状況に応じ合理的と判断される要因に基づき見積り、仮定を行っておりますが、実際の結果はこれらの見積り、仮定と異なる場合があります。
当社グループは、特に次の重要な会計方針の適用により見積りや仮定が連結財務諸表に影響を与えると考えております。
a.貸倒引当金
当社グループは、顧客の支払不能時に発生する損失の見積額について貸倒引当金を計上しておりますが、支払不能となった顧客が増加する等により追加引当が必要になる可能性があります。
b.賞与引当金
当社グループは、従業員へ支払う賞与につきまして、過去の実績と会社の方針を参考にして見積り金額で計上しておりますが、支給額の増加により追加引当が必要になる可能性があります。
c.棚卸資産
当社グループは、販売不能と見込まれるたな卸資産につきましては、評価減を実施しておりますが、予期せぬ不良、仕様変更によりいっそうの評価減が必要になる可能性があります。
d.固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損会計を適用しておりますが、将来キャッシュ・フローの見積額に修正が生じた場合において、当該固定資産に対して減損損失を認識する可能性があります。
e.投資有価証券の減損
当社グループは、投資の一環として株式及び債券等を所有しております。これら金融商品の投資価値下落に対しましては、時価が取得原価に対して50%以上下落した場合には、当該時価まで減損処理を行い、30%~50%程度下落した場合には、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。
f.製品保証引当金
当社グループは、顧客に納品した一部製品に対して、将来の製品交換及び補修費用に備えるため、今後必要と見込まれる金額を計上しておりますが、予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。
② 当社グループの財政状態及び経営成績の分析
a.財政状態
(資産)
資産合計は、前連結会計年度比1,458百万円増の17,731百万円となりました。円安に伴う海外子会社資産の全体的な換算増や国内子会社の新工場建設による有形固定資産増加を主因としております。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度比480百万円増の2,036百万円となりました。これは資産同様円安に伴う海外子会社負債の全体的な換算増やリース負債の増加、海外工事物件の中間金入金による前受金増加などを主因としております。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度比977百万円増の15,694百万円となりました。これは利益剰余金の親会社株主に帰属する当期純利益計上による増加や為替換算調整勘定の増加を主因としております。
b.経営成績
(売上)
当連結会計年度の当社グループを取りまく経営環境は、新型コロナウイルス感染症による影響やロシアのウクライナへの軍事侵攻でエネルギーと食料の供給不足が続き、様々な物資の物価高が月日を追うごとに進行し、世界経済が不透明感・不確実性を増す一方の状況でした。こうした状況下、当社は原材料の高騰や供給不足へ対応すると同時に、ITネットワーク関連製品など新規製品の開発および普及活動に取り組んでまいりました。
国内市場においては、高知放送新社屋など放送局の設備、映像配信サービス会社の回線設備、北海道の大型野球スタジアムやサッカー場などの競技場、公営競技の競技場や中継車、大学等の教育施設への当社製品の採用が決定、納入が進みました。これらの結果、国内売上高5,741百万円(前連結会計年度比8.3%増)となりました。
海外市場においては、ゼロコロナ政策により経済活動が制限された中国市場では売上が減少しましたが、それ以外の全ての海外拠点では前期を上回る売上となり、急激な円安のプラス効果の結果、海外売上高5,425百万円(前連結会計年度比14.7%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前連結会計年度から引続き銅をはじめ多くの原材料が値上げとなりましたが、原材料価格上昇分を販売価格に一部転嫁できたこともあり、売上原価率は前連結会計年度に比して0.5ポイント低下して6,735百万円となりました。
販売費及び一般管理費は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が減少し、営業活動などが活発化する中で増加となったものの、対売上高比は、ほぼ前連結会計年度と同等で3,254百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
上記に加えて円安に伴う為替差益もあり、親会社株主に帰属する当期純利益は、対売上高比が前連結会計年度比で1.0ポイント上昇して868百万円となりました。
c.キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績は、次の要因により重要な影響を受けます。
a.主要な需要先である電設業界、放送業界の設備投資動向
b.比較的価格変動の大きい銅等を材料として使用しているためそれらの価格動向
c.海外売上比率が高くなっているため、為替相場動向
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金及び設備投資等資金は、原則として自己資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借り入れを実施することを基本方針としております。この方針に従い、当連結会計年度における運転資金や設備投資資金は自己資金により充当しました。直近において大きな設備投資を計画しておらず、必要となる運転資金などは主に自己資金により充当する予定ですが、必要に応じて金融機関からの借入れを実施するなど、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。
⑤ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、時代と共に変化する価値観に対応して、顧客から善い会社として支持・信頼される会社を目指し、「いつの時代でも存在価値ある企業づくり」を経営基本理念として掲げ、その理念を基に、「企業は公器」と認識していつの時代でも善い会社であるために、貢献資源づくり、普及活動および、フィードバックを実践してまいります。
以上の方針のなか企業価値向上をはかってまいりますが、企業業績の指標として連結業績で1株当たり当期純利益200円超えを目指しております。当連結会計年度におきましては、1株当たり当期純利益は128円74銭となりました。