【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況[経営成績の状況]当第1四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が徐々に緩和され、小売・サービス業等の一部で改善の動きがありましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢や米中貿易摩擦、資源やエネルギー価格の高騰等による物価上昇、欧米諸国における金融不安等、景気の先行き見通しに対する懸念が高まりました。また、エレクトロニクス市場において、個人消費の矛先が従来の巣ごもり需要の増大から旅行等のコト消費へ移行する等モノへの消費が低迷し、厳しい状況が続きました。わが国におきましても、雇用や設備投資に若干の持ち直しが見られたものの、生産や機械受注等の低迷に加えて、原材料やエネルギー価格高騰の影響等を受け、景気は弱含みとなりました。電子部品業界におきましては、昨年夏からの情報通信機器市場の悪化による在庫調整や、昨年からの半導体不足による自動車の生産調整が長引き、非常に厳しい状況となりました。海底ケーブル市場向けの需要については、長期的な情報通信量の拡大ニーズを背景に、堅調に推移しましたが、昨年夏からのサプライチェーンの混乱による影響を受けました。こうした中、当社では、中長期的な市場の成長に備え、中国蘇州工場の移転準備とグローバル生産比率の最適化を進める等安定供給体制の強化に取り組みました。また、不採算品目の価格見直しや、生産効率の改善、付加価値向上に向けた新製品・新技術の開発を進める等、収益構造の維持・改善に務めました。こうした中、当第1四半期連結累計期間の経営成績は、主力事業であるリード端子事業、光部品・デバイス事業ともに厳しい状況となり、売上高は3,521百万円(前年同期比11.0%減)、営業利益は846百万円(前年同期比20.4%減)、経常利益は882百万円(前年同期比32.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は564百万円(前年同期比36.3%減)となりました。当第1四半期連結累計期間における期中平均レートは、1米ドルあたり132.40円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
(リード端子事業)当第1四半期連結累計期間におけるリード端子事業の売上高は1,864百万円(前年同期比9.2%減)、セグメント利益(営業利益)は28百万円(前年同期比72.8%減)となりました。自動車市場向け製品では、EV化の進展等に伴い、自動車1台あたりのアルミ電解コンデンサ搭載点数が増加しましたが、昨年からの半導体不足に伴う自動車の生産調整が続き、自動車向け全体としては伸び悩みました。加えて、ステイホーム需要で先食いしたデジタル・コンシューマ・マーケットの落ち込みが続き、売上は非常に厳しい状況となりました。収益構造の改善面として、対振動特性や絶縁特性を大幅に改善した新製品「バリレス」の拡販を進めるとともに、不採算製品について価格見直しを進めました。また、製品の品質と信頼性の向上や生産効率の改善に向け、高効率・高精度を実現する新しい溶接技術の開発に取り組みました。更には、蘇州工場の移転に向けて、一時的な生産停止に対応するための在庫の積み上げや、中国東莞工場及びマレーシア工場での生産体制の強化を進めました。
(光部品・デバイス事業)当第1四半期連結累計期間における光部品・デバイス事業の売上高は1,656百万円(前年同期比12.9%減)、セグメント利益(営業利益)は817百万円(前年同期比14.6%減)となりました。海底ケーブル向け光デバイス製品では、世界的な通信インフラの強化を背景とした継続した需要がありました。一方で昨年からのサプライチェーンの混乱を契機とした受注調整が一部のお客様で続きました。陸上光通信用光ファイバアレイ製品では、米中摩擦による納入制限に加えて、データセンタ関連市場の調整により落ち込みました。開発面では、さらなる情報通信の拡大に向けての技術進展に合わせて、多芯化に対応した複合製品の開発・試作を進めました。また、将来技術のマルチコアファイバ化に対応した、「シリコンフォトニクススイッチを用いた4芯MCFコア間スイッチングモジュール」を産業技術総合研究所と共同で開発し、光通信分野で世界最大級の国際会議「OFC2023」で研究成果の発表を行いました。また、安定供給体制を強化するため、後工程拠点における生産の自動化、前工程拠点における災害対策強化等を進めました。
[財政状態の分析](資産)流動資産は前連結会計年度末に比べ530百万円減少し、16,697百万円となりました。これは主に製品が293百万円増加した一方で、現金及び預金が705百万円減少、電子記録債権が72百万円減少、仕掛品が45百万円減少したこと等によるものであります。固定資産は前連結会計年度末に比べ281百万円増加し、7,339百万円となりました。これは主に建設仮勘定が258百万円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は前連結会計年度末に比べ248百万円減少し、24,036百万円となりました。
(負債)流動負債は前連結会計年度末に比べ248百万円減少し、3,127百万円となりました。これは主に賞与引当金が109百万円増加した一方で、未払法人税等が281百万円減少、短期借入金が96百万円減少したこと等によるものであります。固定負債は前連結会計年度末に比べ177百万円減少し、2,435百万円となりました。これは主に繰延税金負債が14百万円増加した一方で、長期借入金が193百万円減少したこと等によるものであります。この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ426百万円減少し、5,562百万円となりました。
(純資産)純資産は前連結会計年度末に比べ177百万円増加し、18,473百万円となりました。これは主に利益剰余金が69百万円増加、為替換算調整勘定が88百万円増加したこと等によるものであります。
(2) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第1四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は139百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。