【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態及び経営成績の状況の概要は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況の概要当第1四半期連結累計期間(2020年4月~2020年6月)における当社グループを取りまく経営環境は、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、自動車業界において、メーカー各社の生産一時停止や需要の急減があり世界各国で新車販売は大幅減となりました。また、建設機械及び産業機械・工作機械業界においても、米中貿易摩擦による昨年度からの国内メーカーの需要低迷に加え、新型コロナウイルスによる経済活動縮小の影響も大きく、需要は大幅に減少しました。 このような状況下、当第1四半期連結累計期間の売上高は、前年同期比87億4千6百万円(29.0%)減収の213億7千8百万円となりました。営業利益は、売上減の影響が大きく、経営体質強化に向けた固定費削減の取り組み効果や前第2四半期連結会計期間での海外子会社の減損計上による償却負担減少があったものの、前年同期比13億9千3百万円減益の13億4千6百万円の損失(前年同期は営業利益4千6百万円)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は、インドネシア子会社の急激なルピア安による外貨建て借入金の為替差損を主な要因として9億2百万円計上したことにより、19億9千8百万円の損失(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失2億円)となりました。 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
特殊鋼鋼材事業につきましては、国内事業における建設機械及び産業機械・工作機械メーカーの米中貿易摩擦による昨年度からの需要の低迷に加え、新型コロナウイルスの影響により販売数量が大きく減少したことにより、売上高は、前年同期比41億7千9百万円(26.8%)減収の113億9千4百万円となりました。営業利益は、国内事業では販売数量減と高炉改修に伴うコスト増による減益要因が大きく、高炉改修に向けた備蓄を活用したコスト改善効果はあったものの、減益となりました。一方、インドネシア海外事業では、当第1四半期にあたる1~3月は新型コロナウイルスの影響は軽微に留まり、また歩留まり向上等による製造コスト改善や前期の減損計上による償却負担の減少もあり、増益となりました。特殊鋼鋼材事業全体としては、前年同期比8億6千6百万円減益の4億8千4百万円の損失(前年同期は営業利益3億8千2百万円)となりました。
ばね事業につきましては、新型コロナウイルスの影響により、主要顧客である自動車・建設機械メーカーにおける工場稼働停止に伴い、当社生産拠点、特に北米子会社においては4~5月の販売が大幅に減少し、また国内外の経済活動縮小による需要減もあり、売上高は、前年同期比53億6千万円(45.9%)減収の63億2千万円となりました。営業利益は、売上減の影響が大きく、北米子会社の新製品立ち上げ時の生産トラブル解消や、前期に行った減損計上による償却負担の減少及び経費削減等の改善があったものの、前年同期比7億2千9百万円損失が拡大し、10億5千9百万円の損失(前年同期は営業損失3億3千万円)となりました。 尚、北米拠点につきましては、受注量に見合った生産体制に再編するため、巻ばねに続いてスタビライザの生産もアメリカ工場からカナダ・メキシコ工場への移管を進めています。
素形材事業につきましては、新型コロナウイルスの影響による国内外の自動車部品・電子部品メーカーの稼働停止等に伴う特殊合金粉末や精密鋳造品の売上減により、売上高は、前年同期比2億8千4百万円(11.7%)減収の21億5千1百万円となりました。営業利益は、売上減の影響が大きく、前年同期比3千1百万円減益の2千7百万円の損失(前年同期は営業利益3百万円)となりました。
機器装置事業につきましては、受注から売上げを計上するまでの期間が比較的長いことから、当第1四半期における新型コロナウイルスの影響は軽微でありました。売上高は、国内向け電力機器製品及び鍛圧機械等の売上げが増加したことから、前年同期比5億3千万円(30.0%)増収の22億9千7百万円となりました。営業利益は、売上げの増加に加え各種コスト削減の積上げにより、前年同期比2億7千8百万円増益の2億1千3百万円(前年同期は営業損失6千4百万円)となりました。
その他の事業につきましては、流通及びサービス業等でありますが、売上高は、前年同期比3億6千7百万円(36.2%)減収の6億4千7百万円、営業利益は、前年同期比2千8百万円(61.1%)減益の1千7百万円となりました。
(2)財政状態当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ44億2千3百万円減少し、1,369億6千7百万円となりました。これは主に棚卸資産等が増加した一方で、現金及び預金や売掛金等が減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の負債総額は、前連結会計年度末に比べて19億8千万円減少し、907億9千4百万円となりました。これは主に借入金等が増加した一方で、仕入債務等が減少したことによるものであります。当第1四半期連結会計期間末の純資産は、前連結会計年度末に比べて24億4千3百万円減少し、461億7千2百万円となりました。これは主に利益剰余金等が減少したことによるものであります。
(3)研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億9千9百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(4)生産、受注及び販売の状況当第1四半期連結累計期間における生産実績及び販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。① 生産実績
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
9,784
△31.1
ばね事業
5,035
△49.1
素形材事業
1,563
△35.5
機器装置事業
2,355
33.4
合計
18,738
△33.8
(注)金額は販売価格によっております。
② 販売実績
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
特殊鋼鋼材事業
11,394
△26.8
ばね事業
6,320
△45.9
素形材事業
2,151
△11.7
機器装置事業
2,297
30.0
その他の事業
647
△36.2
調整額
(△1,433)
(―)
合計
21,378
△29.0
(5)資本の財源及び資金の流動性① 資金需要当社グループの資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料や部品の購入、及び設備投資によるものであります。
② 財務政策当社グループは、設備投資を厳選して実施することで財務の健全性を保ちながら、営業活動によるキャッシュ・フロー収入を基本に、将来必要な運転資金及び設備資金を調達していく考えであります。