【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度の世界経済は、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行の影響による厳しい状況が緩和される中で、概ね回復基調となりました。一方、世界的な金融引締めに伴う影響や中国における新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う経済活動抑制、ウクライナ情勢に伴う物流の混乱、原燃料、エネルギーコスト等の物価上昇等、先行きの経済見通しについては、依然として不透明な状況が継続しました。我が国の経済においては、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況が緩和される中で、個人消費、設備投資、生産、企業収益等では、概ね持ち直しの動きが見られましたが、企業物価、消費者物価ともに上昇が際立つ状況となりました。このような状況下、当社グループでは、コストダウン、製品の拡販及び品質向上等経営体質の強化に取り組んでまいりました。当連結会計年度では、世界経済の持ち直しを背景として、特にアルミニウム製錬用カソードブロックの販売が好調でした。その結果、売上高は304億1百万円となり、前年同期に比べて32.6%の増収となりました。損益面に関しましては、原燃料価格、電力料金等の上昇によるコストアップ要因はあったものの、販売数量の増加や前年同期と比較すると為替レートが円安に推移したことによる輸出の収益性改善により、増益となりました。その結果、営業利益は64億9千万円(前年同期比101.4%増)、経常利益は76億1千万円(前年同期比101.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は54億2百万円(前年同期比77.7%増)となりました。なお、当社グループは炭素製品の製造・販売を主な事業とする単一セグメントでありますが、当連結会計年度における製品別の売上高については、次のとおりであります。
・アルミニウム製錬用カソードブロック総じて堅調なアルミニウム需要を背景とし、製錬会社の更新需要も拡大したため、販売数量は増加しました。その結果、売上高は193億5千3百万円となり、前年同期に比べて56.9%の増収となりました。・人造黒鉛電極国内外において、粗鋼生産が低調に推移しており、販売数量は前年同期と比べ伸び悩み、同程度の水準となりました。その結果、売上高は66億1千5百万円となり、前年同期に比べて0.2%の増収となりました。・特殊炭素製品全般的に需要が堅調であり、特に非鉄金属関連及び各種工業炉向けの販売数量が増加しました。その結果、売上高は36億8千1百万円となり、前年同期に比べて21.1%の増収となりました。・ファインパウダー及びその他炭素製品一部顧客において中国の新型コロナウイルス感染症の再拡大に伴う経済活動抑制の影響があったことから、販売数量は減少しました。その結果、売上高は7億5千1百万円となり、前年同期に比べて20.1%の減収となりました。
生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
① 生産実績当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を生産しております。当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
アルミニウム製錬用カソードブロック
18,534
45.2
人造黒鉛電極
6,466
△5.5
特殊炭素製品
3,195
27.2
ファインパウダー及びその他炭素製品
773
△12.3
合計
28,970
26.0
(注)
金額は、販売価格によっております。
② 受注実績当社製品は国内、輸出とも一部受注生産をする場合がありますが、製造期間が長いため、基本的にはユーザーの生産動向をベースにした見込生産であります。
③ 販売実績当社グループは、単一セグメントの下で以下の製品を販売しております。当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
区分
金額(百万円)
前年同期比(%)
アルミニウム製錬用カソードブロック
19,353
56.9
人造黒鉛電極
6,615
0.2
特殊炭素製品
3,681
21.1
ファインパウダー及びその他炭素製品
751
△20.1
合計
30,401
32.6
(注)
主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
住友商事株式会社
11,574
50.5
17,947
59.0
(2) 財政状態総資産は、前連結会計年度末と比較して99億4千6百万円増加して、725億5千4百万円となりました。主な増加は、受取手形及び売掛金の増加47億円、仕掛品の増加18億3千万円、機械装置及び運搬具の増加14億4千3百万円および投資有価証券の増加47億7千9百万円です。主な減少は、現金及び預金の減少30億7千1百万円です。負債は、前連結会計年度末と比較して35億9千8百万円増加して、101億4千3百万円となりました。主な増加は、買掛金の増加13億2千8百万円、未払法人税等の増加13億2千万円および繰延税金負債の増加8億3千万円です。非支配株主持分を含めた純資産は、前連結会計年度末と比較して63億4千7百万円増加して、624億1千1百万円となりました。主な増加は、利益剰余金の増加43億8千6百万円およびその他有価証券評価差額金の増加19億7千6百万円です。以上の結果、自己資本比率は、前連結会計年度末の89.5%から86.0%となりました。
(3) キャッシュ・フロー営業活動によるキャッシュ・フローは23億3千7百万円の収入超過、投資活動によるキャッシュ・フローは43億4千9百万円の支出超過、財務活動によるキャッシュ・フローは10億2千7百万円の支出超過となりました。以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ31億1百万円減少(14.0%減)し、190億8千7百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純利益75億7千5百万円に、減価償却費11億1千7百万円、仕入債務の増加額13億2千8百万円を加算し、売上債権の増加額47億円、棚卸資産の増加額21億7千9百万円、法人税等の支払額9億2千7百万円を減算した結果、23億3千7百万円の資金の増加(対前連結会計年度比69.3%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得に22億6千8百万円、投資有価証券の取得に19億3千5百万円を支出したこと等により、43億4千9百万円の資金の減少(対前連結会計年度比355.7%増)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)配当金の支払に10億1千5百万円を支出したこと等により、10億2千7百万円の資金の減少(対前連結会計年度比24.2%増)となりました。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループの資金需要のうち主なものは、原材料費等の製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに設備投資等によるものであります。当社グループの運転資金および設備投資資金は、内部資金または借入により資金調達することとしております。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、当社グループにおける過去の実績等を踏まえ合理的に見積りを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、特に重要と考えるものは以下のとおりであります。
(棚卸資産の評価)当社グループは、棚卸資産の評価に関する会計基準に従い、収益性の低下により正味売却価額が帳簿価額を下回っている棚卸資産の帳簿価額を、正味売却価額まで切り下げる会計処理を適用しております。会計処理の適用にあたっては、基本的には決算月における実績の販売価格から直接販売費を控除した正味売却価額と簿価との比較により評価損の金額を計算しておりますが、市況の著しい変化等により期末日以降に販売価格の重要な変動があった場合には、契約書など客観的情報に基づいて正味売却価額に反映させております。当社グループの製品の生産リードタイムは比較的長く、このため棚卸資産残高は多額となっております。また、製品の販売価格や原材料の購入価格は、景気変動等による市場の需給状況に応じて大きく上下するという特徴があります。特に原材料の市場価格下落局面においては、下落前に仕入れた原材料を使用し製造した製品を販売する時にはすでに販売価格が大きく下降している場合もあり、棚卸資産の評価損が多額になる可能性があります。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定の情報については、「第5
経理の状況
1
連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表
注記事項
(追加情報)」に記載しております。
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