【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
⑴経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルスの感染対策が進み正常化の兆しが見られましたが、半導体不足の長期化やロシアによるウクライナ侵攻により不安定な状況となっております。一方でわが国経済は、中国の都市封鎖によるサプライチェーン混乱や原材料価格高騰等の影響が残り、内需の回復は鈍化しております。
特殊鋼業界の主要な需要先である自動車産業においては、半導体等の部品不足により生産台数が計画を下回る等、不安定な状況が長期化しております。
この結果、当連結会計年度における財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,491百万円増加し、32,708百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ534百万円増加し、6,436百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ956百万円増加し、26,271百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度における売上高は前連結会計年度比1,674百万円増の21,557百万円となりました。経常利益は前連結会計年度比718百万円減の1,424百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比35百万円減の1,118百万円となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
○特殊鋼事業 売上高は前連結会計年度比1,697百万円増の19,213百万円、セグメント利益(営業利益)は752百万円減の156百万円となりました。○不動産賃貸事業 売上高は前連結会計年度比22百万円減の2,343百万円、セグメント利益(営業利益)は16百万円増の1,140百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ650百万円減少し、5,138百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金収支は、665百万円の増加(前連結会計年度は1,298百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前当期純利益1,424百万円に、プラス要因として、減価償却費747百万円、仕入債務の増加額1,257百万円、マイナス要因として、棚卸資産の増加額1,017百万円、売上債権の増加額642百万円、法人税等の支払額614百万円等を調整した結果によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動による資金収支は、1,119百万円の減少(前連結会計年度は782百万円の減少)となりました。これは、プラス要因として、有価証券の償還による収入400百万円、マイナス要因として、有形固定資産の取得による支出962百万円、投資有価証券の取得による支出550百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動による資金収支は、212百万円の減少(前連結会計年度は167百万円の減少)となりました。これは、配当金の支払額210百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
特殊鋼事業
18,296,792
109.5
不動産賃貸事業
-
-
(注)金額は、販売価額により算出しております。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
特殊鋼事業
19,571,458
108.8
5,211,884
107.4
不動産賃貸事業
-
-
-
-
(注)金額は、販売価額により算出しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前年同期比(%)
特殊鋼事業
19,213,898
109.7
不動産賃貸事業
2,343,860
99.0
合計
21,557,759
108.4
(注)主な相手先別の販売実績および総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
㈱NITTAN
1,909,665
9.6
2,247,176
10.4
㈱西友
2,133,154
10.7
2,130,157
9.9
大同興業㈱
2,013,919
10.1
1,902,817
8.8
⑵経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、本有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1)財政状態
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は15,345百万円(前連結会計年度末14,449百万円)となり、896百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。
・売上高の増加により売掛金が411百万円、電子記録債権が250百万円各々増加しております。
・原材料価格高騰や溶解設備の稼働開始に伴う原材料使用量の増加等により商品及び製品が434百万円、仕掛品が
354百万円、原材料及び貯蔵品が237百万円各々増加しております。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は17,362百万円(前連結会計年度末16,767百万円)となり、594百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。
・機械装置及び運搬具が1,218百万円増加しておりますが、この大部分は溶解設備等の稼働開始に伴う建設仮勘定
からの振替によるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は4,389百万円(前連結会計年度末3,837百万円)となり、552百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。
・原材料価格高騰等により支払手形及び買掛金が346百万円増加しております。
・一部取引先の決済方法が変更になったこと等により電子記録債務が884百万円増加しております。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は2,047百万円(前連結会計年度末2,064百万円)となり、17百万円の減少となりました。主な要因は以下のとおりであります。
・大規模修繕工事の完了等により修繕引当金が18百万円減少しております。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産の残高は26,271百万円(前連結会計年度末25,314百万円)となり、956百万円の増加となりました。主な要因は以下のとおりであります。
・親会社株主に帰属する当期純利益等により利益剰余金が907百万円増加しております。
当社グループは、持続的発展を図るためには安定した財務基盤が必要であると考えており、今後も積極的に戦略投資を行いつつも、安定した財務基盤の維持に努めてまいります。
2)経営成績
当連結会計年度における売上高は21,557百万円(前連結会計年度19,883百万円)であり、1,674百万円の増加となりました。また、営業利益は1,297百万円(前連結会計年度2,032百万円)で735百万円の減少、経常利益は1,424百万円(前連結会計年度2,142百万円)で718百万円の減少、親会社株主に帰属する当期純利益は1,118百万円(前連結会計年度1,154百万円)で35百万円の減少となりました。
当社グループの特殊鋼事業セグメントにつきましては、販売価格に原材料価格の上昇分を転嫁することで売上高は前年実績を上回りました。しかしながら、電力や副資材等の価格高騰により大幅に増加した費用については販売価格へ十分転嫁できていないことから利益面では前年実績を下回り、増収減益となりました。不動産賃貸事業につきましては、売上高は商業施設の店舗改装工事等が減少したことに伴い前年実績を若干下回ったものの、安定的に収益を確保し利益面では前年実績を上回りました。
b.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、直近策定の中期経営計画の中で2023年度計画として売上高21,000百万円、経常利益2,100百万円を目標として掲げ、取組んでまいりました。2022年度の売上高につきましては、製造原価のうち原材料価格の上昇分を販売価格へ転嫁することにより2023年度計画を前倒しで達成しました。経常利益につきましては、電力や副資材等の価格高騰分の販売価格への転嫁が遅れており2021年度を下回りました。
c.セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
○特殊鋼事業
売上高は、販売価格の値上げにより前連結会計年度比1,697百万円増の19,213百万円となりました。
セグメント利益(営業利益)は、販売価格の値上げを超える製造原価の増加により前連結会計年度比752百万円減の156百万円となりました。
セグメント資産は、機能材料製造用設備の増強や基幹システム開発などにより、前連結会計年度末に比べ2,405百万円増加の17,044百万円となりました。
○不動産賃貸事業 売上高は、店舗工事が減少したことにより前連結会計年度比22百万円減の2,343百万円となりました。
セグメント利益(営業利益)は、前連結会計年度比16百万円増の1,140百万円となりました。
セグメント資産は、現預金や有価証券の増加などにより前連結会計年度末に比べ178百万円増加の11,134百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、不動産賃貸事業が毎期安定的な利益を上げており、営業キャッシュ・フローが継続してプラスとなっております。投資活動によるキャッシュ・フローは、特殊鋼事業への合理化投資及び戦略投資等により継続してマイナスとなっております。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、その大半が配当金の支払いであります。当社グループは、今後も収益拡大につとめ、営業キャッシュ・フローの最大化を図ってまいります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、生産活動に必要な運転資金(材料、外注費及び人件費等)、販売費及び一般管理費等の営業費用、設備の増強、更新及び改造のための設備投資資金、新製品・新技術開発のための研究開発費であります。当社グループは、これらの資金需要に対して、まず営業キャッシュ・フローで獲得した資金を投入し、不足分については、銀行借入(当座借越)により資金を調達することとしております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成されています。この連結財務諸表の作成にあたっては、当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要としております。当社グループの会計方針のうち、見積り等の重要性が高いものは以下のとおりであります。
a.繰延税金資産の回収可能性の評価
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性を評価するに際して、将来の課税所得を合理的に見積っております。しかし、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額が減少した場合は繰延税金資産が減額され税金費用を計上する可能性があります。
b.固定資産の減損損失
当社グループは、これらについては固定資産の減損会計の適用に際して、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小単位でグルーピングし、各グループの単位で将来キャッシュ・フローを見積っております。将来キャッシュ・フローが帳簿価額を下回った場合、回収可能価額まで帳簿価額を減額しております。将来この回収可能価額が減少した場合、減損損失が発生し、損益に影響を与える可能性があります。
当社グループは、これらについては過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。