【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
①経営成績の状況
当第1四半期累計期間におけるわが国経済は、サービス中心の消費復調が続いているものの、米国の景気後退や半導体サイクルの調整長期化に下押しされ、緩やかな回復となっております。
世界経済については、高金利・高インフレの下、欧米の景気回復の遅れや中国経済の減速継続により、先行き不透明な状況となっております。
外航海運業界は、活況を極めていたコンテナ船市況が大きく軟化しておりますが、一方でバルクの建造が出てくるなどし、大型船建造の造船所は、3年強の受注は確保している状況です。また、当社2サイクルエンジンの対象である近海船市場は、現状の船価に運賃が釣り合わない状況ですが、老齢船が多い割に発注残が少なく、円安効果もあいまって、代替建造のニーズは当面は継続すると思われます。
当社の主要マーケットである内航海運業界におきましては、用船料は少しずつ改善されておりますが、諸資材のコストアップにより引き続き船価の上昇が続いており、建造隻数は伸び悩んでおります。ただし、中古船(被代船)の船価も高値で取引されていることから、複数隻所有の船主を中心に前向きな動きがみられるようになってまいりました。また、海外案件につきましては、コロナ禍と船価高で大半の船主が様子見状態でしたが、有力船主を中心に建造に向けた確実な歩みが見て取れますので、今後もこの流れに期待したいところであります。
このような企業環境のもと、当第1四半期累計期間の経営成績につきましては、受注高は主機関の受注が増加し、前年同期比38.3%増の2,003百万円となりました。売上高についても、主機関、部分品ともに増加したことから、同7.9%増の2,402百万円となりました。受注残高は同45.3%増の3,353百万円となりました。
損益面につきましては、資材コストアップの影響を、製品価格に転嫁しきれていないことや、大型設備投資による減価償却費の増加を、舶用事業以外のCMR(鋳造・金属機械加工)の販売増加で補えず、営業利益は113百万円(前年同期比62.8%減)、経常利益は122百万円(同60.7%減)となり、四半期純利益は82百万円(同61.1%減)となりました。
事業区分別では、主機関の売上高は、国内は減少したものの、輸出が増加となったことから1,109百万円(前年同期比7.5%増)となりました。部分品等の売上高は、国内の部分品・修理工事や、舶用事業以外のCMR(鋳造・金属機械加工)も増加したことから1,292百万円(同8.3%増)となりました。
②財政状態の分析
当第1四半期会計期間末における流動資産は10,782百万円となり、前事業年度末に比べ446百万円減少いたしました。これは主に現金及び預金が350百万円、受取手形及び売掛金が110百万円減少したことによるものであります。固定資産は9,984百万円となり、前事業年度末に比べ228百万円増加いたしました。これは主に有形固定資産が160百万円、投資有価証券が92百万円増加したことによるものであります。この結果、総資産は20,767百万円となり、前事業年度末に比べ217百万円減少いたしました。
当第1四半期会計期間末における流動負債は3,731百万円となり、前事業年度末に比べ211百万円減少いたしました。これは主に電子記録債務が104百万円、その他に含まれる未払金が296百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が288百万円、未払法人税等が136百万円、契約負債が206百万円減少したことによるものであります。固定負債は3,197百万円で、前事業年度末に比べ8百万円増加いたしました。これは主に退職給付引当金が13百万円増加したことによるものであります。この結果、負債合計は6,929百万円となり、前事業年度末に比べ202百万円減少いたしました。
当第1四半期会計期間末における純資産合計は13,837百万円となり、前事業年度末に比べ15百万円減少いたしました。これは主にその他有価証券評価差額金が64百万円増加したものの、利益剰余金が79百万円減少したことによるものであります。この結果、自己資本比率は66.5%(前事業年度末は65.9%)となりました。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
当第1四半期累計期間における研究開発活動の金額は、10百万円であります。
なお、当第1四半期累計期間における当社の研究開発活動の状況の重要な変更は、以下のとおりであります。
当社は、新技術開発の強化及び開発技術の水平展開の強化の両輪を着実に進めるため、2023年6月29日付で研究開発組織の変更を行いました。具体的には、従来の技術部を研究開発部と設計部に分割し、前者は新技術・新製品の開発を、後者は受注製品の設計・既存技術の応用を担う体制といたしました。これにより、人的資本を適切に配分し、より繊細なマネジメントを可能とするとともに、研究開発部では関連部門との連携により新技術や新規事業の創出に注力してまいります。
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