【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、景気が急速に悪化するなど厳しい状況となりました。緊急事態宣言の解除をきっかけに国内消費は緩やかに回復基調となったものの、第2波、第3波と感染者が再び急増し、予断を許さない状況が続きました。また、海外においても、同感染症の世界的な感染拡大に収束の気配がなく、ワクチン接種が進められているものの、長期的な景気の落ち込みが予想され、先行き不透明な状況が続きました。製造業に関する需要は、同感染症の影響から当初は需要が冷え込みましたが、経済活動の再開に伴って設備投資は意欲的な傾向にあり、海外ではペントアップ需要から世界的な生産活動の回復を背景に幅広く増加する傾向となりました。
当社の事業に関連する業界におきましては、当連結会計年度前半は国内外の需要は落ち込み、厳しい事業環境と
なりましたが、後半から自動車関連の需要は回復傾向にあり、また、スマートフォンやその関連付属商品のIT関
連やコロナ禍における需要から医療関連、生活用品関連が増加するなど、業界の市場は回復傾向で推移いたしまし
た。
このような市場環境のもとではありますが、当社グループは、2021年3月期を最終年度とする3ケ年の中期経営
計画の各種施策に取り組むと共に、移動が制限される中でWEBを活用した商談や展示会を展開するなど新たな営
業活動を展開し、受注獲得を目指してまいりました。また、顧客の商品価値を創造する当社独自技術の新製品の開
発や設備と調達ネットワークを活用したモノづくりに取組み、事業収益構造の改善を推進してまいりました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、受注高は29,491百万円(前年同期比18.9%増)、売上高は24,870百万円(同18.3%減)となりました。このうち、国内売上高は6,904百万円(同36.2%減)、海外売上高は17,966百万円(同8.5%減)となり、海外比率は72.2%となりました。
利益につきましては、売上高が減少したことから営業損失は211百万円(前年同期は営業利益1,427百万円)となりました。また、経常損失は101百万円(前年同期は経常利益1,439百万円)、親会社株主に帰属する当期純損失は244百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益870百万円)となりました。
また、当社グループにおける当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産は、28,578百万円(前年同期比447百万円増)、負債は10,448百万円(同687百万円増)、純資産は18,130百万円(同240百万円減)となりました。
製品別の売上の状況は、次のとおりであります。
[射出成形機]
射出成形機につきましては、国内は、日用雑貨や容器類などの生活用品や自動車関連が減少しました。また、海
外におきましては、中国でのIT電子機器や医療機器関連の小型機が堅調に推移しましたが、欧州や米国での生活
用品関連やアジアでの自動車関連が減少しました。その結果、売上高は19,606百万円(前年同期比17.7%減)とな
りました。
[ダイカストマシン]
自動車関連向けを中心とするダイカストマシンにつきましては、国内の売上は減少しました。また、海外では中
国やアジアの売上が減少しました。その結果、売上高は5,264百万円(前年同期比20.6%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は7,183百万円となり、前連結会計年度末と比べ2,128百万円の増加となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、未収消費税等の増加及び法人税等の支払の支出要因があったものの、売上債権の減少、減価償却費の計上及び仕入債務の増加等により3,778百万円の収入(前連結会計年度904百万円の収入)となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得を行ったこと等により1,321百万円の支出(前連結会計年度1,894百万円の支出)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入1,000百万円があったものの、短期及び長期借入金の返済及び配当を行ったこと等により344百万円の支出(前連結会計年度434百万円の収入)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
区分
生産高(百万円)
前年同期比(%)
成形機
23,595
△20.6
(注)1.金額は、販売価格によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b.受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
区分
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
成形機
29,491
18.9
10,188
+83.0
(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
区分
販売高(百万円)
前年同期比(%)
成形機
24,870
△18.3
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
株式会社マルカ
3,675
12.1
2,370
9.53
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なる可能性があります。当社グループが採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表の作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
a.貸倒引当金
債権の貸倒損失に備えるため、一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。
将来、顧客の財政状態が悪化し支払能力が低下した場合には、引当金の追加計上が必要となる可能性があります。
b.投資有価証券の減損
取引関係の維持・強化のために、特定の顧客・仕入先の株式を保有しております。時価のある有価証券については、期末における時価が取得価額に比べ50%以上下落した場合に時価まで減損処理を行い、30%以上50%未満下落した株式等の減損は、個別銘柄毎に回復可能性を検討し、回復する見込みがないものについて減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については、期末における実質価額が著しく低下した場合に減損処理を行っております。将来、株式市場の悪化又は投資先の業績不振により、評価損の計上が必要となる可能性があります。
c.繰延税金資産
繰延税金資産については、将来の課税所得の見込み及び事業計画に基づき、回収可能性を十分に検討し、回収可能な額を計上しております。なお、すでに計上した繰延税金資産については、その実現可能性について毎期検討し、内容の見直しを行っておりますが、将来の課税所得の見込みの変化やその他の要因に基づき繰延税金資産の実現可能性の評価が変更された場合、繰延税金資産の取崩又は追加計上により親会社株主に帰属する当期純利益が変動する可能性があります。
d.製品保証引当金
成形機のアフターサービスに対する費用の支出に備えるため、保証書の約款に従い、過去の実績を基礎にして、当連結会計年度における必要見込額を計上しております。予期せぬ不良の発生等により追加引当が必要になる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、景気が急速に悪化するなど厳しい状況となりました。緊急事態宣言の解除をきっかけに国内消費は緩やかに回復基調となったものの、第2波、第3波と感染者が再び急増し、予断を許さない状況が続きました。また、海外においても、同感染症の世界的な感染拡大に収束の気配がなく、ワクチン接種が進められているものの、長期的な景気の落ち込みが予想され、先行き不透明な状況が続きました。製造業に関する需要は、同感染症の影響から当初は需要が冷え込みましたが、経済活動の再開に伴って設備投資は意欲的な傾向にあり、海外ではペントアップ需要から世界的な生産活動の回復を背景に幅広く増加する傾向となりました。
(売上高)
売上高は、国内では、自動車関連、容器類や雑貨などの生活用品や工業部品の売上が減少しました。また海外では、中国でのIT電子機器や医療関連の売上は増加しましたが、欧州や米国及び東南アジアを中心に自動車関連、容器類や雑貨などの生活用品や医療関連の売上が減少したことから、24,870百万円(前年同期比18.3%減)となりました。
(営業損失)
営業損失は、販売費及び一般管理費が4,605百万円(前年同期比11.3%減)となりましたが、売上原価においては、売上高が減少したことから生産操業度低下による固定費回収不足が生じ、原価率が4.0ポイント上昇し211百万円(前年同期は営業利益1,427百万円)となりました。
(経常損失)
経常損失は、101百万円(前年同期は経常利益1,439百万円)となりました。
(税金等調整前当期純損失及び親会社株主に帰属する当期純損失)
税金等調整前当期純損失は、115百万円(前年同期は税金等調整前当期純利益1,340百万円)となりました。親会社株主に帰属する当期純損失は、法人税等合計額120百万円及び非支配株主に帰属する当期純利益8百万円を計上した結果、244百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益870百万円)となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は、19,513百万円となり前連結会計年度末に比べ451百万円増加しました。これは、主に売上債権の減少1,679百万円及びたな卸資産の減少299百万円があったものの、現金及び預金の増加2,128百万円及びその他流動資産の増加299百万円があったことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は、9,065百万円となり前連結会計年度末に比べ4百万円減少しました。これは、主に繰延税金資産の増加62百万円及び退職給付に係る資産の減少87百万円があったことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は、7,412百万円となり前連結会計年度末に比べ231百万円増加しました。これは、主に短期借入金の減少900百万円があったものの、仕入債務の増加693百万円及びその他流動負債の増加357百万円があったことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は、3,036百万円となり前連結会計年度末に比べ455百万円増加しました。これは、主に長期借入金の増加560百万円及び退職給付に係る負債の減少102百万円があったことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、18,130百万円となり前連結会計年度末に比べ240百万円減少しました。これは、主にその他の包括利益累計額の増加115百万円があったものの、配当を行ったことによる利益剰余金の減少102百万円及び親会社株主に帰属する当期純損失の計上による利益剰余金の減少244百万円があったことによるものであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの事業活動における主な資金需要は、運転資金及び設備資金等であります。運転資金需要は、生産活動のための原材料費や労務費及び製造経費をはじめ、受注獲得に向けた販売手数料等の販売費、新製品開発のための研究開発費等であります。設備資金等の需要は、事業規模拡大及び生産性向上を目的とした生産設備等の取得であります。これらの資金需要については、営業キャッシュ・フローを源泉としつつ、必要に応じて、運転資金等の短期的な資金については金融機関からの短期借入、設備資金等の長期的な資金については、金融機関からの長期借入及び自己資本での資金調達にて対応していくこととしております。
資金の流動性については、事業活動に必要な資金の効率的な管理により流動性の確保を行っておりますが、新型コロナウイルス感染症の影響による資金繰り悪化に備え、金融機関とのコミットメントライン契約を1,000百万円から2,000百万円に拡大し、機動的かつ安定的な調達手段の確保を行っております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2020年度を最終年度とする3ケ年の中期経営計画における「TOYO-G-Plan 2020」において、売上高、売上高営業利益率及び自己資本利益率(ROE)を重点指標として位置付けており、当連結会計年度の結果は下記のとおりとなりました。下記の結果は、米中貿易摩擦及び新型コロナウイルス感染症拡大に伴う経済影響を受けたことによるものであります。今後は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴う緊急事態宣言や世界各国のロックダウンによる各種経済活動の自粛要請は、徐々に解除されつつありますが、当社におきましては、移動制限や展示会開催の中止等で営業活動に未だ影響しております。このような状況の中ではありますが、2021年度よりスタートした新たな3ケ年の中期経営計画“TOYO GO CHALLENGE 2023”の方針に基づく諸施策に取り組み、重点指標の継続的な改善に取り組んでまいります。
区分
前連結会計年度
当連結会計年度
売上高 (百万円)
30,453
24,870
営業利益率
(%)
4.7
-
自己資本利益率(ROE)
(%)
5.1
-