【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況当第3四半期連結累計期間のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進んだことから個人消費は回復の動きが続き、企業の設備投資も脱炭素化、デジタル化の推進などを背景に持ち直しの動きが続きました。一方、ロシアのウクライナ侵攻等による供給制約、資源価格の高騰などから世界的にインフレ率が上昇し、欧米等の中央銀行が金融引き締めに転じたことなどから、世界経済は減速感が強まりました。このため、日本の輸出製造業を中心とした国内生産も伸び悩み、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いています。株式市場では、期初27,624円で始まった日経平均株価は、インフレ抑制に向けた米金融引き締めの加速、ロックダウンの影響等による中国経済に対する減速懸念などを背景に下落基調となりました。8月中旬には一時的に株価が上昇し、期中の高値となる29,222円を付ける場面もありましたが、米金融引き締めの長期化懸念や日銀が12月の金融政策決定会合で緩和政策の修正に踏み切ったことなどにより株価は下落し、当第3四半期連結会計期間末の日経平均株価は26,094円となりました。債券市場では、期初0.205%で始まった長期金利(10年国債利回り)は、欧米等の中央銀行がインフレ抑制へ向け金融引き締め姿勢を続けたことや日銀の金融緩和政策修正などを受けて期末にかけて急速に上昇し、当第3四半期連結会計期間末は0.410%となりました。主な商品部門別の概況は、以下のとおりです。(株式部門)当第3四半期連結累計期間は、EV(Electric Vehicle)関連や再生可能エネルギー関連などの脱炭素社会の実現に貢献する銘柄を中核に、先端ロジックの設計・開発で高い競争力を持つファブレス半導体銘柄、製品の性能や信頼性を左右する素材や部品などを供給するニッチトップ銘柄、AIやクラウドなどのデジタル技術やデータ活用を通じた事業変革を支援するDX(Digital Transformation)関連銘柄の選別及び情報提供に注力しました。しかし、欧米等の中央銀行が金融引き締めに転じるなか、積極的な売買が手控えられたことなどから、株式委託手数料は前第3四半期連結累計期間比減少しました。(投資信託部門)当社は投資信託を通じてお客様にグローバルな資産運用をしていただくことが、当社の社会的使命であると考えています。2017年6月には「お客様本位の業務運営への取組方針」を公表し、直近では2022年6月に更新しました。なかでも質の高い投資信託を長期間保有していただくことが、お客様にとって最善の利益の追求につながると考えています。当第3四半期連結累計期間は、米ドル建ての多様な資産に分散投資するバランス型の「NWQフレキシブル・インカムファンド」、割安で好配当が期待される株式に投資する「先進国好配当株式ファンド」、健康・医療を取り巻く社会問題の解決への貢献が期待される企業に投資する「グローバル・デジタルヘルスケア株式ファンド」などの販売に注力しました。マーケット環境の悪化による基準価額の下落などもあり、募集手数料及び信託報酬は前第3四半期連結累計期間比減少しました。
(債券部門)債券の引受高及び募集取扱高が減少したことで、債券受入手数料は前第3四半期連結累計期間比減少しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の当社グループの連結業績は、受入手数料が減少したことなどから、営業収益が112億69百万円(前第3四半期連結累計期間比22.8%の減収)、これから金融費用を差し引いた純営業収益は112億23百万円(同22.9%の減収)となりました。販売費・一般管理費は109億57百万円(同6.0%の減少)で、営業利益は2億66百万円(同90.8%の減益)、経常利益は7億6百万円(同78.5%の減益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は5億30百万円(同78.9%の減益)となりました。
(2)財政状態の状況2022年7月19日を効力発生日として、当社の通信販売部に係る事業を岡三証券株式会社へ承継したことに伴い、顧客分別金信託、信用取引資産などの資産や、預り金、受入保証金などの負債が減少しました。当第3四半期連結会計期間末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ172億54百万円減少し736億31百万円となりました。主な要因は、現金・預金が120億76百万円増加した一方で、顧客分別金信託が163億96百万円、信用取引資産が103億81百万円減少したことなどによるものです。負債合計は、前連結会計年度末に比べ156億34百万円減少し281億17百万円となりました。主な要因は、受入保証金が85億28百万円、預り金が37億91百万円、信用取引負債が27億29百万円減少したことなどによるものです。純資産合計は、前連結会計年度末に比べ16億19百万円減少し455億13百万円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純利益5億30百万円を計上した一方で、配当金10億59百万円の支払いに加え、その他有価証券評価差額金が5億47百万円減少したことや自己株式を5億3百万円取得したことなどによるものです。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めておりますが、当第3四半期連結累計期間において、重要な変更はありません。
(4)研究開発活動該当事項はありません。
なお、文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
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