【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当社は2021年10月1日付で当社の完全子会社であった株式会社第一ポートリーファームを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、前第2四半期連結累計期間までは連結決算でありましたが、前第3四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。そのため、比較分析について、2022年3月期の業績は、吸収合併した完全子会社の前第2四半期累計期間の業績を含んでおりません。また、2022年3月期における当期純利益には、吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益499百万円が含まれております。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
(資産合計)
当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べて1,299百万円増加し16,849百万円となりました。
流動資産は、前事業年度末に比べて1,915百万円増加し5,763百万円となりました。これは、主として現金及び預金が679百万円、売掛金が530百万円、未収入金が728百万円それぞれ増加したこと等によるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べて616百万円減少し11,085百万円となりました。これは、主として繰延税金資産が248百万円増加した一方で、関係会社株式が180百万円減少した事に加え、減損損失の計上等により有形固定資産が543百万円減少したこと等によるものです。
なお、当事業年度において実施いたしました設備投資の総額は1,664百万円であります。これらの資金は自己資金及び借入金でまかなっております。
(負債合計)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べて707百万円増加し6,102百万円となりました。
流動負債は、前事業年度末に比べて580百万円増加し3,988百万円となりました。これは、主として買掛金が362百万円、未払法人税等が405百万円増加した一方で、設備関係支払手形が133百万円、その他が91百万円それぞれ減少したこと等によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べて126百万円増加し2,113百万円となりました。これは主として長期借入金が132百万円増加したこと等によるものです。
(純資産合計)
当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べて592百万円増加し10,746百万円となりました。これは、主として剰余金の配当を126百万円計上し、その他有価証券の評価差額金が26百万円減少したものの、当期純利益を745百万円計上したこと等によるものです。
b.経営成績
当事業年度における日本経済は、依然として終結の目途が立たないロシアによるウクライナ侵攻に伴う世界的なエネルギー、資源相場の高止まりや米国金利引き上げに伴う円安により企業物価指数、消費者物価指数は高止まり、実質賃金は今年3月まで12か月連続減少を続けています。一方新型コロナウイルス感染症は今年に入り徐々に感染者が減少、昨年秋以降の外国人の入国規制の緩和もあり、輸送業、観光業、飲食業等を中心に本格的な景気回復局面に入りつつあります。
鶏卵業界におきましては、昨年10月に今シーズンはじめての鳥インフルエンザ感染が国内の農場で確認されて以降、感染拡大に歯止めがかからず、3月末までに感染事例は82例、1,600万羽近い採卵鶏が淘汰されております。この影響を受け、当事業年度平均鶏卵相場は、北海道Mサイズが1キロ280円21銭と前年比58円11銭高、東京Mサイズは1キロ250円74銭と前年比35円50銭高となりました。
当社は飼料価格の高騰を受けて当社鶏卵製品の売価改定に注力した結果、当事業年度の業績は、売上高は17,823百万円(前年同期比16.0%増)、営業利益は1,318百万円(前年同期比50.1%増)、経常利益は1,383百万円(前年同期比46.8%増)、当期純利益は745百万円(前年同期比37.4%減)となりました。なお、当社は第4四半期に当社が宮城県等に保有する農場、GP工場等で行う事業に関連する資産につき減損処理を行い、特別損失として1,069百万円を計上しております。減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (損益計算書関係)」に記載のとおりであります。
なお、当社は鶏卵事業のみの単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、売上債権の増加や有形固定資産の取得による支出等の増加があったものの、減損損失1,069百万円計上後の税引前当期利益を1,209百万円計上したこと等により、前事業年度末に比べ679百万円増加し、当事業年度末には2,528百万円(前年同期比36.7%増)となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は2,519百万円(同37.2%増)となりました。主な増加要因は、税引前当期純利益1,209百万円、減価償却費1,139百万円、減損損失1,069百万円等の計上であり、主な減少要因は、売上債権の増加535百万円、法人税等の支払額306百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は1,820百万円(同131.9%増)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出1,920百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は19百万円(同98.0%減)となりました。これは主に長期借入による収入700百万円による資金の増加を、長期借入金の返済による支出569百万円、配当金の支払による支出126百万円等による資金の減少が上回ったことによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
レンダリング事業については当事業年度より事業を開始いたしております。
a.生産実績
当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における生産実績は区分別に記載しております。
区分別
当事業年度(百万円)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
鶏 卵
13,915
32.4
鶏糞肥料
127
144.0
レンダリング
256
-
食 品
102
12.3
その他
-
△100.0
合計
14,400
35.1
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.当事業年度において、鶏卵の生産実績に著しい変動がありました。これは、ロシアのウクライナ侵攻に端を発した世界的な原料価格高騰に伴う、国内飼料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰等によるものです。
b.商品仕入実績
当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における商品仕入実績は区分別に記載しております。
区分別
当事業年度(百万円)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
鶏 卵
154
△92.1
食 品
156
26.6
その他
0
△6.6
合計
311
△85.0
(注)金額は仕入価格によっております。
c.受注実績
当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d.販売実績
当社の事業は鶏卵事業の単一セグメントであり、当事業年度における販売実績は区分別に記載しております。
区分別
当事業年度(百万円)
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
鶏 卵
17,413
15.4
鶏糞肥料
9
208.1
レンダリング
87
-
食 品
313
16.2
その他
0
20.6
合計
17,823
16.0
(注)1.総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がないため、記載を省略しております。
2.当事業年度において、鶏卵の販売実績に著しい変動がありました。これは、国内の鳥インフルエンザ感染拡大により鶏卵相場が上昇したこと等によるものです。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。また、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
なお、当社は2021年10月1日付で当社の完全子会社であった株式会社第一ポートリーファームを吸収合併(簡易合併・略式合併)したことに伴い、前第2四半期連結累計期間までは連結決算でありましたが、前第3四半期累計期間より非連結決算へ移行いたしました。そのため、比較分析について、2022年3月期の業績は、吸収合併した完全子会社の前第2四半期累計期間の業績を含んでおりません。また、2022年3月期における当期純利益には、吸収合併に伴う抱合せ株式消滅差益499百万円が含まれております。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下の通りです。
鶏卵販売重量は前年同期比0.8%の減少、鶏卵相場はMサイズ平均の前年同期比北海道相場で26.2%、東京相場で16.5%上昇しました。その結果、売上高は前年同期比16.0%の増加の17,823百万円となりました。
売上高総利益率は17.5%と前年同期比0.3ポイント改善しました。営業利益については、主に卵価相場の上昇により前年同期比440百万円増加の1,318百万円となりました。また、当期純利益は、当第4四半期に減損損失を1,069百万円を特別損失に計上したこと等から前年同期比445百万円減少し745百万円となりました。なお、減損損失の内容につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (損益計算書関係)」に記載のとおりであります。
当社が経営管理上重視している道内市場占有率、販売重量、農場における飼料要求率、製造部門における稼働率等の管理指標はほぼ計画通りとなっており、当社の収益構造を支える基礎的な体力は維持されていると判断しております。
今後については経営戦略に掲げた事業領域の拡大、付加価値卵の拡販、農場成績向上に加え、課題として掲げた納入単価の改定や物流の合理化によるコスト削減等を確実に実行し、当社収益構造の改善を達成してまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
資金需要動向については以下の通りです。
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは飼料費、初生雛費、大雛費、各事業についての一般管理費等があります。設備資金需要としては、鶏舎の建替え、GP工場の機械更新、情報処理投資等があります。
資金調達及び流動性確保に関する認識は以下の通りです。
当社の事業活動の維持拡大に必要な資金を安定的に確保するため、内部資金の活用及び金融機関からの借入による資金調達を行っております。尚、当社のD/Eレシオは0.21と極めて低く、当面の資金調達余力に問題はないと認識しております。
新型コロナウイルス感染症による当事業年度のキャッシュ・フローへの影響につきましては、「3 事業等のリスク (1)事業環境に関するリスク ⑤新型コロナウイルスの影響について」に記載の通りであります。また、鳥インフルエンザ感染による影響につきましては、「3 事業等のリスク (2)事業活動に関するリスク ③鳥インフルエンザ発生による殺処分、移動制限等」に記載の通りであります。特に鳥インフルエンザについては当社農場での感染の拡大や長期化の程度によっては当社のキャッシュ・イン・フローへの影響も避けられない可能性もありますが、当面は潤沢な内部留保もあり、資金調達に問題はないと認識しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積もりに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。