【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類に移行したことで、経済活動は正常化に向かい、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、半導体需要の循環的な落ち込みや世界的な設備投資意欲の減退など依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米欧は金融引き締めにより景気減速傾向にあり、中国は景気回復に力強さを欠いている中、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。
化学業界におきましては、為替相場は米欧の長期的な金融引き締め観測から円安方向に推移し、また原油価格は世界的な景気の鈍化と供給不安から価格上昇下落双方の思惑が交錯するなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。
このような環境下における当第1四半期連結累計期間の売上高は、販売量の減少などにより389億1千4百万円(前年同期比12.2%減)となりました。利益面では、販売量の減少などにより営業利益は7億4百万円(前年同期比63.1%減)、経常利益は28億4千2百万円(前年同期比33.3%減)、投資有価証券売却益の計上等により親会社株主に帰属する四半期純利益は29億6千万円(前年同期比16.7%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
<生活・健康産業関連分野>
生活産業関連分野は、ヘアケア製品用界面活性剤が順調に推移しましたが、ポリエチレングリコールが国内外ともに市況が低迷し需要が大きく減少したため、売上高は減少しました。
健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が日本・中国含むアジア全体で販売数量が減少し、原材料・ユーティリティ価格上昇に伴う販売価格改定を実施したものの、売上高は大幅に減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は112億7千8百万円(前年同期比25.4%減)、営業損失は5億8千6百万円(前年同期は1億6百万円の営業利益)となりました。
<石油・輸送機産業関連分野>
石油・輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、自動車内装表皮材用ウレタンビーズは国内が回復基調にあるものの、潤滑油添加剤の需要が低調であったため、売上高は横ばいとなりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は118億6千2百万円(前年同期比2.9%増)、営業利益は3億9千2百万円(前年同期比39.6%減)となりました。
<プラスチック・繊維産業関連分野>
プラスチック産業関連分野は、永久帯電防止剤が電子部品需要低迷のため低調となり、塗料コーティング用薬剤・添加剤も中国向け需要が減少し売上高は減少しました。
繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が順調に売り上げを伸ばしましたがタイヤコード糸等の製造時に使用される油剤の需要が減少し売上高は低調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は62億8千7百万円(前年同期比11.8%減)、営業利益は5億9千1百万円(前年同期比25.1%減)となりました。
<情報・電気電子産業関連分野>
情報産業関連分野は、トナー関連材料の需要が減少したものの、原料価格高騰等による価格改定により売上高は増加しました。
電気電子産業関連分野は、半導体市場の減速に伴い、関連材料の売り上げが減少しました。またアルミ電解コンデンサ用電解液も低調となり売上高は減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は58億6千4百万円(前年同期比1.2%減)、営業利益は5億2千3百万円(前年同期比15.1%減)となりました。
<環境・住設産業関連分野他>
環境産業関連分野は、高分子凝集剤用のカチオンモノマーの需要が低迷したため、売上高は低調に推移しました。
住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料及び建築シーラント用原料の販売が巣ごもり需要の一巡により減少しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は36億2千2百万円(前年同期比21.6%減)、営業利益は1億3千万円(前年同期比12.2%増)となりました。
当第1四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べて1億7千2百万円減少し、2,020億9百万円となりました。
また、純資産は前連結会計年度末に比べて17億2千5百万円増加し、1,507億2千万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末から1.0ポイント増加し、73.2%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し6億1千万円増加(前年同期は15億1千5百万円増加)し、176億5千3百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、27億6千9百万円(前年同期は53億6百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益43億3千3百万円、減価償却費26億7千5百万円、売上債権の減少14億5千9百万円などによる資金の増加が、仕入債務の減少9億2百万円、法人税等の支払額12億8千6百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、7億3千2百万円(前年同期は29億6千4百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得による支出17億1千8百万円、その他8億5千1百万円などによる資金の減少が、投資有価証券売却による収入17億6千4百万円などによる資金の増加を上回ったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、17億7千7百万円(前年同期は17億5千1百万円の減少)となりました。これは配当金の支払額18億5千2百万円による資金の減少などによるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は14億9百万円となりました。
なお、当第1四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。