【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による経済活動の制限が緩和され、個人消費や輸出に持ち直しの動きが見られましたが、サプライチェーンの混乱や原材料・部品の供給制約が続くなど依然として厳しい状況となりました。世界経済は、米欧は金融引き締めを通じた景気減速懸念があり、中国は行動制限による景気下振れからの回復に力強さを欠いている中、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源エネルギー価格の高止まり・物価上昇など、先行き不透明な状況にあります。
化学業界におきましては、為替相場は米欧の利上げなどによる急激な円安後、米欧の景気減速懸念や日銀の金融緩和策の修正などから一転して円高方向に推移し、原油価格は世界的な景気減速懸念と供給不安から価格上昇下落双方の思惑が交錯し方向感のない動きになるなど、事業環境は予断を許さない状況にあります。
このような環境下における当第3四半期連結累計期間の売上高は、原料価格上昇に伴う販売価格の改定などにより1,341億8千3百万円(前年同期比11.0%増)となりました。利益面では、販売量の減少、販売費及び一般管理費の増加などにより営業利益は66億5千6百万円(前年同期比30.7%減)、経常利益は88億9千9百万円(前年同期比21.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は62億8千4百万円(前年同期比16.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、第1四半期連結会計期間より、報告セグメントに帰属しない新規事業にかかる研究開発費の配賦方法の見直しをしております。前年同期の数値を変更後の配賦方法で算出した数値で比較しております。詳細については、
「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
<生活・健康産業関連分野>
生活産業関連分野は、ポリエチレングリコールが中国・上海市でのロックダウンの影響により需要が減少したものの、ヘアケア製品用界面活性剤が売り上げを伸ばし、また製紙関連薬剤が堅調であったことにより、売上高は好調に推移しました。
健康産業関連分野は、高吸水性樹脂が主に中国市場で落ち込んだものの全拠点で原料価格高騰による価格改定を行い、売上高は微増となりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は445億4千4百万円(前年同期比8.3%増)、営業利益は高吸水性樹脂の販売量の減少などにより3億4千7百万円(前年同期比77.5%減)となりました。
<石油・輸送機産業関連分野>
石油・輸送機産業関連分野は、自動車シートなどに使われるポリウレタンフォーム用原料、自動車内装表皮材用ウレタンビーズおよび潤滑油添加剤が自動車減産により需要が減少したものの、原料価格高騰による価格改定により売上高は大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は364億4千4百万円(前年同期比16.9%増)、営業利益は23億8千5百万円(前年同期比21.9%減)となりました。
<プラスチック・繊維産業関連分野>
プラスチック産業関連分野は、主力の永久帯電防止剤が低調でしたが、塗料コーティング用薬剤・添加剤が海外向けに売り上げを伸ばし、好調に推移しました。
繊維産業関連分野は、炭素繊維用薬剤が順調に売り上げを伸ばし、また合成皮革・弾性繊維用ウレタン樹脂の販売も好調に推移し、売上高は大幅に増加しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は214億9千3百万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は22億7千7百万円(前年同期比25.1%減)となりました。
<情報・電気電子産業関連分野>
情報産業関連分野は、コロナ禍で落ち込んだオフィスでの印刷需要が回復し、重合トナー用ポリエステルビーズの原料、粉砕トナー用バインダーの販売がともに好調に推移したため、売上高は大幅に増加しました。
電気電子産業関連分野は、半導体市場の減速に伴い、汎用レジスト用材料の需要は減少しましたが、先端レジスト用材料の感光材が売り上げを伸ばし、またアルミ電解コンデンサ用電解液も大幅に売り上げが増加したため、売上高は好調に推移しました。
以上の結果、当セグメントの売上高は173億1千4百万円(前年同期比13.6%増)、営業利益は17億8千3百万円(前年同期比6.1%減)となりました。
<環境・住設産業関連分野他>
環境産業関連分野は、海外向け高分子凝集剤用のカチオンモノマーが売り上げを伸ばし、売上高は大幅に増加しました。
住設産業関連分野は、家具・断熱材などに用いられるポリウレタンフォーム用原料の販売が巣ごもり需要の一巡により低調でしたが、建築シーラント用原料が原料価格高騰による価格改定により売上高は大幅に増加し、全体では横ばいとなりました。
以上の結果、当セグメントの売上高は143億8千8百万円(前年同期比4.0%増)、営業利益は10億4百万円(前年同期比19.6%減)となりました。
当第3四半期連結会計期間末の財政状態は以下のとおりであります。
総資産は、前連結会計年度末に比べて152億7百万円増加し2,154億1百万円となりました。
また、純資産は前連結会計年度末に比べて27億9千5百万円増加し1,498億2千8百万円となり、自己資本比率は前連結会計年度末から3.9ポイント減少し68.3%となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第3四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高と比較し11億4百万円増加(前年同期は34億9千2百万円減少)し、当第3四半期連結会計期間末残高は192億7千6百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、100億5千1百万円(前年同期は105億9千2百万円の増加)となりました。これは、税金等調整前四半期純利益89億7千万円、減価償却費76億2千3百万円、仕入債務の増加93億9千1百万円などによる資金の増加が、法人税等の支払額37億6千4百万円、売上債権の増加56億3千1百万円、棚卸資産の増加65億8千3百万円などによる資金の減少を上回ったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、90億6千8百万円(前年同期は91億5千9百万円の減少)となりました。これは、固定資産の取得に72億7千2百万円を支出したことなどによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、2億4千5百万円(前年同期は53億5千5百万円の減少)となりました。これは配当金の支払額37億3千8百万円、長期借入金の返済による支出7億円、非支配株主への配当金の支払額2億2千5百万円などの資金の減少が、短期借入金の増加45億6千7百万円(純額)などの資金の増加を上回ったことによるものです。
(3)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は42億9千3百万円となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間において、研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6)主要な設備
前連結会計年度末において計画中であった主要な設備の新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変更はありません。
当第3四半期連結累計期間において、新たに確定した重要な設備の新設等の計画は、次のとおりであります。
会社名
事業所名
所在地
設備の内容
セグメントの
名称
投資予定金額
資金調達
方法
着手及び完了予定年月
完成後の
増加能力
(t/年)
総額
(百万円)
既支払額
(百万円)
着手
完了
提出会社
鹿島工場
茨城県
神栖市
炭素繊維用薬剤
製造設備
(新設)
プラスチック・繊維産業関連分野
686
-
自己資金
2022年6月
2024年5月
1,184
提出会社
名古屋工場
愛知県
東海市
アルミ電解コンデンサ用電解液製造設備(Step1)
(生産能力増強)
情報・電気電子産業関連分野
360
-
自己資金
2022年6月
2023年5月
640
提出会社
名古屋工場
愛知県
東海市
アルミ電解コンデンサ用
電解液製造設備(Step2)
(生産能力増強)
情報・電気電子産業
関連分野
530
-
自己資金
2023年1月
2025年4月
770
サンノプコ
株式会社
愛知県
東海市
高機能分散剤製造設備
(生産能力増強)
プラスチック・繊維産業関連分野
415
-
自己資金
2022年9月
2024年4月
2,380