【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第2四半期連結会計期間においては、ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安などの影響による原材料価格およびエネルギー価格や物流費等の諸物価の大幅な上昇が継続して収益を大きく圧迫する要因となっております。COVID-19の影響については、これまで同様に当社の事業活動への大きな影響はありませんでした。一方、当社のパーパスである「水が途切れない世界を実現する」ために、「管路分野のInnovative All in ワンストップ企業」に向けて行っている、既存事業とのシナジーを期待する新規・周辺事業の拡大等の取り組みについては、これまでの活動の推進を加速させつつ、新たな活動も加え、一層厚みを増した形での歩みを進めております。
公共インフラに関するシビックテックとしてWhole Earth Foundationとともに手掛けている「鉄とコンクリートの守り人」に関しては、引き続き関心を示していただいており、さらなる情報収集活動を行いつつ、地方での開催に向けた準備も進めております。加えて、DX推進の一環として、鉄蓋の点検業務における作業効率の劇的改善を実現したソフト「だいさくくん」を開発いたしました。スマートフォンやタブレットで、点検業務、写真データ、観測データの収集・集計ができ、下水道台帳に準拠したフォーマットへ自動で編集できるソフトです。今後、事業体様・点検会社様へのご提案を進めてまいります。
Fracta社とのパートナーシップによるFracta-AI管路診断技術のソフト販売活動についても、お陰様で30を超える事業体様よりご利用をいただいており、さらなる進化を遂げてきております。新たに、Fracta社の開発により、消失・欠損した管路データをAIによって修正・補完する管路台帳整備の新サービスの「バーチャルパイプ」や、これまでご提供してきた「診断後1~5年以内の水道管破損確率」に加え、管路ごとの「余寿命(次回漏水が発生するまでの期間)」が算出できる新機能「余寿命予測」を追加し、より高度なサービスの提供により、さらなる拡販に努めてまいります。至近の取組として、福岡市では社会課題の解決等を促進するために、民間事業者の先進的なアイデアやAI・IoTといった先端技術を活用した公民連携の推進を目的としたワンストップ窓口として、 『mirai@』(ミライアット)を設置し、提案者と市が共働で行政サービスの高質化・効率化に資するプロジェクトを実施する『共働事業』を行っていますが、今回、この中の「『AIを活用した水道管路劣化予測』実証プロジェクト」にFracta-AIを提案し、参画させていただいております。
当社開発商品である、さや管推進工法対応部品「オセール」とプリセット接合工具「楽ちゃく」は、いずれも誰でも楽に簡単に短時間で施工ができることから、人材不足の課題を抱える工事施工会社にとって、極めて有用であり、一層の拡販を進めているところです。また、当社との共同開発で㈱水研が販売開始しましたKATANAバルブは、知的財産権を共同保有する当社が製造を担っておりますが、切粉を一切混入させることなく短時間で簡単に管路にバルブを設置できるようにすることで、水質確保や施工時間の短縮といった利便性を有しており、海外販売も含めた事業活動を展開していきます。これらの製品はいずれも、ESG経営の一環としても取り組んできたものであり、施工が簡単に短時間でできることなどにより、人材不足への対応といった社会問題解決に極めて有用と考えております。
ESG経営としての主な取り組みとしては、カーボンニュートラル実現に向けた、電気炉建設チームによる、キュポラ代替製法導入検討を急ピッチで進めております。また世界のすべての人に清潔な水、適切なトイレ、衛生習慣を届ける活動に取り組んでいる国際NGOウォーターエイドのオリジナル教材を使った授業を久喜市の中学校にて、今般当社が講師・サポート役として携わり、中学生に日本や海外の水道事情について、理解を深めていただきました。当社はこのように、さまざまなパートナーとの連携も積極的に行いながら、新規・周辺事業の拡大やESG経営を推進しております。
当第2四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなっております。
売上高につきましては、前連結会計年度に実施した原材料等の高騰に伴う価格改定での増収等により、前年同期比では8億31百万円(前年同期比10.8%)増加の、85億13百万円となりました。収益につきましては、前年度の価格改定実施以後も原材料価格および電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続に対し、販売価格の追加的引上げや継続的な合理化の成果などにより挽回を図り、営業利益は2億8百万円となり、経常利益はほぼ横ばいで2百万円(前年同期比1.2%)減少の2億38百万円となりました。親会社株主に帰属する四半期純利益は7百万円(前年同期比5.9%)増加し1億36百万円となりました。これまでに行ってきた施策を継続的に着実に行ってきたことにより、環境変化にも耐えうる基盤は確立されてきているものの、今回の原材料価格をはじめとした諸物価の急激な高騰に対してまでは抗しきれず、前年同期比ほぼ横ばいの結果となりました。こういった足元の原材料価格・諸物価等の高騰への対応のため、22年9月受注分よりダクタイル鋳鉄製品の10%以上の価格改定をお客様のご理解を得つつ進めております。引き続き、皆様のご期待に添えるような企業運営に努め、さらなる安定利益を確保するよう一層努力してまいりますので、ご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
① ダクタイル鋳鉄関連当第2四半期連結累計期間の売上高につきましては、原材料価格等の高騰に伴う価格改定での増収等により、前年同期と比べ8億62百万円(前年同期比12.8%)増加し、76億16百万円となりました。セグメント利益につきましては、前年度の価格改定実施以後も原材料価格及び電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続に対し、販売価格の追加的引き上げや継続的な合理化の成果などにより挽回を図り、前年同期と比べ45百万円(前年同期比71.4%)増加し、1億9百万円のセグメント利益となりました。
② 樹脂管・ガス関連当第2四半期連結累計期間の売上高につきましては、子会社のリサイクル事業の売上が減少したこと等により、前年同期と比べ30百万円(前年同期比3.3%)減少し、8億96百万円となりました。セグメント利益につきましても、子会社のリサイクル事業の売上が減少したこと等及び原材料価格及び電力・ガス・物流費等の諸物価の更なる上昇の継続により、前年同期と比べ80百万円(前年同期比46.7%)減少し、91百万円のセグメント利益となりました。 当第2四半期連結累計期間の総資産は、183億33百万円と前連結会計年度末と比べ5億53百万円増加しました。これは主に、流動資産の「現金及び預金」が12億8百万円減少する一方で、「受取手形及び売掛金」が10億71百万円、「電子記録債権」が3億48百万円、「仕掛品」が1億45百万円それぞれ増加したことに加え、固定資産の有形固定資産「その他(純額)」が1億47百万円増加したことによるものであります。負債合計は、98億73百万円と前連結会計年度末と比べ4億85百万円増加しました。これは主に、流動負債の「支払手形及び買掛金」が2億40百万円、「電子記録債務」が2億88百万円それぞれ増加したことによるものであります。純資産合計は、84億60百万円と前連結会計年度末と比べ68百万円増加しました。これは「親会社株主に帰属する四半期純利益」を1億36百万円計上する一方、配当金の支払いによる減少が70百万円あったことによるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、19億3百万円と前連結会計年度末に比べて12億8百万円(38.8%)の減少となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の減少は、6億4百万円(前年同四半期連結累計期間は2億27百万円の増加)となりました。これは主に、増加要因としての税金等調整前四半期純利益2億36百万円、減価償却費1億82百万円、仕入債務の増加額5億24百万円があった一方、減少要因としての売上債権の増加額14億19百万円、棚卸資産の増加額1億47百万円があったこと等により資金の減少が資金の増加を上回ったことによるものであります。鋳鉄管の需要期はおおむね例年6月から12月までとなっており、売上債権と棚卸資産が季節的要因で一時的に増加することに加え、原材料価格およびエネルギー価格等の上昇が前年同期以降も継続するなか、販売価格の改定を行い、価格転嫁を順次進めているため売上債権等の運転資金が増加しているものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は、5億13百万円(前年同四半期連結累計期間は6億32百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3億72百万円、無形固定資産の取得による支出1億23百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の減少は、90百万円(前年同四半期連結累計期間は1億65百万円の減少)となりました。これは主に、配当金の支払による支出70百万円によるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループ(当社及び当社の関係会社)の優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は23百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。