【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日まで)における当社グループの事業環境は、ウクライナの地政学的問題、米中貿易摩擦、世界的な物価上昇、円安の進行などにより、引き続き、先行きを見通すことが困難な状況でした。主に鉄鋼、化学、石油精製向けにオンサイトで供給するセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少しました。一方、欧米を中心にエネルギーコストは一時期の高値圏に比べ下落基調に入り、セパレートガスの製造原価に多く占める電力コストの負担は前期に比べ緩和されました。また、コスト増加分の販売価格への転嫁等の価格マネジメント、さまざまな生産性向上への取組みに、グループ全体で注力しました。
このような状況の下、当第1四半期連結累計期間における業績は、売上収益3,089億3百万円(前年同期比 11.9%増加)、コア営業利益407億48百万円(同 34.6%増加)、営業利益407億15百万円(同 48.2%増加)、親会社の所有者に帰属する四半期利益245億58百万円(同 42.1%増加)となりました。
為替の影響については、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで131円25銭から139円63銭へと8円38銭(同 6.4%増加)の円安、ユーロで138円75銭から151円89銭へと13円14銭(同 9.5%増加)の円安、豪ドルで92円52銭から91円94銭へと58銭(同 0.6%減少)の円高となるなど、売上収益は全体で約116億円、コア営業利益は全体で約16億円多く表示されています。
なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。
セグメント業績は、次のとおりです。
なお、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。
① 日本
産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス、炭酸ガス及びLPガスの出荷数量は減少しましたが、コスト上昇を背景とした販売価格の改定効果により、増収となりました。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの販売は堅調で、増収となりました。機器・工事では、産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、中大型案件の進行基準による計上等により、増収となりました。
以上の結果、日本セグメントの売上収益は、1,076億29百万円(前年同期比 13.1%増加)、セグメント利益は、112億45百万円(同 87.1%増加)となりました。
② 米国
産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少しましたが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、増収となりました。機器・工事では、産業ガス関連はガス関連機器を中心に好調であり、エレクトロニクス関連も順調に推移し、増収となりました。
以上の結果、米国セグメントの売上収益は、820億51百万円(前年同期比 19.1%増加)、セグメント利益は、111億91百万円(同 20.0%増加)となりました。なお、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されています。
③ 欧州
産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス及び炭酸ガスの出荷数量は減少しましたが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、増収となりました。機器・工事では、医療関連機器の販売が好調で増収となりました。また、生産性向上とコスト低減の取組みによる寄与がありました。
以上の結果、欧州セグメントの売上収益は、731億46百万円(前年同期比 12.6%増加)、セグメント利益は、131億50百万円(同 49.1%増加)となりました。なお、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されています。
④ アジア・オセアニア
産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は減少しましたが、コスト上昇等を背景とした販売価格の改定効果により、売上収益は増収となりました。なお、主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、販売単価及び販売数量は前期並みでした。エレクトロニクス関連では、東アジアで、客先の稼働状況による在庫調整や設備投資の先送りに伴い、ガス・機器ともに軟調で、大きく減収となりました。
以上の結果、アジア・オセアニアセグメントの売上収益は、384億69百万円(前年同期比 2.1%減少)、セグメント利益は、41億28百万円(同 10.6%減少)となりました。なお、円安の影響で売上収益は多く表示されています。
⑤ サーモス
日本では、ケータイマグ及びフライパンなどの調理用品の販売は堅調で、売上収益は微増でした。また、海外での販売は軟調でした。セグメント利益は、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で、大きく減益となりました。
以上の結果、サーモスセグメントの売上収益は、75億84百万円(前年同期比 1.2%減少)、セグメント利益は、14億27百万円(同 27.2%減少)となりました。
(2)財政状態の分析
当第1四半期連結会計期間末の資産合計は2兆2,886億1百万円で、前連結会計年度末比で1,296億50百万円の増加となっております。為替の影響については、前連結会計年度末に比べ期末日レートが米ドルで11円46銭の円安、ユーロで11円88銭の円安となるなど、約1,349億円多く表示されております。
〔資産〕
流動資産は、売却目的で保有する資産の増加や現金及び現金同等物の減少等により、前連結会計年度末比で217億81百万円増加し、5,488億55百万円となっております。
非流動資産は、有形固定資産やのれんの増加等により、前連結会計年度末比で1,078億69百万円増加し、1兆7,397億45百万円となっております。
〔負債〕
流動負債は、社債及び借入金の増加や営業債務の減少等により、前連結会計年度末比で328億57百万円増加し、4,580億14百万円となっております。
非流動負債は、繰延税金負債の増加や社債及び借入金の減少等により、前連結会計年度末比で72億59百万円増加し、9,830億56百万円となっております。
〔資本〕
資本は、在外営業活動体の換算差額や親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による増加等により、前連結会計年度末比で895億33百万円増加し、8,475億30百万円となっております。
なお、親会社所有者帰属持分比率は35.5%で前連結会計年度末に比べ2.0ポイント高くなっております。
(3)キャッシュ・フローの分析
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
税引前四半期利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは336億10百万円の収入(前年同期比 5.7%増加)となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
有形固定資産の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは249億75百万円の支出(前年同期比 25.5%増加)となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
長期借入金の返済による支出、短期借入金の純増減額、長期借入れによる収入等により、財務活動によるキャッシュ・フローは249億22百万円の支出(前年同期比 47.7%増加)となりました。
これらの結果に、為替換算差額等を加えた当第1四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の四半期末残高は、1,224億23百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、9億84百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。