【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)業績の状況
当第3四半期連結累計期間(2022年4月1日から2022年12月31日まで)における当社グループの事業環境は、ウクライナの地政学的問題、米中貿易摩擦、世界的なエネルギーコストの高騰や物価上昇、円安の進行など、先行きを見通すことが困難な厳しい状況でした。この結果、主力製品であるセパレートガス(酸素、窒素、アルゴン)の出荷数量は、前期比で減少しました。一方で、価格改定、コスト回収、価格マネジメント、堅実な生産性向上への取組みに、グループ全体で注力しました。
このような状況の下、当第3四半期連結累計期間における業績は、売上収益8,730億42百万円(前年同期比 26.2%増加)、コア営業利益875億37百万円(同 14.7%増加)、営業利益843億98百万円(同 10.7%増加)、親会社の所有者に帰属する四半期利益524億0百万円(同 4.5%増加)となりました。
為替の影響については、期中平均レートが前年同期に比べ、米ドルで111円45銭から136円85銭へと25円40銭(同 22.8%増加)の円安、ユーロで130円96銭から140円83銭へと9円87銭(同 7.5%増加)の円安、豪ドルで82円69銭から93円16銭へと10円47銭(同 12.7%増加)の円安となるなど、売上収益は全体で約627億円、コア営業利益は全体で約79億円多く表示されています。
なお、コア営業利益は営業利益から非経常的な要因により発生した損益(事業撤退や縮小から生じる損失等)を除いて算出しております。
セグメント業績は、次のとおりです。
なお、当第3四半期連結会計期間より、従来、「日本ガス事業」「米国ガス事業」「欧州ガス事業」「アジア・オセアニアガス事業」「サーモス事業」としていた報告セグメントの名称を、「日本」「米国」「欧州」「アジア・オセアニア」「サーモス」に変更しておりますが、セグメント情報に与える影響はありません。
また、セグメント利益はコア営業利益で表示しております。
① 日本
産業ガス関連の売上収益は、主力製品であるセパレートガス及びLPガスにおいて出荷数量は減少したものの、コスト上昇に伴う販売価格の上昇により増収となりました。また、エレクトロニクス関連での電子材料ガスの販売は堅調で増収となりました。機器・工事では産業ガス関連、エレクトロニクス関連共に、前期に比べ増収となりました。一方で、エネルギー価格や物価上昇の影響に伴う製造コスト及び物流費等の上昇が続いており、販売価格の上昇との間に時間差があることから減益となりました。
以上の結果、日本セグメントの売上収益は、3,005億50百万円(前年同期比 12.7%増加)、セグメント利益は、201億36百万円(同 10.4%減少)となりました。
② 米国
産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は前期並みでしたが、売上収益はコスト上昇に伴う販売価格の上昇により増収となりました。また、炭酸ガスについては特にドライアイスの販売が好調でした。機器・工事では、溶接・溶断関連機材で前期に比べ大幅に増収となりました。一方、エレクトロニクス関連の販売は前期並みでした。
以上の結果、米国セグメントの売上収益は、2,236億8百万円(前年同期比 36.2%増加)、セグメント利益は、260億99百万円(同 27.7%増加)となりました。加えて、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されています。
③ 欧州
主力製品であるセパレートガスは、客先稼働状況により出荷数量が減少しましたが、エネルギー価格と物価上昇の影響等の大幅なコスト上昇を販売価格の上昇で吸収できた結果、売上収益は大幅な増収となりました。また、生産性向上とコスト低減の取り組みによる寄与がありました。
以上の結果、欧州セグメントの売上収益は、2,033億2百万円(前年同期比 36.2%増加)、セグメント利益は、253億87百万円(同 30.7%増加)となりました。加えて、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されています。
④ アジア・オセアニア
産業ガス関連では、主力製品であるセパレートガスの出荷数量は堅調に推移し、売上収益は増収となりました。主に豪州地域での販売が多くを占めるLPガスでは、引き続き仕入れ価格の上昇による販売単価の上昇と堅調な販売数量の推移により増収となりました。エレクトロニクス関連では、ガス・機器ともに好調に推移し、増収となりました。
以上の結果、アジア・オセアニアセグメントの売上収益は、1,228億68百万円(前年同期比 35.3%増加)、セグメント利益は、123億21百万円(同 26.6%増加)となりました。加えて、円安の影響で売上収益及びセグメント利益は多く表示されています。
⑤ サーモス
日本では、2022年春に政府による外出等の制限が緩和されたことから、ケータイマグやスポーツボトルの販売が堅調であったことに加え、フライパンなどの調理用品も好調に推移し、売上収益は大幅な増収となりました。海外での販売も順調でした。一方で、物価上昇による原材料価格の上昇と円安による製造コストの増加で減益となりました。
以上の結果、サーモスセグメントの売上収益は、226億39百万円(前年同期比 11.2%増加)、セグメント利益は、44億75百万円(同 9.7%減少)となりました。
(2)財政状態の分析
当第3四半期連結会計期間末の資産合計は2兆1,099億8百万円で、前連結会計年度末比で1,328億82百万円の増加となっております。為替の影響については、前連結会計年度末に比べ期末日レートが米ドルで10円31銭の円安、ユーロで4円77銭の円安となるなど、約745億円多く表示されております。
〔資産〕
流動資産は、営業債権や棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末比で857億93百万円増加し、5,082億87百万円となっております。
非流動資産は、有形固定資産やのれんの増加等により、前連結会計年度末比で470億88百万円増加し、1兆6,016億21百万円となっております。
〔負債〕
流動負債は、社債及び借入金やその他の金融負債の増加等により、前連結会計年度末比で1,014億22百万円増加し、4,330億17百万円となっております。
非流動負債は、社債及び借入金の減少や繰延税金負債の増加等により、前連結会計年度末比で278億43百万円減少し、9,564億49百万円となっております。
〔資本〕
資本は、親会社の所有者に帰属する四半期利益の計上による増加や、利益剰余金の配当による減少、在外営業活動体の換算差額の増加等により、前連結会計年度末比で593億3百万円増加し、7,204億41百万円となっております。
なお、親会社所有者帰属持分比率は32.6%で前連結会計年度末に比べ0.8ポイント高くなっております。
(3)キャッシュ・フローの分析
〔営業活動によるキャッシュ・フロー〕
税引前四半期利益、減価償却費及び償却費、法人所得税の支払額又は還付額等により、営業活動によるキャッシュ・フローは1,082億26百万円の収入(前年同期比 11.2%増加)となりました。
〔投資活動によるキャッシュ・フロー〕
有形固定資産の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは639億60百万円の支出(前年同期比 35.5%増加)となりました。
〔財務活動によるキャッシュ・フロー〕
長期借入金の返済による支出、コマーシャル・ペーパーの純増減額、短期借入金の純増減額等により、財務活動によるキャッシュ・フローは288億76百万円の支出(前年同期比 53.5%減少)となりました。
これらの結果に、為替換算差額等を加えた当第3四半期連結累計期間の現金及び現金同等物の四半期末残高は、1,095億35百万円となりました。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、28億37百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。