【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和に伴い、経済社会活動に持ち直しの動きが見られた一方で、ウクライナ情勢に起因する原材料・エネルギー価格の高騰、世界的な金融引締めの影響などにより、景気の先行きは不透明な状況が続いております。当防災業界におきましても、民間設備投資は回復傾向にあるものの、部品の供給制約や原材料価格の高騰の影響などにより、厳しい状況となっております。
このような状況のなか、当社グループは2028年度のありたい姿と、その実現に向けた施策を「中長期ビジョン2028 ~期待の先をカタチに~」として策定しており、各種の取組みを2022年度から始め、より高い付加価値を創造できる企業への変革に挑戦しております。この中長期ビジョンの初年度として、新型コロナウイルス感染症の感染防止に努めながら事業活動を展開してきた結果、当連結会計年度の受注高は114,168百万円(前年同期比2.9%増)、売上高は105,537百万円(前年同期比6.5%減)となりました。売上原価率は、厳しい環境ながら業務の刷新・原価低減に努めたものの、大型物件が減少したことや、比較的採算性の高い案件が前連結会計年度に集中していたことなどから、前年同期に比べ1.3ポイント上昇し、67.0%となりました。売上総利益は34,859百万円(前年同期比10.1%減)となり、売上総利益率は前年同期に比べ1.3ポイント低下し、33.0%となりました。販売費・一般管理費につきましては、前年同期に比べ148百万円減少しましたが、売上高に対する比率は1.5ポイント上昇の24.6%となりました。以上の結果、営業利益は8,879百万円(前年同期比29.7%減)、経常利益は9,420百万円(前年同期比28.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は7,022百万円(前年同期比24.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。火災報知設備セグメントにつきましては、積極的な営業に努めた結果、工事付は増収となったものの商品販売が減収となったことから、売上高は39,663百万円(前年同期比5.6%減)となりました。また、比較的採算性の高い案件が前連結会計年度に集中していたことなどから、営業利益は6,509百万円(前年同期比24.5%減)となりました。消火設備セグメントにつきましては、高層ビル等の一般物件及びプラント・トンネル等の特殊物件ともに減収となったことから、売上高は32,381百万円(前年同期比18.3%減)となりました。また、大型物件が減少したことなどから、営業利益は4,231百万円(前年同期比41.2%減)となりました。保守点検等セグメントにつきましては、受注を着実に積み上げたことから保守点検及び補修工事ともに増収となり、売上高は28,517百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は5,807百万円(前年同期比19.6%増)となりました。その他セグメントにつきましては、駐車場関連が増収となったことなどから、売上高は4,975百万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は283百万円(前年同期比506.9%増)となりました。
当社グループは、2028年度のありたい姿を実現するために中長期ビジョンを策定し、連結売上高を2025年3月期には133,000百万円、2029年3月期には170,000百万円以上まで伸ばすとともに、連結営業利益率を10%以上とすることを目指しております。当社グループを取り巻く事業環境は、部品の供給制約や原材料価格の高騰の影響などにより不透明な状況が続いていることから、この中長期ビジョンの初年度にあたる2023年3月期の実績につきましては公表していた業績予想に届かず、連結売上高は105,537百万円、連結営業利益率は8.4%となりました。このような状況にありますが、中長期ビジョンとして策定した施策への取組みをさらに加速させることで、目標達成を目指してまいります。
(2) 財政状態当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末と比べ3,002百万円増加し、151,602百万円となりました。これは、建設仮勘定が2,920百万円減少、受取手形、売掛金及び契約資産が2,595百万円減少したものの、建物及び構築物が3,275百万円増加、商品及び製品が1,584百万円増加、原材料及び貯蔵品が1,351百万円増加したことなどによります。負債は、前連結会計年度末と比べ1,741百万円減少し、34,966百万円となりました。これは、未払法人税等が1,340百万円減少したことなどによります。純資産は、利益剰余金の増加を主因として、前連結会計年度末と比べ4,744百万円増加し、116,635百万円となりました。セグメント資産につきましては、火災報知設備は前連結会計年度末と比べ6,293百万円増加の52,599百万円、消火設備は前連結会計年度末と比べ7,388百万円減少の35,523百万円、保守点検等は前連結会計年度末と比べ1,962百万円増加の15,232百万円、その他は前連結会計年度末と比べ76百万円減少の4,923百万円となりました。
(3) キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して177百万円の増加となり、47,684百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は、以下のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 法人税等の支払額4,449百万円、棚卸資産の増加額3,147百万円等による流出があったものの、税金等調整前当期純利益10,204百万円、売上債権及び契約資産の減少額2,681百万円等により、営業活動全体では5,194百万円の流入(前連結会計年度は3,559百万円の流入)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー)主に固定資産の取得による支出により2,613百万円の流出(前連結会計年度は4,874百万円の流出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー)主に配当金の支払いにより2,469百万円の流出(前連結会計年度は2,293百万円の流出)となりました。
資本の財源及び資金の流動性につきましては、当社グループは運転資金及び設備投資資金等の必要な資金を主に自己資金で賄っております。当社グループは、防災事業を通じて社会の安全に常に貢献し続けるためには、安定的な財務状況の維持が必要であると考えており、また、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上のための成長への投資機会を迅速・確実に捉えるためにも、十分な株主資本の水準を保持することを基本としております。当社グループはさらなる成長のため、研究開発などに積極的に投資していく方針であります。
(4) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、感染症の拡大(パンデミック)の影響等不確実性が大きく将来事業計画等の見込数値に反映させることが難しい要素もありますが、当連結会計年度末時点で入手可能な情報を基に検証等を行っております。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(a)繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の回収可能性は、将来の税金負担額を軽減する効果を有するかどうかで判断しております。当該判断は、収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性、タックス・プランニングに基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性及び将来加算一時差異の十分性のいずれかを満たしているかどうかにより判断しております。収益力に基づく一時差異等加減算前課税所得の十分性を判断するにあたっては、一時差異等の解消見込年度及び組戻・繰越期間における課税所得を見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する繰延税金資産及び法人税等調整額の金額に重要な影響を与える可能性があります。
(b)退職給付債務の算定当社グループには、確定給付制度を採用している会社が存在します。確定給付制度の退職給付債務及び関連する勤務費用は、数理計算上の仮定を用いて退職給付見込額を見積り、割り引くことにより算定しております。数理計算上の仮定には割引率等の様々な計算基礎があります。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において認識する退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。退職給付債務の算定において、主要な仮定の変化が当連結会計年度末の退職給付債務に与える感応度は以下のとおりであります。マイナス(△)は退職給付債務の減少を、プラスは退職給付債務の増加を表しております。感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外のすべての数理計算上の仮定が一定であることを前提としております。当連結会計年度末(2023年3月31日)
数理計算上の仮定の変化
退職給付債務に与える影響(百万円)
割引率
0.5%の上昇
△956
0.5%の低下
807
なお、当連結会計年度末の退職給付債務の算定に用いた主要な数理計算上の仮定は「第5
経理の状況
1連結財務諸表等(1)連結財務諸表
注記事項(退職給付関係)(9)数理計算上の計算基礎に関する事項」に記載のとおりであります。
(c)減損会計における将来キャッシュ・フロー減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定において用いられる将来キャッシュ・フローは、中期経営計画の前提になった数値を、経営環境などの外部要因に関する情報や当社グループが用いている内部の情報(予算など)と整合的に修正し、資産グループの現在の使用状況等を考慮し見積っております。当該見積り及び当該仮定について、将来の不確実な経済条件の変動等により見直しが必要となった場合、翌連結会計年度以降の連結財務諸表において将来の減損損失(特別損失)が発生する可能性があります。
(d)工事損失引当金受注時における戦略的低採算案件や工事契約における未引渡工事のうち損失の発生する可能性が高く、工事損失額を期末において合理的に見積ることの出来る工事については、当該損失見込額を工事損失引当金として計上しています。工事の進行に伴い見積りを超えた原価が発生する場合は当社グループの業績を悪化させる可能性があります。
(e)工事履行保証損失引当金見積りや前提条件については「第5
経理の状況
1連結財務諸表等
(1)連結財務諸表
注記事項
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)
4会計方針に関する事項
(3)重要な引当金の計上基準
⑦工事履行保証損失引当金
及び(連結貸借対照表関係)※3偶発債務
(3)その他」
に記載のとおりであります。
(f)完成工事高及び完成工事原価の計上一定の期間にわたり充足される履行義務については、履行義務の充足に係る進捗度を見積り、当該進捗度に基づき収益を一定の期間にわたり認識する方法を適用しております。履行義務の充足に係る進捗度の測定は、各報告期間の期末日までに発生した工事原価が、予想される工事原価の合計に占める割合に基づいて行っております。また、履行義務の充足に係る進捗度を合理的に見積もることができないが、発生する費用を回収することが見込まれる場合は、原価回収基準にて収益を認識しております。契約内容・工程・期間について重要な変更が生じ、工事進捗度を見積る基礎となる施工実行予算の見直しを行うことで、工事原価総額及び工事進捗度に影響がある場合は、完成工事高及び完成工事原価が影響を受け、当社グループの業績を変動させる可能性があります。
(5) 生産、受注及び販売の実績
① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前年同期比(%)
火災報知設備
27,296
7.8
消火設備
24,990
△13.6
保守点検等
17,463
7.7
その他
4,162
△7.4
合計
73,912
△1.4
(注) 1
セグメント間の取引については相殺消去しております。
2
金額はすべて製造原価及び実際発生原価によっております。
② 受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(百万円)
前年同期比(%)
受注残高(百万円)
前年同期比(%)
火災報知設備
40,707
△9.9
13,594
8.3
消火設備
39,158
18.1
38,857
21.1
保守点検等
29,640
9.5
5,487
25.7
その他
4,662
△16.0
1,096
△22.2
合計
114,168
2.9
59,035
17.1
(注) 1
セグメント間の取引については相殺消去しております。
2
金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前年同期比(%)
火災報知設備
39,663
△5.6
消火設備
32,381
△18.3
保守点検等
28,517
8.4
その他
4,975
0.9
合計
105,537
△6.5
(注) 1
セグメント間の取引については相殺消去しております。
2
金額はすべて販売価格(取付工事代を含む)に換算しております。
