【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中における将来に関する事項は、当第1四半期連結会計期間の末日現在において当企業グループが判断したものであります。
(1) 財政状態および経営成績の状況当第1四半期連結累計期間のわが国の経済は、新型コロナウイルスの感染症法上における取り扱いが5類感染症になるなど、経済活動の正常化がみられるものの、依然として原材料や原油価格の上昇、外国為替相場における急激な円安、ウクライナ情勢の長期化など先行き不透明な状況で推移しました。また、当企業グループにおいては、資材および部品の調達価格の高騰による事業活動への影響がありました。このような経済環境の中で、当企業グループは、2021年6月に2021年度から2023年度の3か年を計画期間とした中期経営計画(サクサは変わる。)を公表し、2026年3月期には、売上高400億円、営業利益25億円、ROE6.5%以上を長期目標に、3つの戦略「事業を変える。」「財務を変える。」「ガバナンスを変える。」を掲げ、取組んでおります。 「事業を変える。」について、連結子会社であるサクサ株式会社は、「Office AGENT」シリーズの「SECURITY」カテゴリーにおいて、情報システム部門のない中堅・中小企業に向けて、ランサムウェアやサイバー攻撃の脅威から企業を守り安心・安全・快適・便利なオフィス空間を実現する統合脅威管理アプライアンス「SS7000Ⅱ」シリーズの提供を開始しました(2023年5月)。「ガバナンスを変える。」について、女性活躍推進の取り組みの一環として、当企業グループ各社が定める育児関連制度において育児短時間勤務の利用期間の延長、並びに子の看護休暇の有給化および取得期間の延長に関する制度改正を行い、女性が長期的に安心して働ける職場環境の整備を進めました。 また、テレワーク制度が未導入のグループ会社への制度導入、すでにテレワーク制度を導入しているグループ会社において運用改善に向けた取り組みを推進しました。
当第1四半期連結累計期間の売上高は、資材および部品調達難の解消が進んだことによる前期末受注残高の解消により、10,758百万円と前年同四半期と比べ3,546百万円(49.2%)の増収となりました。売上高のうち、成長事業の売上高は、2,622百万円と前年同四半期と比べ467百万円(21.7%)の増収となりました。これは、ビジュアルソリューション、ネットワークアプライアンス、SIビジネスがそれぞれ増収となったことによるものです。また、基盤事業の売上高においても、8,136百万円と前年同四半期より3,079百万円(60.9%)の増収となり、主に、ボタン電話装置の資材および部品を一定数調達できたこと、ならびにアミューズメント市場において、スマート遊技機の市場導入に伴う、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタ等の受注が増加したことによるものです。 利益面では、資材および部品の調達価格の高騰に伴う材料費増加影響が継続しているものの、売上高の増加による増益により、経常利益が1,299百万円と前年同四半期に比べ1,536百万円の増益、親会社株主に帰属する四半期純利益は924百万円と前年同四半期と比べ1,544百万円の増益となりました。
分野別の営業の概況は、次のとおりです。
① ネットワークソリューション分野ネットワークソリューション分野の売上高は、6,765百万円と前年同四半期と比べ1,697百万円(33.5%)の増収となりました。これは、主にボタン電話装置およびネットワーク機器の売上増加によるものです。
② セキュリティソリューション分野セキュリティソリューション分野の売上高は、3,992百万円と前年同四半期と比べ1,848百万円(86.2%)の増収となりました。これは、主にアミューズメント市場において、スマート遊技機の市場導入に伴う、新カードユニットへの入替需要の高まりから、カードリーダライタ等の受注が増加したことによるものです。
当第1四半期連結会計期間末の財政状況の概況は、次のとおりです。 当第1四半期連結会計期間末の純資産は、配当金の支払いはありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益を計上したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,091百万円増加し25,985百万円、総資産は1,010百万円増加し42,788百万円となったことにより、自己資本比率は60.7%となりました。 増減の主なものは、以下のとおりです。流動資産では、受取手形、売掛金及び契約資産の回収が進みましたが、依然として資材および部品の調達価格の高騰、一部の部品について調達難が継続していることにより予定していた生産ができず、製品の完成に支障をきたしているため、棚卸資産が785百万円増加いたしました。固定資産では、有形固定資産および無形固定資産は償却が進んだことにより減少しておりますが、投資有価証券が時価の上昇により537百万円増加したことなどにより、固定資産全体で413百万円の増加となりました。負債では、賞与引当金が507百万円、未払金が293百万円、それぞれ支払いにより減少いたしました。
(2) 優先的に対処すべき事業上および財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、新たに発生した事業上および財務上の対処すべき課題はありません。当企業グループは、前事業年度の有価証券報告書に記載の対処すべき課題に継続して取組んでまいります。
(株式会社の支配に関する基本方針)
当第1四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した株式会社の支配に関する基本方針について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動当企業グループにおける研究開発活動は、ネットワークソリューション分野およびセキュリティソリューション分野について、事業運営に直結した新技術、新商品の開発のほか、未来のビジネスシーンの実現とお客様に更なる価値を提供する製品・サービスの創出に向けた新たなコア技術を確立するために研究開発(R&D)を進めています。
当第1四半期連結累計期間は、安心、安全、快適、便利を実現するソリューションを提供するために必要となる音声、映像、データおよびアプリケーションに関わる研究開発を通し、DX化を求めている中堅・中小企業の課題をIT製品・サービスで解決する「Office AGENT」シリーズとして、「SECURITY/次世代情報セキュリティ対策」「WORKSTYLE/次世代ワークスタイル変革」および「COMMUNICATION/次世代コミュニケーション活用」の3つのデジタル革新を実現すること、環境に配慮した製品の実現に重点をおき活動しました。
なお、当第1四半期連結累計期間の研究開発費総額は、760百万円であります。
(4) 経営成績に重要な影響を与える要因当企業グループの主力市場である情報通信ネットワーク関連市場においては、多様化、高度化したネットワークを活用した様々な事業が生まれるなど大きな変化が続いております。このような市場環境の変化と資材調達環境の変化により、当企業グループの業績も影響を受けます。
(5) 資本の財源および資金の流動性についての分析当企業グループは、運転資金および設備投資資金につきましては、内部資金を充当し、必要に応じ金融機関からの借入により調達することとしております。このうち借入による資金調達に関しましては、運転資金については主に期限が1年以内の短期借入金により調達しており、設備投資資金等については長期借入金等により調達しております。また、資産効率の向上、営業活動によるキャッシュ・フローの確保およびシンジケーション方式によるコミットメントライン7,000百万円の活用により、当面の運転資金および設備投資資金を調達することが可能と考えております。
(6) 経営者の問題意識と今後の方針について当企業グループが関連する情報通信ネットワーク関連市場は、急速な技術革新と競争の激化などによりめまぐるしく変化する環境下にありますが、当企業グループは、このような変化に柔軟に対応し、現在の事業環境および入手可能な情報に基づき、最善の経営方針を立案するよう心がけております。具体的には、前事業年度の有価証券報告書の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に記載のとおりであり、それらの課題に継続して取組んでまいります。