【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、各種政策の効果もあり、緩やかに回復しているものの、世界的な金融引締め、中国経済の先行き懸念等による景気の下振れリスクや、物価上昇等による影響に十分注意を要する状況にあります。このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、長期ビジョン「Yakult Group Global Vision 2030」に立脚し、世界の人々の健康に貢献し続けるヘルスケアカンパニーを目指し、企業活動を推進し、業績の向上に努めました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は252,829百万円(前年同期比8.6%増)となりました。利益面においては、営業利益は35,305百万円(前年同期比0.0%増)、経常利益は42,233百万円(前年同期比0.6%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は26,074百万円(前年同期比3.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)乳製品につきましては、当社独自の「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」などの科学性を広く普及するため、エビデンスを活用し、地域に根ざした「価値普及」活動を積極的に展開しました。宅配チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」および「ヤクルト400W」を中心に、新規のお客さまづくりを実施するとともに、既存のお客さまへの継続飲用の促進を図りました。また、インターネット注文サービス「ヤクルト届けてネット」については、「Yakult(ヤクルト)1000」および「ヤクルト400W」の新規申し込みを8月から再開し、売り上げの増大に努めました。さらに、宅配組織の強化を図るため、ヤクルトレディの採用活動および働きやすい環境づくりを推進しました。店頭チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Y1000」および「Newヤクルト」シリーズを中心に、プロモーションスタッフを活用したお客さまへの「価値普及」活動を展開するなど、売り上げの増大に努めました。商品別では、「Newヤクルト」および「Newヤクルトカロリーハーフ」について、原材料費の上昇や社会情勢に起因する物流費等の急激な高騰を受け、9月に価格改定を行いました。また、「ヤクルト400W」については、風味を改良するとともに、パッケージデザインを変更し、9月にリニューアル発売しました。さらに、はっ酵乳「ミルミル」類については、パッケージデザインを変更し、9月にリニューアル発売しました。加えて、ハードタイプヨーグルト「ソフール」シリーズの「ソフール レモン」については、7月から通年販売を開始しました。一方、清涼飲料につきましては、7月から「タフマンV」等を対象とした消費者キャンペーンを実施し、売り上げの増大に努めました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は、128,106百万円(前年同期比9.2%増)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)海外につきましては、1964年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在29の事業所および1つの研究所を中心に、39の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、本年9月の一日当たり平均販売本数は約2,971万本となっています。
ア.米州地域米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で「ヤクルト」などを製造、販売しています。米国では、広報活動等による販売支援を強化するとともに、取引店舗数の増大に努めた結果、8月は一日当たり平均販売本数が過去最高となりました。また、米国において2番目となる新工場建設に向け、アメリカヤクルト株式会社、ジョージア州バートウ郡、同・カータースビル市共同経済開発局の3者で、生産工場候補用地取得に向けた覚書を7月に締結しました。その他米州地域では、宅配・店頭の両チャネルにおける販売体制強化を図り、売り上げの増大に努めました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は39,373百万円(前年同期比29.8%増)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域アジア・オセアニア地域においては、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インドおよび中国などで「ヤクルト」などを製造、販売し、アラブ首長国連邦(UAE)などでは「ヤクルト」などを輸入販売しています。ベトナムでは、販売促進策を積極的に展開するとともに、宅配組織の拡充と取引店舗数の増大に努めた結果、7月は一日当たり平均販売本数が過去最高となりました。中国では、広州ヤクルト株式会社により、広東省汕頭市に汕頭支店を設立し、同支店内の店頭チャネルで「ヤクルト」「ヤクルトライト」および「ヤクルト500億ライト」の販売を9月から開始しました。これにより、中国の販売拠点は52か所となりました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は67,620百万円(前年同期比1.8%増)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域ヨーロッパ地域においては、「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。同地域では、健康志向の高まりを契機とした各国の市場特性に合った販売活動の展開により、持続的成長を目指しました。一方、ロシア・ウクライナ問題の長期化に伴い、当社は、両国内で事業展開をしていないものの、引き続きヨーロッパ地域全体への影響について注視していきます。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は5,095百万円(前年同期比1.2%増)となりました。
・その他事業部門その他事業部門には、化粧品の製造販売、医薬品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。化粧品につきましては、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」活動に重点をおき、お客さまの「内外美容」の実現と化粧品愛用者数の増大に努めました。具体的には、基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズのブランド活性化策を実施し、ヤクルトレディを中心とした訪問販売によるお客さまへの継続愛用の促進を図りました。また、7月に、薬用歯みがき剤「ヤクルト 薬用アパコート S.E.<ナノテクノロジー>」のパッケージデザインを変更しリニューアル発売したほか、高保湿ボディケアシリーズ「コクルム」から、汗のベタつきを抑え、サラっとしたお肌に仕上げる「コクルム ボディパウダー」を発売しました。医薬品につきましては、がんおよびその周辺領域に特化した当社製品等の啓発活動や適正使用を推奨する活動を推進しました。当社の主力製品である抗悪性腫瘍剤「エルプラット」については、行政方針に沿って後発医薬品へ切り替える医療機関が増加傾向にあるものの、先発医薬品を開発した当社の強みである情報提供力を活かした活動を展開しました。しかしながら、4月に実施された薬価改定において大半の当社製品の薬価が引き下げられたことにより、売り上げに影響を受けました。プロ野球興行につきましては、神宮球場において各種ファンサービスの充実やさまざまな情報発信を行い、入場者数および売り上げの増大に努めました。これらの結果、その他事業部門の連結売上高は18,705百万円(前年同期比4.0%減)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は815,979百万円(前連結会計年度末比66,559百万円の増加)となりました。純資産は617,041百万円(前連結会計年度末比71,544百万円の増加)となりました。主な要因は、円安による為替換算調整勘定の増加および親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が増加したためです。また、自己資本比率は68.5%(前連結会計年度末から2.0ポイントの増加)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益が前年同期と比較し90百万円減少の42,186百万円となったことに加え、国内において仕入債務および法人税等の支払額の増加等により、前年同期と比較し11,067百万円の減少となりました。その結果、営業活動によるキャッシュ・フローは21,302百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比較し固定資産の取得による支出が増加した一方で、定期預金(期間3か月超)が減少したこと等により、支出額が8,970百万円減少しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは1,029百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に自己株式の取得による支出があったこと等により支出額が16,130百万円減少しました。その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは△11,932百万円となりました。これらの結果および換算差額により、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は223,888百万円(前連結会計年度末比33,399百万円の増加)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4,311百万円です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数当第2四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(8) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。