【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、経済社会活動の正常化が進む中で、景気が持ち直していくことが期待されているものの、世界的な金融引締め等による景気の下振れリスクや、物価上昇による影響等に十分注意を要する状況にあります。このような状況の中で、当社グループは、事業の根幹であるプロバイオティクスの啓発・普及活動を展開し、商品の優位性を訴求してきました。また、販売組織の拡充、新商品の研究開発や生産設備の更新に加え、国際事業や医薬品事業にも積極的に取り組み、業績の向上に努めました。これらの結果、当第2四半期連結累計期間の連結売上高は232,785百万円(前年同期比14.7%増)となりました。利益面においては、営業利益は35,296百万円(前年同期比26.9%増)、経常利益は41,968百万円(前年同期比17.4%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は26,918百万円(前年同期比5.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
・飲料および食品製造販売事業部門(日本)乳製品につきましては、当社独自の「乳酸菌 シロタ株」や「ビフィズス菌 BY株」などの科学性を広く普及するため、新型コロナウイルス感染症の感染防止策を講じたうえで、地域に根ざした「価値普及」活動を積極的に展開しました。宅配チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Yakult(ヤクルト)1000」および「ヤクルト400」シリーズを中心に、エビデンスを活用し、既存のお客さまへの継続飲用を促進するとともに、新規のお客さまづくりに努めました。また、宅配組織の強化を図るため、ヤクルトレディが働きやすい環境の整備を進めるとともに、インターネットを活用した採用活動を実施しました。店頭チャネルにおいては、乳製品乳酸菌飲料「Newヤクルト」シリーズについて、家族での飲用促進を目的とした期間限定パッケージを導入するとともに、演出資材等を活用した視認性の高い売り場を展開し、売り上げの増大に努めました。商品別では、「Yakult(ヤクルト)1000」および「Y1000」の品薄状態に対応するため、「Yakult(ヤクルト)1000」は9月から、「Y1000」は7月から、それぞれ生産体制を増強しました。また、「Y1000」については、年内のさらなる増強に向けて準備を進めています。そのほか、ハードタイプヨーグルト「ソフール」について、7月に期間限定アイテム「ソフール 白桃」を発売し、ブランドの活性化を図りました。一方、清涼飲料につきましては、栄養ドリンク「タフマン」シリーズについて、消費者キャンペーンを実施し、売り上げの増大に努めました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(日本)の連結売上高は117,322百万円(前年同期比15.8%増)となりました。
・飲料および食品製造販売事業部門(海外)海外につきましては、1964年3月の台湾ヤクルト株式会社の営業開始をかわきりに、現在29の事業所および1つの研究所を中心に、39の国と地域で主として乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」の製造、販売を行っており、本年9月の一日当たり平均販売本数は約3,477万本となっています。 また、新型コロナウイルス感染症の影響は、国・地域の感染拡大状況、各国政府・地方政府の方針、各種行政指導等により異なりますが、それぞれ対策を講じ、行政機関の指示に従い、営業・生産活動を行っています。
ア.米州地域米州地域においては、ブラジル、メキシコおよび米国で乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売しています。米国においては、広報活動等による販売支援を強化するとともに、新規取引先数の増大に努めた結果、販売実績は順調に推移しました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(米州地域)の連結売上高は30,344百万円(前年同期比32.8%増)となりました。
イ.アジア・オセアニア地域アジア・オセアニア地域においては、シンガポール、インドネシア、オーストラリア、マレーシア、ベトナム、インドおよび中国などで乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などを製造、販売し、アラブ首長国連邦(UAE)などでは「ヤクルト」などを輸入販売しています。なお、ミャンマーにおいては、政情等に鑑み、営業・生産活動を一時的に見合わせています。インドネシアにおいては、8月から店頭チャネルで「ヤクルト」10本パックの販売を開始し、売り上げの増大に努めました。ベトナムにおいては、7月に宅配・店頭チャネル合同消費者キャンペーンなどの販売促進策を展開した結果、月間では過去最高の一日当たり平均販売本数となりました。一方、中国においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴うロックダウン等の影響を受け、多くの地区での活動が制限されました。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(アジア・オセアニア地域)の連結売上高は66,429百万円(前年同期比8.6%増)となりました。
ウ.ヨーロッパ地域ヨーロッパ地域においては、乳製品乳酸菌飲料「ヤクルト」などをオランダで製造し、同国を含め、ベルギー、イギリス、ドイツ、オーストリアおよびイタリアなどで販売しています。ヨーロッパにおいては、プロバイオティクスを普及するための活動に対する厳しい規制の中で、健康強調表示(ヘルスクレーム)の承認に向けた各種の取り組みを行うほか、健康志向の高まりを契機とした各国での市場特性に合った販売活動の展開により、持続的成長を目指しました。一方、ロシア・ウクライナ問題の長期化に伴い、当社は、両国内で事業展開をしていないものの、引き続きヨーロッパ地域全体への影響について注視していきます。これらの結果、飲料および食品製造販売事業部門(ヨーロッパ地域)の連結売上高は5,032百万円(前年同期比4.1%増)となりました。
・医薬品製造販売事業部門医薬品につきましては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、多くの施設で医療従事者に対して直接の面談ができない状況が継続しています。その対応として、ウェブ会議やウェブ講演会等により、がんおよびその周辺領域に特化した当社製品等の啓発活動や適正使用を推奨する活動を推進しました。当社の主力製品である抗悪性腫瘍剤「エルプラット」については、行政方針に沿って後発医薬品へ切り替える医療機関が増加傾向にあるものの、先発医薬品を開発した当社の強みである情報提供力を活かした活動を展開しました。
しかしながら、4月に実施された薬価改定において大半の当社製品の薬価が引き下げられたことにより、売り上げに影響を受けました。なお、日本セルヴィエ社と抗悪性腫瘍剤「オニバイド®」に関して締結していたプロモーション契約については、同社の事業戦略の変更のため、9月30日で終了しました。一方、研究開発においては、4SC社(ドイツ)から導入しているHDAC阻害剤「レスミノスタット」等の開発品目の臨床開発を推進しました。なお、「デュベリシブ」については、再発または難治性の慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に係る製造販売承認を申請していましたが、規制当局との協議を踏まえ、9月28日に本申請の取り下げを行いました。これらの結果、医薬品製造販売事業部門の連結売上高は7,233百万円(前年同期比16.1%減)となりました。
・その他事業部門その他事業部門には、化粧品の製造販売およびプロ野球興行などがあります。化粧品につきましては、当社が創業以来培ってきた乳酸菌研究から生まれたオリジナル保湿成分「S.E.(シロタエッセンス)」の「価値普及」活動に重点をおき、お客さまの「内外美容」の実現と化粧品愛用者数の増大に努めました。具体的には、高機能基礎化粧品「パラビオ」シリーズのブランド活性化策を実施し、継続愛用の促進を図りました。また、7月に保湿効果の高い基礎化粧品「ラクトデュウ」シリーズから「ラクトデュウ S.E.ローション(ミルクミニボトル付き)」を数量限定で発売し、新たなお客さまとの接点拡大に努めました。さらに、薬用歯みがき剤「ヤクルト 薬用アパコート S.E.<ナノテクノロジー>」等を対象商品とした販売促進策を展開し、売り上げの増大を図りました。一方、プロ野球興行につきましては、ファンの方々のご声援を受け、東京ヤクルトスワローズが2年連続でセントラル・リーグ優勝を果たすことができました。また、各種ファンサービスの充実やさまざまな情報発信を行い、入場者数および売り上げの増大に努めました。これらの結果、その他事業部門の連結売上高は12,242百万円(前年同期比32.4%増)となりました。
当第2四半期連結会計期間末の総資産は745,449百万円(前連結会計年度末比72,594百万円の増加)となりました。純資産は542,878百万円(前連結会計年度末比57,943百万円の増加)となりました。主な要因は、自己株式を取得したものの、円安による為替換算調整勘定の増加および親会社株主に帰属する四半期純利益により利益剰余金が増加したためです。また、自己資本比率は66.3%(前連結会計年度末より増減なし)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前四半期純利益が前年同期と比較し5,143百万円増加の42,276百万円となった一方で、国内の売上増に伴う売上債権およびたな卸資産の増加等により、前年同期と比較し1,991百万円の増加となりました。その結果、営業活動によるキャッシュ・フローは32,369百万円となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期と比較し投資有価証券の売却による収入が減少したこと等により、支出額が4,422百万円増加しました。その結果、投資活動によるキャッシュ・フローは△7,940百万円となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、主に短期借入金の返済が減少した一方で、自己株式の取得による支出等により支出額が6,391百万円増加しました。その結果、財務活動によるキャッシュ・フローは△28,063百万円となりました。これらの結果および換算差額により、当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物の残高は168,278百万円(前連結会計年度末比17,552百万円の増加)となりました。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上および財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は4,388百万円です。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 従業員数当第2四半期連結累計期間において、連結会社または提出会社の従業員数の著しい増減はありません。
(7) 生産、受注及び販売の実績当第2四半期連結累計期間において、生産、受注および販売実績の著しい変動はありません。
(8) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、主要な設備の著しい変動および主要な設備の前連結会計年度末における計画の著しい変動はありません。