【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績の分析当第1四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の位置づけが5類感染症に分類されるなどの影響もあり、国内消費者の行動心理が活性化し、外食需要やインバウンドを含めた観光需要等が大幅に回復、百貨店やコンビニエンスストア等の流通業も堅調に売上を伸ばしており、回復傾向で推移しております。一方、原材料価格や、エネルギーコストは高値が継続、円安の再度の進行、労働コストの高まり等、製造コストの上昇が続いております。このため前期に引き続き今期も様々な業種において値上げが複数回実施されており、食品全体の値上げ品目数は前期を上回る見通しです。このような状況を受け、ベースアップ等で賃金水準は上昇に向かっているものの、物価上昇に比べれば十分とは言えず、生活防衛意識の高まりから、消費拡大に直結するとは言い難い市場環境となっています。当業界におきましても、上記の製造コストの上昇に加えて、現地原材料相場高、飼料価格高、円安水準の継続、疾病問題等の畜肉市場が大きく変動する要因が多く、厳しい事業環境が継続しております。このような状況の中、当社グループは「目指す姿」である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な経営基盤の強化」と「外部環境の変化に対応した収益基盤の構築」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。
この結果、当第1四半期連結累計期間の連結業績は、売上高1,092億83百万円(前年同期比4.6%増)、営業利益36億7百万円(前年同期比5.9%増)、経常利益39億15百万円(前年同期比7.3%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益22億18百万円(前年同期比1.1%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。<加工食品事業部門>2023年4月に昨年に引き続き3回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。業界全体では市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境が継続しておりますが、当社市販用のシェアは昨年度に引き続き上昇いたしました。しかしながら製造コストの上昇を補いきれず、損益面では前年を下回る結果となりました。①
ハム・ソーセージ部門主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え、大袋ジッパー付き商品の販売も引き続き好調に推移しました。販売促進政策では、東京ディズニーリゾート®ご招待キャンペーンやSNSを活用したキャンペーン等を継続的に実施し、今期も販売シェア拡大を継続することができました。 新たに建て替えた鹿児島工場が、今春より本格的に稼働を開始し、安定した商品の提供に寄与しております。結果、市販用商品、業務用商品とも売上高及び販売数量は前年を上回り、順調に推移ましたが、損益面では値上げの浸透以上に原材料のコストが上昇し、前年を下回る結果となりました。
② 加工食品部門加工食品部門では、常温商品の「ストックディッシュ」、手軽に食べられる「サラダチキンバー」等の市販用商品が消費者から評価を得ており、順調に拡販を進めることができました。また、業務用商品においては、市場の回復や価格改定の効果により売上高を拡大できましたが、原材料等の仕入れコストの大幅な上昇を補いきれず、利益面では前年同期を下回る結果となりました。コンビニエンスストア向けのベンダー事業についても、原材料高騰や、燃料高、人件費アップなど製造コストが上昇しましたが、お客様の要望に応えた新商品開発により、売上高、利益面とも前期を上回ることができました。
結果、加工食品事業部門における売上高771億11百万円(前年同期比5.0%増)となり、セグメント利益33億47百万円(前年同期比10.1%減)となりました。
<食肉事業部門>海外の畜肉相場高や穀物相場の高止まり、円安による輸入仕入コストの上昇等、食肉事業の仕入環境は厳しい状況が継続しています。販売先の店頭価格は、原料肉の相場上昇を補うまでの十分な価格上昇には至らないものの、段階的に販売先への価格転嫁を進めるとともに、相場と連動した取引への変更も徐々に浸透し、昨年を上回る売上高、利益を確保できました。国産の豚肉相場は高水準で推移しているものの、飼料価格高が継続している為、養豚事業も収益的には厳しい環境ですが、宮城新農場の肥育は予定通り順調に進み、夏場以降出荷を開始する見通しであり、良質な豚肉を適正な価格で販売拡大できるよう、様々な取り組みを進めていく所存です。
結果、食肉事業部門における売上高320億44百万円(前年同期比3.7%増)となり、セグメント利益3億円(前年同期はセグメント損失1億77百万円)となりました。
<その他>その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)の売上高1億27百万円(前年同期比0.3%増)となり、セグメント利益58百万円(前年同期比3.7%減)となりました。
(2) 財政状態の分析<資産>当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ59億50百万円増加し、2,358億38百万円となりました。これは主に、棚卸資産が59億36百万円、投資有価証券が16億40百万円、無形固定資産が15億83百万円、現金及び預金が13億90百万円、受取手形及び売掛金が10億68百万円増加し、預け金が59億98百万円減少したことによるものです。
<負債>負債については、前連結会計年度末に比べ45億21百万円増加し、1,112億13百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が73億45百万円増加し、長期借入金(1年以内返済予定含む)が9億75百万円、未払法人税等が7億98百万円、賞与引当金が6億1百万円減少したことによるものです。
<純資産>純資産については、前連結会計年度末に比べ14億29百万円増加し、1,246億24百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金8億66百万円、為替換算調整勘定が3億13百万円増加したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は82百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び流動性についての分析当社グループの運転資金は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。当社及び国内子会社においてキャッシュ・マネジメント・システム(CMS)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。