【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)○表示方法の変更」に記載のとおり、第1四半期連結会計期間より表示方法の変更を行っており、経営成績については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前第3四半期連結会計期間の四半期連結財務諸表の数値を用いて比較しています。
(1) 経営成績の分析
当第3四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する日常生活の制約や経済活動への制限が緩和・解除され、旅行や帰省等の国内移動の回復、外国人の入国制限も段階的に緩和し、人流が戻り通常レベルの経済活動が回復しつつあります。飲食業、観光業、百貨店等、制限下で非常に苦慮していた業種においても新型コロナウイルス感染症流行以前まで業績が回復する企業もでてきています。個人の家計消費も娯楽や旅行、外食等の支出増加が牽引し、前年を上回る水準となっております。一方、10月以降、一部是正があったものの、日米の金利差や貿易赤字等を背景にした円安、ウクライナ危機等の影響を受け、原材料やエネルギーコストが高騰し、製造コストが大幅に上昇しており、幅広い業種において値上げが実施されています。但し消費者物価指数(CPI)が示す通り、国内物価は上昇しているものの、製造コストの上昇をカバーしきれておらず、複数回の値上げを実施する企業も数多く、食品は未曾有の値上げラッシュとなっております。これに対し個人は生活防衛意識の高まりから買い控え行動がおきる等、今後の消費動向は予断を許さない状況となっております。年末に日本銀行によるイールドカーブコントロール(YCC)の運用見直しが実施され、金利や為替相場のボラティリティーが高まる等、今後の経済見通しは一層予測がつきにくくなっています。
当業界におきましても、畜肉相場の上昇、飼料価格の更なる高騰、円安による海外からの調達条件の悪化等の影響を受け、製造コストが想定以上に上昇する一方、販売価格は思うように値上げできず、厳しい環境が継続しています。
このような状況の中、当社グループは目指す姿である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な基盤の強化」と「既存事業領域の拡大と収益基盤の更なる強化」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間の連結業績は、売上高3,283億88百万円(前年同期比2.3%増)、営業利益87億62百万円(前年同期比28.8%減)、経常利益93億14百万円(前年同期比27.8%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益58億66百万円(前年同期比24.2%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
<加工食品事業部門>2022年2月に引き続き、9月に2回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境においても、当社市販用のシェアは継続的に上昇しましたが、当初の想定以上に製造コストが急上昇していることを受け、収益面では厳しい結果となりました。
① ハム・ソーセージ部門主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え、大袋ジッパー付き商品の販売も引き続き好調に推移しました。販売促進政策では、香薫20周年記念として宝塚歌劇団のご招待キャンペーンが好評を頂きました。東京ディズニーリゾート®ご招待キャンペーンやSNSを活用したキャンペーン等を継続的に実施し、今期も販売シェアの拡大が継続し、世代を問わず幅広い支持を得ています。その他の市販用商品の拡販にも努め売上高、販売数量とも前年を上回ることができました。業務用商品においても、市場の回復や価格改定の実施等の施策を進め、販売は好調に推移いたしました。
② 加工食品部門加工食品部門では、簡便・時短を訴求した「アレンジ食堂」、常温商品の「ストックディッシュ」等の市販用商品が消費者から評価を得ており、順調に拡販を進めることができました。また業務用商品においては、市場の回復に伴い売上を拡大することができました。結果、加工食品全体としては、売上高、販売数量とも前年同期を上回りましたが、原材料等の仕入れコストの大幅な上昇を補いきれず、利益面では前年同期を下回る結果となりました。コンビニエンスストア向けのベンダー事業についても、電気料、燃料費の急騰や人件費の上昇等により製造コストが上昇しました。お客様の要望に応えた新商品開発を継続して行いましたが、売上高、利益面とも前年同期を下回る結果となりました。
これらの結果、加工食品事業部門における売上高2,295億73百万円(前年同期比5.7%増)となり、セグメント利益91億2百万円(前年同期比24.5%減)となりました。
<食肉事業部門>海外の畜肉相場高や穀物相場の高止まり、円安による輸入仕入コストの上昇等、食肉事業の仕入環境は極めて厳しい状況が継続しています。販売先の店頭価格は、原料肉の相場上昇を補うまでの価格上昇には至らず、家計調査をみても、消費者の生鮮肉の購買金額は牛肉を中心に前年から減少しています。販売先への価格転嫁の浸透不足と生鮮肉市場の需要ダウンが重なり、販売数量の維持、利益の確保が難しく、食肉販売の売上高及び採算が大きく悪化しています。国産の豚肉相場は高水準で推移しているものの、飼料価格高騰には追いつかない為、養豚事業も収益的には厳しい状況であります。しかしながら、将来的なサステナビリティ対応強化方針を見据えて、国産豚肉の先進的生産事業の拡大と農場生産性向上を計画的に推進しており、先行投資はしっかり実行しているところです。
これらの結果、食肉事業部門における売上高984億30百万円(前年同期比4.7%減)となり、セグメント損失51百万円(前年同期はセグメント利益14億56百万円)となりました。
<その他>その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)の売上高3億84百万円(前年同期比8.4%増)となり、セグメント利益1億67百万円(前年同期比4.8%減)となりました。
(2) 財政状態の分析 <資産>当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ303億32百万円増加し、2,520億54百万円となりました。これは主に、受取手形及び売掛金が143億3百万円、棚卸資産77億84百万円、建物及び構築物が77億15百万円増加したことによるものです。
<負債>負債については、前連結会計年度末に比べ270億24百万円増加し、1,261億78百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金が149億17百万円、長期借入金(1年以内返済予定を含む)が52億71百万円増加したことによるものです。
<純資産>純資産については、前連結会計年度末に比べ33億8百万円増加し、1,258億75百万円となりました。これは主に、利益剰余金が26億1百万円、為替換算調整勘定が6億41百万円増加したことによるものです。
(3) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は3億4百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(5) 資本の財源及び流動性についての分析当社グループの運転資金は、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。当社及び国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。