【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。なお、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項(追加情報)○表示方法の変更」に記載のとおり、第1四半期連結会計期間より表示方法の変更を行っており、経営成績については当該表示方法の変更を反映した組替え後の前第2四半期連結会計期間の四半期連結財務諸表の数値を用いて比較しています。
(1) 経営成績の分析当第2四半期連結累計期間における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する日常生活の制約や経済活動への制限が緩和され、旅行や帰省等の国内移動の回復、外国人の入国制限の緩和等により人流が戻り、経済活動の回復が期待されております。飲食業や観光業、又は百貨店等、制限下で非常に苦慮していた業種おいては業績が回復する企業もでてきています。個人の家計消費は、娯楽や外食等の支出増加が牽引しております。一方、世界的な金融引き締めが進む中での日本銀行の金融緩和政策継続等による急激な円安、ロシアによるウクライナ侵攻等の影響による原油高等の影響を受け、原材料やエネルギーコストが高騰し、特に国内企業の製造コストが大幅に上昇しており、幅広い業種において値上げが実施されています。消費者物価指数(CPI)が示す通り、国内物価は一定程度を上昇しているものの、品群によっては値上げの反動で、販売数量が減少している製品もありますが、製造コストの上昇をカバーしきれておらず、複数回の値上げを実施する企業も数多く、これに対し個人は買い控え行動をとる等今後の消費動向は予断を許さない状況となっております。
当業界におきましても、畜肉相場の上昇、飼料価格の更なる高騰、円安の進行による海外からの調達条件の悪化等の影響を受け、製造コストが想定以上に上昇する一方、販売価格は思うように値上げできず、厳しい環境が継続しています。
このような状況の中、当社グループは目指す姿である「おいしさと感動で、食文化と社会に貢献」という基本的な考えのもと、中期経営計画目標の達成に向けて、「ESGへの取り組みと持続可能な基盤の強化」と「既存事業領域の拡大と収益基盤の更なる強化」及び「成長投資とグローバル展開」を基本方針と位置づけ、諸施策を講じてまいりました。
この結果、当第2四半期連結累計期間の売上高2,117億14百万円(前年同期比0.7%増)となりました。また、利益面におきましては、営業利益54億71百万円(前年同期比34.9%減)、経常利益58億30百万円(前年同期比34.1%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益36億89百万円(前年同期比30.2%減)となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりであります。
<加工食品事業部門>2022年2月に価格改定を実施しましたが、9月にも2回目のハム・ソーセージ商品及び加工食品の価格改定を行い、販売先への納品価格の引き上げを実施いたしました。経済活動の回復により市販用から業務用へ需要がシフトしたことで、市販用商品市場の販売額が前年を下回る厳しい環境においても、当社市販用商品は継続的にシェアアップを図りましたが、当初の想定以上に製造コストが上昇したことを受け、収益面では厳しい結果となりました。
① ハム・ソーセージ部門主力ブランドの「香薫®あらびきポークウインナー」は、定番の2個束商品に加え大袋ジッパー付き商品も、引き続き好調に推移、また販売促進政策では、香薫発売20周年記念として宝塚歌劇団へのご招待や5月9日香薫の日のイベント、加えてSNSを活用したキャンペーン等を行ってまいりました。世代を問わず幅広い支持を得て、当期も販売シェアの拡大が継続しています。市販用商品全体において市場全体の状況は厳しい中であっても、売上高は前年同期を上回りました。業務用商品においても、市場の回復や新しい商品提案等で、売上は好調に推移しました。
② 加工食品部門加工食品部門は、簡便・時短を訴求した「アレンジ食堂」、常温商品の「ストックディッシュ」等の商品が消費者から高い評価を得ており、拡大販売を進めましたが、前年度の反動もあって市販用商品合計の販売数量は前年同期を下回りました。業務用商品においては、市場が全般的に回復した影響により売上は拡大し、加工食品全体としては、売上高は前年同期を上回ったものの、原材料や仕入れコストが大幅に上昇し、利益面では前年同期を下回る結果となりました。コンビニエンスストア向けのベンダー事業についても、原材料高騰や、燃料高、人件費の上昇等により製造コストが上昇しました。お客様の要望に応えた新商品開発を行いましたが、利益面においては前年同期を下回る結果となりました。
これらの結果、加工食品事業部門は、売上高1,484億42百万円(前年同期比4.4%増)となり、セグメント利益58億79百万円(前年同期比28.1%減)となりました。
<食肉事業部門>海外の畜肉相場高や穀物相場の高止まり、円安による輸入仕入コストの上昇等、食肉事業の仕入環境は極めて厳しいものとなっています。販売先の店頭価格は、原料肉の相場上昇を補うまでの価格上昇には至らず、家計調査をみても、消費者の生鮮肉の購買金額は牛肉を中心に前年から大きく減少しています。販売先への価格転嫁の浸透不足と生鮮肉市場の需要ダウンが重なり、食肉販売の採算が大きく悪化しています。販売数量の維持、利益の確保が難しく、国産の豚肉相場は今年、高い相場価格で推移しているものの、国内の飼料価格高騰には追いつかず、養豚事業も収益的には厳しい状況であります。しかしながら、先を見据えて国産豚肉の先進的生産事業の拡大と農場生産性向上を計画的に推進しております。
これらの結果、食肉事業部門は、売上高630億18百万円(前年同期比6.9%減)となり、セグメント損失1億95百万円(前年同期はセグメント利益9億79百万円)となりました。
<その他>その他事業(理化学機器の開発・製造・販売等)は、売上高2億54百万円(前年同期比6.8%増)となり、セグメント利益1億16百万円(前年同期比0.1%増)となりました。
(2) 財政状態の分析<資産>当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ79億10百万円増加し、2,296億32百万円となりました。これは主に、棚卸資産が73億12百万円、有形固定資産が36億22百万円、無形固定資産が10億74百万円増加し、預け金が39億79百万円減少したことによるものです。
<負債>負債については、前連結会計年度末に比べ57億26百万円増加し、1,048億80百万円となりました。これは主に、長期借入金(1年内返済予定を含む)が32億47百万円、支払手形及び買掛金が25億30百万円増加したことによるものです。
<純資産>純資産については、前連結会計年度末に比べ21億84百万円増加し、1,247億51百万円となりました。これは主に、利益剰余金が14億31百万円、為替換算調整勘定が6億62百万円増加したことによるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて1億31百万円減少(前年同期は134億11百万円減少)し、160億99百万円となりました。
<営業活動によるキャッシュ・フロー>営業活動によるキャッシュ・フローは、49億61百万円のネット入金(前年同期は83億19百万円のネット入金)となりました。主な要因は、税金等調整前四半期純利益57億60百万円、減価償却費52億65百万円、仕入債務24億90百万円の増加、棚卸資産72億58百万円の増加、退職給付に係る資産5億41百万円増加、法人税等の支払1億67百万円です。
<投資活動によるキャッシュ・フロー>投資活動によるキャッシュ・フローは、57億97百万円のネット支払(前年同期は157億84百万円のネット支払)となりました。主な要因は、生産設備更新、生産性向上及び品質安定を目的とした有形固定資産の取得による支出97億60百万円、関係会社預け金の払戻による収入50億円です。
<財務活動によるキャッシュ・フロー>財務活動によるキャッシュ・フローは、6億80百万円のネット入金(前年同期は59億4百万円のネット支払)となりました。主な要因は、長期借入による収入52億円、配当金の支払22億63百万円、長期借入金の返済による支出19億52百万円です。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に、重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間の研究開発費の総額は2億8百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
(6) 資本の財源及び流動性についての分析当社グループでは、主に製品製造のための材料費、労務費、経費、販売費及び一般管理費等の営業費用並びに当社グループの設備投資及び改修等に資金支出しております。これらの必要資金につきましては営業キャッシュ・フローを源泉とする自己資金のほか、金融機関からの借入等による資金調達にて対応していくこととしております。当社及び国内子会社においてCMS(キャッシュ・マネジメント・サービス)を導入することにより、各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うとともに、当社グループの余剰資金を、伊藤忠商事㈱のグループ金融制度に預け入れ、資金の効率的な運用を図っております。また、複数の金融機関との間でコミットメントライン契約を締結しており、当社及び当社グループの十分な手元流動性の確保をしております。