【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用し
ております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載しております。
①経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による影響に加え、世界的なインフレの加速や長期化するウクライナ情勢に起因したエネルギー価格の高騰、さらには半導体をはじめとする部材の逼迫や急激な為替相場の変動などにより、依然として先行きが不透明な経済情勢が続きました。地域別では、米国では堅調な個人消費に支えられ景気は回復傾向となりましたが、欧州では全般に景気は低調に推移しました。アジアにおいては中国ではゼロコロナ政策により経済活動が大幅に制限されたものの景気は底堅く推移し、また、わが国においては景気は緩やかに回復しました。
当社グループの主要関連市場におきましては、小型プリンターの需要については米国市場を中心に好調に推移し、主力の工作機械の需要は海外市場では総じて高い水準を維持し、国内市場においても底堅く推移しました。
このような状況のなか、当連結会計年度の売上高は、主に工作機械の売上が増加したことから873億6千8百万円(前期比35.7%増)となりました。利益につきましては、売上の増加などにより営業利益は139億2千5百万円(同87.8%増)、経常利益は141億9千9百万円(同82.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は102億9千8百万円(同79.4%増)となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
(特機事業)
小型プリンターでは、部材の調達難や物流の混乱による製品の供給遅延などがあったものの、各市場において旺盛なmPOS向けの需要が続き市況は好調に推移したことに加え、為替の円安の影響も受け、売上は増加しました。地域別の売上につきましては、米国市場は製品の供給遅延を受けたものの円安の影響により売上は大幅に増加しました。欧州市場や国内市場はそれぞれ市況は好調に推移したものの製品の供給遅延から売上は減少しました。
以上の結果、当事業の売上高は179億5千9百万円(前期比15.3%増)と増加し、営業利益は37億5千4百万円(同64.5%増)と大幅な増益となりました。
(工作機械事業)
CNC自動旋盤では、世界的に旺盛な設備投資需要を背景に売上は大幅に増加しました。地域別の売上につきましては、米国市場では医療関連を中心に幅広い業種で好調となり、欧州市場では自動車関連を中心に好調で、それぞれ売上は大幅に増加しました。アジア市場では中国において期後半にかけて設備投資に慎重な動きがみられたものの、自動車関連を中心に高い水準が続き売上は増加しました。また、国内市場では自動車関連の回復に遅れがあるものの、幅広い業種で回復がみられ売上は大幅に増加しました。
以上の結果、当事業の売上高は694億8百万円(前期比42.3%増)、営業利益は122億4千8百万円(同78.6%増)と大幅な増収増益となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末の資産は、全体に為替の影響を受けるなか、棚卸資産や売上債権が増加したことなどにより、前期末に比べ171億7千8百万円増加の995億3千8百万円となりました。負債は、未払法人税等や流動負債のその他が増加したことなどにより、前期末に比べ58億1千8百万円増加の264億5千万円となりました。純資産は、配当金の支払いや自己株式の取得および消却などがあったものの、利益剰余金や為替換算調整勘定の増加などにより、前期末に比べ113億5千9百万円増加の730億8千8百万円となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物の残高は、営業活動では75億2千3百万円の収入の一方、投資活動では26億3千3百万円の支出、財務活動では46億2千4百万円の支出となり、これらに現金及び現金同等物に係る換算差額を加え、前期末に比べ23億6千5百万円増加の295億6千4百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動では、棚卸資産の増加や法人税等の支払いなどがあったものの、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより、75億2千3百万円の収入(前期は96億円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動では、有形固定資産の取得による支出などにより、26億3千3百万円の支出(前期は7億4千万円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動では、配当金の支払いや自己株式の取得による支出などにより、46億2千4百万円の支出(前期は75億
5千8百万円の支出)となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
特機事業
20,773,054
30.5
工作機械事業
74,643,355
47.9
合計
95,416,409
43.7
(注)工作機械事業には、自社の固定資産となるものが48,827千円含まれております。
b.受注実績
当社グループは見込生産を主体としているため受注実績の記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
特機事業
17,959,641
15.3
工作機械事業
69,408,735
42.3
合計
87,368,377
35.7
(注)主要な販売先については、総販売実績の100分の10を占める販売先がないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、重要な会計方針に基づき見積りおよび判断を行っており、実際の結果は、見積りによる不確実性のために異なる可能性があります。重要な会計方針及び見積りにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」および「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等
当連結会計年度における売上高は、230億8百万円増加の873億6千8百万円(前期比35.7%増)となりました。これは主に工作機械事業の需要が海外市場では総じて高い水準を維持し、国内市場においても底堅く推移し、売上が大幅に増加したことによるものであります。また、営業利益は65億9百万円増加の139億2千5百万円(同87.8%増)となり、売上高営業利益率は前期に比べ4.4ポイント上昇し15.9%となりました。
セグメント別の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
営業外損益は、1億5百万円減少の2億7千4百万円の利益となりました。これは主に為替差損が7千4百万円増加、投資有価証券評価損が3千万円増加したことなどによるものであります。
特別損益は、1億5千6百万円減少の1千2百万円の利益となりました。これは前期に関係会社清算益の計上があったことなどによるものであります。
以上により、親会社株主に帰属する当期純利益は、45億5千8百万円増加の102億9千8百万円(同79.4%増)となりました。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料および部品の購入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、主に設備投資であります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
運転資金や設備投資資金につきましては、自己資金による充当を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入や社債の発行による調達を実施し、十分な手元流動性を確保しております。
また、経営資源配分の考え方につきましては、「第4 提出会社の状況 3 配当政策」に記載しております。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は12億1千8百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は295億6千4百万円となっております。