【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用の改善や賃上げの動きに加え、新型コロナウイルス感染症の感染症法上のさまざまな制限が緩和されたことに伴い、持ち直しが見られるようになりました。依然として同感染症のリスクが払拭された状況にはないものの、社会経済活動との両立を標榜するウィズコロナ政策の進捗もあり、インバウンドを含めた人流と消費動向は所謂コロナ禍前の状態に回帰しつつあります。一方、長引く人手不足やインフレ傾向といったマイナス要因も併せて考えると、コロナ禍後の景気回復は緩やかなものになると予想されます。
当社グループの業績においては、建設機械産業向け鍛造品の活況がややピークを越した感があるものの引続き堅調であり、業績を牽引する主要な要素でありました。一方、自動車産業向け鍛造品においては、受注回復の兆しが見られるものの、半導体不足の長期化を主因とした自動車生産活動の回復の遅れは一部に残っており、当社グループの受注にも影響がありました。またウクライナ情勢等を受けた資源価格ならびに電力をはじめとしたエネルギー価格の上昇は、収益回復への足かせとなりました。以上のような経済環境に加え、当社高萩工場において2023年3月に発生した火災を主因に一時的に正常な生産活動から乖離したこと、同年9月に高萩市を含む地域で発生した線状降水帯に起因する集中豪雨により、被害は軽度であったものの当社高萩工場の製造工程に一部影響が生じたことなどから、事業計画の進捗状況としては必ずしも満足のいくものではなく、当社グループ全体の業績も第3四半期以降の巻き返しを要する結果となりました。
このような状況下、当社グループの当第2四半期連結累計期間の売上高は、主力の鍛造事業で鋼材仕入価格および国内エネルギー価格の上昇等が販売価格に反映されたことにより、前年同四半期比5億83百万円増加の111億42百万円となりました。利益については、主に当社において火災や水害の影響等で製造工程の一部に乱れが生じたこと等により鍛造事業の原価率が上昇し、営業利益が2億95百万円(前年同四半期は3億89百万円の利益)、経常利益は4億43百万円(同5億15百万円の利益)と前年同四半期の水準を下回りました。親会社株主に帰属する四半期純利益は7億9百万円(同2億65百万円の利益)であり、特別利益として投資有価証券売却益5億20百万円を計上したことが寄与し大幅な増加となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
鍛造事業
当社グループの主要事業である鍛造事業においては、販売重量のベースでは大きな変動は見られなかったものの、鋼材仕入価格およびエネルギー価格の上昇等が販売価格に反映されたことにより、売上高は前年同四半期比10億23百万円増加の96億16百万円となりました。セグメント利益は、当社製造部門における火災や水害の影響等で製造工程の一部に乱れが生じ、原価率上昇を招いたことにより1億87百万円(前年同四半期は2億72百万円の利益)にとどまりました。各分野の状況は以下のとおりです。
① 自動車産業向け
鍛造品の主要マーケットである国内自動車産業の海外生産及び部品現地調達の拡大により、同産業に関わる鍛造品の国内需要は減少傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の影響は看過できる水準まで軽減されたと考えられますが、車載用半導体不足を起因とした自動車生産活動の復旧の遅れは、先行き改善の兆しが見えてきたものの依然として一部に影響が残っており、需要の回復度合いは抑制されたものと考えられます。
タイ国の子会社においては、エネルギー価格上昇に関し日本に比べて製品販売価格への反映が難しいこと、同国政策金利の上昇を伴った金融引き締めの影響があり、実質的な購買力低下に直面していること等厳しい経営環境下にありますが、事業計画自体にそのリスクを織込んでおり、ほぼ計画通りに推移しました。
② 建設機械産業向け
建設機械産業は、建設機械ならびに鉱山機械の市況がややピークを越した感があるもののなお堅調であり、関連する鍛造部品の受注にも大きな減少は見られなかったことから、順調な業績推移を示しております。
③ その他産業向け
建築資材や工作機械部品など、自動車関連以外のマーケットでの受注実績が積み上がっており、販路拡大に向けた企業努力を引続き重ねてまいります。
建機事業
仮設機材の販売・リースを行う建機事業は、首都圏のみならず地方における再開発事業や社会インフラの改修整備等が堅調なことから、仮設機材の需要が安定基調にありました。リース品の稼働率が高水準で推移したことに加え、収益性の良化を図った商品設定も奏功し、売上高は前年同四半期比9百万円増加の9億78百万円、セグメント利益は92百万円(前年同四半期は32百万円の利益)と改善しました。
主にリース事業における機材運用の効率化を目的として、2023年8月につくば機材センターを閉鎖のうえ、相模原機材センターに機能統合しました。なお、つくば機材センターの所在していた不動産は、同年9月より賃貸しております。
物流事業
金属製パレットの製造販売を中心とした物流事業は、当第2四半期連結累計期間において取引数量が不足し、業績は当初想定に達しませんでした。この結果、売上高は前年同四半期比4億45百万円減少の4億36百万円、セグメント損失は11百万円(前年同四半期は41百万円の利益)となりました。
不動産事業
不動産事業の売上高は、賃貸物件の入居状況が堅調に推移する一方で、2022年11月に川崎第2ビルを売却したことに伴い、前年同四半期比3百万円減少の1億10百万円となり、セグメント利益は65百万円(前年同四半期は66百万円の利益)となりました。
財政状態は、次のとおりです。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ6億31百万円増加し、391億90百万円となりました。資産の主な増減は以下のとおりです。
流動資産では、売上債権の回収進捗等により現金及び預金が8億73百万円増加する一方、売上債権が1億44百万円減少したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末に比べ7億37百万円増加し、230億46百万円となりました。また、固定資産では、有形固定資産が減価償却等により1億6百万円減少したこと、投資有価証券が一部売却による簿価減少と残存証券時価上昇との差引の結果17百万円増加したこと等により、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ1億6百万円減少し、161億43百万円となりました。
流動負債では、原材料価格の上昇等もあり仕入債務が2億7百万円増加したこと、主に運転資金返済に伴い短期借入金が7億50百万円減少したことなどにより、流動負債合計は前連結会計年度末に比べ5億58百万円減少し、114億91百万円となりました。また、固定負債では、海外子会社の留保利益増加ならびに投資有価証券の時価上昇等に伴い繰延税金負債が80百万円増加したこと、所有不動産の一部賃貸に伴い長期預り保証金が26百万円増加したこと、退職給付に係る負債が25百万円増加したことなどにより、固定負債合計は前連結会計年度末に比べ1億56百万円増加し、18億80百万円となりました。
純資産は、利益計上と配当金支払いの差引等により利益剰余金が3億36百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が70百万円増加、為替換算調整勘定が6億12百万円増加しその他の包括利益累計額合計が6億82百万円増加したことなどにより、純資産合計は前連結会計年度末に比べ10億33百万円増加し、258億17百万円となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前年同四半期末に比べ6億67百万円減少し、53億77百万円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、15億19百万円(前年同四半期は5億73百万円の増加)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益が9億79百万円となったことのほか、減価償却費相当の資金留保、売上債権の減少と仕入債務の増加、法人税等の支払などが要因となっております。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、26億16百万円(前年同四半期は3百万円の減少)となりました。これは主に、定期預金(3ケ月超)の純増額26億91百万円(キャッシュ・フローは減少)、既存設備の更新投資等の有形固定資産取得による支出5億22百万円、ならびに投資有価証券の売却による収入6億4百万円などによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、11億30百万円(前年同四半期は2億71百万円の減少)となりました。これは主に、短期借入金7億50百万円による資金の減少及び配当金3億72百万円の支払いなどによります。
(3)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4)経営方針・経営戦略等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(6)研究開発活動
該当事項はありません。