【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用の改善や賃上げの動きに加え、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類となりさまざまな制限が緩和されたことに伴い、持ち直しが認められるようになりました。依然として同感染症新規患者数の増加が懸念される状況にはあるものの、社会経済活動との両立を標榜するウィズコロナ政策の進捗もあり、先行きの見通しにも明るさを取り戻しつつあります。一方、長引く人手不足やインフレ傾向といったマイナス要因も併せて考えると、ポストコロナの景気回復は緩やかなものになると予想されます。
当社グループの業績においては、建設機械産業向け鍛造品の需要が引続き堅調であり、業績を牽引する主要な要素でありました。一方、自動車産業向け鍛造品においては、受注回復の兆しが見られるものの、半導体不足の長期化を主因とした自動車生産活動の回復の遅れは一部に残っており、当社グループの受注にも影響がありました。またウクライナ情勢等を受けた資源価格ならびにエネルギー価格の上昇は、収益回復への足かせとなりました。以上のような経済環境に加え、当社高萩工場において2023年3月に発生した火災を主因に、一時的に正常な生産活動から乖離したことも影響し、当社グループの業績は第2四半期以降の巻き返しを要する結果となりました。
このような状況下、当社グループの当第1四半期連結累計期間の売上高は、主力の鍛造事業で鋼材仕入価格の上昇が販売価格に反映されたことにより、前年同四半期比4億23百万円増加の56億4百万円となりました。利益については、主に鍛造事業における原価率の上昇が影響し、営業利益が71百万円(前年同四半期は1億99百万円の利益)、経常利益は1億66百万円(同2億92百万円の利益)と前年同四半期の水準を下回りました。親会社株主に帰属する四半期純利益は5億22百万円(同1億67百万円の利益)であり、特別利益として投資有価証券売却益5億20百万円を計上したことが寄与し大幅な増加となりました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
鍛造事業
当社グループの主要事業である鍛造事業においては、販売重量の観点では大きな変動は見られなかったものの、鋼材仕入価格の上昇が販売価格に反映されたことにより、売上高は前年同四半期比7億22百万円増加の49億28百万円となりました。セグメント利益は、当社製造部門における火災の影響等で生産工程の一部に乱れが生じ、原価率上昇を招いたことにより54百万円(前年同四半期は1億50百万円の利益)にとどまりました。各分野の状況は以下のとおりです。
① 自動車産業向け
鍛造品の主要マーケットである国内自動車産業の海外生産及び部品現地調達の拡大により、同産業に関わる鍛造品の国内需要は減少傾向にあります。新型コロナウイルス感染症の影響は看過できる水準まで軽減されたと考えられますが、車載用半導体不足を起因とした自動車生産活動の停滞の影響は、先行き改善の兆しが見えてきたものの依然として一部に影響が残っており、需要の回復度合いは抑制されたものと考えられます。
タイ国の子会社においては、電力価格高騰に関し日本に比べて製品販売価格への反映が難しいことから、事業計画自体にその影響を織込み、ほぼ当初想定通りの業績にて推移しております。
② 建設機械産業向け
建設機械産業は、建設機械ならびに鉱山機械の市況が堅調に推移することにより、関連する鍛造部品の受注が引続き高水準で推移し、当初想定を上回る業績を上げております。
③ その他産業向け
建築資材や工作機械部品など、自動車関連以外のマーケットでの受注実績が積み上がっており、販路拡大に向けた企業努力を引続き重ねてまいります。
建機事業
仮設機材の販売・リースを行う建機事業は、首都圏のみならず地方における再開発事業や社会インフラの改修整備等が堅調なことから、仮設機材の需要が安定基調にありました。収益性の良化を図った商品設定も奏功し、売上高は前年同四半期比23百万円減少の4億17百万円ながら、セグメント利益は23百万円(前年同四半期は0百万円の利益)と改善しました。
物流事業
金属製パレットの製造販売を中心とした物流事業は、当第1四半期連結累計期間において取引数量が不足し、業績は当初想定に達しませんでした。この結果、売上高は前年同四半期比2億73百万円減少の2億3百万円、セグメント損失は19百万円(前年同四半期は24百万円の利益)となりました。
不動産事業
不動産事業の売上高は、入居状況が堅調に推移し、前年同四半期比2百万円減少の55百万円となり、セグメント利益は33百万円(前年同四半期は34百万円の利益)となりました。
財政状態は、次のとおりです。
当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4億65百万円減少し、380億93百万円となりました。資産の主な増減は以下のとおりです。
流動資産では、売上債権の回収進捗等により現金及び預金が1億9百万円増加する一方、売上債権が1億80百万円減少したこと、主に鍛造事業において保有原材料からの生産と出荷が進み棚卸資産が63百万円減少したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末に比べ1億53百万円減少し、221億55百万円となりました。また、固定資産では、有形固定資産が減価償却等により48百万円減少したこと、投資有価証券が一部売却による簿価減少と残存証券時価上昇との差引の結果2億42百万円減少したこと等により、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ3億11百万円減少し、159億38百万円となりました。
流動負債では、主に運転資金返済に伴い短期借入金が7億50百万円減少したことなどにより、流動負債合計は前連結会計年度末に比べ6億98百万円減少し、113億52百万円となりました。また、固定負債では、繰延税金負債が59百万円減少したこと、退職給付に係る負債が18百万円増加したことなどにより、固定負債合計は前連結会計年度末に比べ40百万円減少し、16億83百万円となりました。
純資産は、利益計上と配当金支払いの差引等により利益剰余金が1億49百万円増加したこと、その他有価証券評価差額金が1億9百万円減少する一方で為替換算調整勘定が2億30百万円増加しその他の包括利益累計額合計が1億20百万円増加したことなどにより、純資産合計は前連結会計年度末に比べ2億73百万円増加し、250億58百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。