【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものです。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染者数が2022年末に向かって増大しながら大きな波の到来を予想させ、年末には人流の活発化によるさらなる感染拡大の懸念が増す中で、依然として先行きの見通しが立ちにくい状況にありました。しかしながらワクチン接種の進捗とともに、感染、発症、重症化の各面で予防効果が認められたことなどにより、新型コロナウイルスへの対応と社会経済活動の両立を標榜するウィズコロナ政策が進み、経済活動への制限は緩和され、景気の持ち直しが期待されています。
当社グループの業績においては、建設機械産業向け鍛造品の需要が引続き力強く推移し、業績回復の趨勢を支えました。一方、自動車産業向け鍛造品においては、半導体不足の長期化を主因とした自動車生産活動の回復の遅れから、当社グループの受注にも影響がありました。またウクライナ情勢等を受けた資源価格ならびにエネルギー価格の上昇は、収益回復への足かせとなりました。以上のように好悪両面の入り混じった経済環境に直面しましたが、受注の回復に加え、中期経営計画達成に向けた諸施策を実施することにより、当社グループの業績は総じて改善基調となりました。
このような状況下、当社グループの当第3四半期連結累計期間の売上高は、主力の鍛造事業で受注回復の傾向が見られ、前年同四半期比40億20百万円増加の162億36百万円となりました。また利益については、売上高の増加に伴い、営業利益が6億22百万円(前年同四半期は3億28百万円の利益)、経常利益は8億22百万円(同4億81百万円の利益)、親会社株主に帰属する四半期純利益は4億55百万円(同3億33百万円の利益)と総じて改善しました。
セグメントの業績は、次のとおりです。
第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの業績をより適切に反映させるために、全社費用の配賦基準を見直し、事業セグメントの利益又は損失の算定方法の変更を行っております。以下の前年同四半期比較については、変更後の算定方法に基づき算定した前年同四半期の数値を用いて比較しております。
鍛造事業
当社グループの主要事業である鍛造事業は、受注の回復により売上高は前年同四半期比32億99百万円増加の133億58百万円、セグメント利益は製造部門での操業度の上昇等により4億59百万円(前年同四半期は3億6百万円の利益)となりました。各分野の状況は以下のとおりです。
① 自動車産業向け
鍛造品の主要マーケットである国内自動車産業の海外生産及び部品現地調達の拡大により、同産業に関わる鍛造品の国内需要は減少傾向にありますが、前年同四半期に比べ新型コロナウイルス感染症の影響は軽減され、当第3四半期連結累計期間での業績は回復基調となっております。しかしながら、車載用半導体不足を起因とした自動車生産活動の停滞の影響が長引いたことにより、需要の回復度合いは抑制されたものと考えられます。
タイ国の子会社においては、前年同四半期に比して自動車産業からの受注が回復し、業績は堅調に推移しておりますが、車載用半導体不足による自動車生産台数減少の影響を一部受けております。新型コロナウイルス感染症対策としては、社内感染の極小化を目的とした保守的な出社制限等を実施するなど、慎重な管理のもと日々の業務を運営しております。
② 建設機械産業向け
建設機械産業は、建設機械ならびに鉱山機械の市況が順調に推移することにより、関連する鍛造部品の受注が引続き高水準で推移し、当初想定を上回る業績を上げております。
③ その他産業向け
建築資材や工作機械部品など、自動車関連以外のマーケットでの受注実績が積み上がっており、販路拡大に向けた企業努力は結実しつつあります。
建機事業
仮設機材の販売・リースを行う建機事業は、首都圏での再開発事業や社会インフラの改修整備等が堅調なことから、仮設機材の需要が回復基調にありました。収益性の良化を図った商品設定も奏功し、売上高は前年同四半期比1億16百万円増加の14億35百万円、セグメント利益は49百万円(前年同四半期は34百万円の損失)と黒字に転じました。
物流事業
金属製パレットの製造販売を中心とした物流事業は、自動車製造業を営む取引先が半導体不足の影響から生産を抑制すると同時にパレットを買い控える傾向にありましたが、当第3四半期連結累計期間においては比較的大きな数量の取引が複数成約し、業績が改善しました。この結果、売上高は前年同四半期比5億97百万円増加の12億74百万円、セグメント利益は59百万円(前年同四半期は15百万円の損失)と、建機事業同様黒字に転じております。
不動産事業
不動産事業の売上高は、入居状況が堅調に推移し、前年同四半期比7百万円増加の1億68百万円となり、セグメント利益は94百万円(前年同四半期は96百万円の利益)となりました。
財政状態は、次のとおりです。
当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ34億95百万円増加し、391億82百万円となりました。資産の主な増減は以下のとおりです。
主な増減は、流動資産では、売上債権が売上高増加等により10億61百万円増加したこと、現金及び預金が13億77百万円増加したこと、主に鍛造事業において受注回復に伴う生産の増加並びに鋼材価格の上昇により棚卸資産が6億65百万円増加したことなどにより、流動資産合計は前連結会計年度末に比べ31億88百万円増加し、230億34百万円となりました。また、固定資産は、投資有価証券が時価の上昇により2億59百万円増加したこと等により、固定資産合計は前連結会計年度末に比べ3億7百万円増加し、161億47百万円となりました。
流動負債では、主に鍛造事業において受注回復に伴う仕入の増加及び鋼材価格の上昇により、仕入債務が6億2百万円増加したこと、運転資金調達に伴い短期借入金が11億35百万円増加したことなどにより、流動負債合計は前連結会計年度末に比べ17億58百万円増加し、128億75百万円となりました。また、固定負債では、繰延税金負債が2億53百万円増加したこと、株式給付引当金が制度改定の影響も含め24百万円増加したこと、退職給付に係る負債が19百万円増加したことなどにより、固定負債合計は前連結会計年度末に比べ2億97百万円増加し、17億64百万円となりました。
純資産は、利益計上と配当金支払いの差引等により利益剰余金が86百万円増加し、その他有価証券評価差額金が2億26百万円増加したことに加え為替換算調整勘定が10億97百万円増加したことにより、その他の包括利益累計額合計が13億24百万円増加した結果、純資産合計は前連結会計年度末に比べ14億39百万円増加し、245億42百万円となりました。
(2)会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(3)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。