【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績の状況
当第2四半期連結累計期間における経済環境の概観は以下のとおりであります。
世界経済は、多くの国でインフレが依然高水準で推移するなか、昨年度からの欧米を中心とした金融引締めが継続し、景気の減速感が強まりました。先進国では、米国が底堅く推移したものの、欧州は景気減速が一段と進行しました。日本は新型コロナの5類移行や水際対策の撤廃を背景に内需やインバウンド需要の回復が進みました。新興国では中国の景気回復が進むも力強さに欠けており、外需依存度の高い国を中心に景気が減速しました。
一次産品価格は、世界経済の減速懸念拡大に伴う需要後退を受けて多くの商品が昨年度と比べて安値圏で推移したものの、原油価格はOPECプラスの減産等もあり7月以降は上昇しました。中国が世界最大の輸入国である銅や鉄鉱石の価格は、同国の景気回復ペース鈍化を受けて下落しました。
欧米の債券市場では中央銀行による金融引締め長期化の見通しが強まるなかで金利上昇が続き、円相場は円安・ドル高が進行しました。株式市場は米国、日本が堅調な一方で欧州はやや軟調でしたが、総じて昨年度と比べて高値圏での推移が続きました。
このような経済環境のなか、当第2四半期連結累計期間の経営成績は以下のとおりとなりました。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減
収益
5,595,134
3,750,610
△1,844,524
売上総利益
574,335
523,065
△51,270
営業利益
230,062
151,479
△78,583
持分法による投資損益
153,914
154,668
754
親会社の所有者に帰属する
四半期利益
314,651
251,304
△63,347
(注)「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、要約四半期連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。
収益は前第2四半期連結累計期間比(以下「前年同期比」という。)1兆8,445億円(33.0%)減収の3兆7,506億円となりました。オペレーティング・セグメント別には、主に食料第二でGavilon穀物事業の売却に伴い減収となりました。
売上総利益は前年同期比513億円(8.9%)減益の5,231億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。
金属
254億円減益
商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益
アグリ事業
170億円減益
農薬及び肥料の価格下落を背景とするHelena社及びMacroSource社の減益
建機・産機・モビリティ
127億円増益
販売台数等の増加に伴う建設機械事業及び自動車関連事業の増益
営業利益は前年同期比786億円(34.2%)減益の1,515億円となりました。
持分法による投資損益は前年同期比8億円(0.5%)増益の1,547億円となりました。オペレーティング・セグメント別の主な増減は以下のとおりであります。
電力
117億円増益
海外発電事業の増益等
インフラプロジェクト
38億円増益
海外水事業の増益
金属
173億円減益
商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益
以上の結果、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比633億円(20.1%)減益の2,513億円となりました。
当第2四半期連結累計期間のオペレーティング・セグメント別の業績(親会社の所有者に帰属する四半期利益)は以下のとおりであります。
(単位:百万円)
前第2四半期
連結累計期間
当第2四半期
連結累計期間
増減
ライフスタイル
3,403
4,889
1,486
情報ソリューション
3,997
2,361
△1,636
食料第一
6,245
8,901
2,656
食料第二
14,255
12,744
△1,511
アグリ事業
46,920
27,215
△19,705
フォレストプロダクツ
4,328
3,087
△1,241
化学品
9,163
2,081
△7,082
金属
115,512
79,254
△36,258
エネルギー
28,683
19,069
△9,614
電力
22,371
27,970
5,599
インフラプロジェクト
3,808
6,399
2,591
航空・船舶
17,792
12,067
△5,725
金融・リース・不動産
23,679
24,192
513
建機・産機・モビリティ
11,901
15,729
3,828
次世代事業開発
△2,414
△118
2,296
次世代コーポレートディベロップメント
△419
△1,426
△1,007
その他
5,427
6,890
1,463
全社合計
314,651
251,304
△63,347
(注)1. 当連結会計年度より、「情報・物流」を「情報ソリューション」に名称変更するとともに、「ライフスタイル」の一部を「金融・リース・不動産」及び「次世代事業開発」に、「情報・物流」の一部を「次世代事業開発」に、「エネルギー」の一部を「電力」に、「次世代事業開発」の一部を「化学品」に、「その他」の一部を「情報ソリューション」に、それぞれ編入しております。これらの変更に伴い、前第2四半期連結累計期間のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。なお、当連結会計年度より新設された「新エネルギー開発推進部」(「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」の一部を編入)の損益等については、「エネルギー」「電力」「インフラプロジェクト」にそれぞれ配賦しており、これに伴い、前第2四半期連結累計期間のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。
2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。
3. 「その他」には、特定のオペレーティング・セグメントに配賦されない本部経費等の損益、セグメント間の内部取引消去等が含まれております。
ライフスタイル
親会社の所有者に帰属する四半期利益(以下「四半期利益」という。)は、衣料品等の取引における増益及び前年同期に計上した衣料品等の企画・製造・販売事業に関連する一過性損失の反動により、前年同期比15億円増益の49億円となりました。
情報ソリューション
四半期利益は、国内携帯電話販売事業の減益により、前年同期比16億円減益の24億円となりました。
食料第一
四半期利益は、インスタントコーヒーの製造・販売事業及び国内菓子卸事業の増益により、前年同期比27億円増益の89億円となりました。
食料第二
四半期利益は、肉牛処理加工・販売事業の減益等により、前年同期比15億円減益の127億円となりました。
アグリ事業
四半期利益は、農薬及び肥料の価格下落を背景とするHelena社及びMacroSource社の減益により、前年同期比197億円減益の272億円となりました。
フォレストプロダクツ
四半期利益は、パルプ市況悪化に伴うムシパルプ事業の減益等により、前年同期比12億円減益の31億円となりました。
化学品
四半期利益は、石油化学品及び無機化学品取引の減益により、前年同期比71億円減益の21億円となりました。
金属
四半期利益は、商品価格の下落に伴う豪州原料炭事業の減益により、前年同期比363億円減益の793億円となりました。
エネルギー
四半期利益は、原油・ガス価格の下落等に伴う石油・ガス開発事業の減益及び金利収支の悪化により、前年同期比96億円減益の191億円となりました。
電力
四半期利益は、海外発電事業の増益等により、前年同期比56億円増益の280億円となりました。
インフラプロジェクト
四半期利益は、海外水事業の増益により、前年同期比26億円増益の64億円となりました。
航空・船舶
四半期利益は、航空関連事業における需要回復に伴う増益があったものの、船舶市況の悪化に伴う船舶保有運航事業の減益により、前年同期比57億円減益の121億円となりました。
金融・リース・不動産
四半期利益は、国内不動産事業の増益等に加え、米国中古車販売金融事業の堅調な推移もあったことにより、前年同期比5億円増益の242億円となりました。
建機・産機・モビリティ
四半期利益は、建設機械事業及び産業設備事業の増益により、前年同期比38億円増益の157億円となりました。
次世代事業開発
四半期損失は、前年同期に計上した貸倒費用の反動及び中東における医薬品・医療機器販売事業の増益により、前年同期比23億円改善の1億円となりました。
次世代コーポレートディベロップメント
四半期損失は前年同期比10億円悪化の14億円となりました。
(2)キャッシュ・フロー及び財政状態の状況の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性
① キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結会計期間末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比(以下「前年度末比」という。)1,038億円(17.0%)減少の5,052億円となりました。
当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業資金負担等の増加があったものの、営業収入及び配当収入により、2,185億円の収入となりました。前年同期比では1,297億円の収入の減少であります。
基礎営業キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、2,664億円となりました。その内訳は以下のとおりであります。
(収入:+、支出:△)
調整後営業利益
(売上総利益+販売費及び一般管理費)
+1,580億円
減価償却費等
+833億円
利息の受取額及び支払額
△228億円
配当金の受取額
+959億円
法人所得税の支払額
△480億円
基礎営業キャッシュ・フロー
+2,664億円
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
海外事業における資本的支出や持分法適用会社の株式取得等により、2,189億円の支出となりました。前年同期比では570億円の支出の増加であります。
回収
当第2四半期連結累計期間における投資の回収等(*1)による収入は、358億円となりました。
(*1)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の売却による収入」、「貸付金の回収による収入」、「子会社の売却による収入(処分した現金及び現金同等物控除後)」及び「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の売却による収入」の合計額
新規投資・CAPEX(資本的支出)
当第2四半期連結累計期間における新規投資・CAPEX(資本的支出)等(*2)による支出は、2,547億円となりました。
(*2)投資活動によるキャッシュ・フローのうち、「有形固定資産の取得による支出」、「貸付による支出」、「子会社の取得による支出(取得した現金及び現金同等物控除後)」、「持分法で会計処理される投資及びその他の投資等の取得による支出」及び「定期預金の純増減額」の合計額
ビジネスモデル別の主な新規投資は以下のとおりであります。
セールス&マーケティング事業
・航空機用部品の販売事業(米国 DASI)
・自動車アフターマーケット事業(米国 MAIHO Ⅲ関連)
・菓子製造業(日本 アトリオン製菓)
・農業資材関連事業(ブラジル Adubos Real関連)
・医薬品・医療機器販売事業(UAE Lunatus Marketing & Consulting)
・次世代蓄電池の開発・製造事業(エストニア Skeleton)
ファイナンス事業
・航空機リース事業(米国 Aircastle)
安定収益型事業
・再生可能エネルギー等発電事業
以上により、当第2四半期連結累計期間のフリーキャッシュ・フローは、4億円の支出となりました。前年同期比では1,867億円の支出の増加であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債及び借入金等の返済、配当金の支払及び自己株式の取得を行った結果、1,404億円の支出となりました。前年同期比では21億円の支出の増加であります。
当第2四半期連結累計期間における資本配分の状況は以下のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間における基礎営業キャッシュ・フローは2,664億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入と合わせた収入合計額は3,023億円となりました。一方で、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出は2,547億円となり、更に親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金987億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フロー(営業資金増減等を除く)(*3)は、512億円の支出となっております。
(*3)基礎営業キャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの合計額から、親会社の株主に対する配当金及び自己株式の取得資金を控除したもの。
② 財政状態の状況
(単位:百万円)
前連結
会計年度末
当第2四半期
連結会計期間末
増減
総資産
7,953,604
8,261,515
307,911
ネット有利子負債
1,483,085
1,775,400
292,315
親会社の所有者に帰属する持分合計
2,877,747
3,248,681
370,934
ネットDEレシオ
0.52
倍
0.55
倍
0.03
ポイント
(注)ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。
当第2四半期連結会計期間末における総資産は、円安の影響等により、前年度末比3,079億円増加の8兆2,615億円となりました。ネット有利子負債は、永久劣後特約付ローンの任意弁済(※)に加え、支払配当や円安の影響による増加があったこと等により、前年度末比2,923億円増加の1兆7,754億円となりました。親会社の所有者に帰属する持分合計は、永久劣後特約付ローンの任意弁済(※)による減少があったものの、純利益の積上げによる利益剰余金の増加及び円安による在外営業活動体の換算差額の増加により、前年度末比3,709億円増加の3兆2,487億円となりました。この結果、ネットDEレシオは0.55倍となりました。
(※)当社は、永久劣後特約付ローン1,500億円を有しておりましたが、2023年8月16日に任意弁済しております。
本ローンはIFRS上、資本性金融商品に分類されていたため、本弁済により資本が1,500億円減少しております。
③ 資金調達の方針及び手段
当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。
銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債(国内社債発行登録枠2,000億円を設定)、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年にわたり金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。
また、財務基盤の強化に資する調達として、永久劣後特約付ローン1,500億円、ハイブリッド社債(劣後特約付)750億円、ハイブリッドローン(コミット型劣後特約付)250億円を有しておりましたが、このうち、永久劣後特約付ローン1,500億円を2023年8月16日に任意弁済しました。
連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。
格付について、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody’s)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付を取得しております。
当第2四半期連結会計期間末現在の長期格付は、Moody’sがBaa1(見通し「安定的」)、S&PがBBB+(見通し「安定的」)、R&IがAA-(見通し「安定的」)、JCRがAA-(見通し「安定的」)となっております。
④ 流動性の状況
当社及び連結子会社では、基礎営業キャッシュ・フロー等の収入や手元流動性(現金及び現金同等物並びに定期預金の保有)の確保に加え、コミットメントラインの設定により、営業資金や新規投資・CAPEX(資本的支出)といった資金需要、並びに1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務に対する流動性を準備しております。
当第2四半期連結会計期間末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は5,068億円となっております。
設定しているコミットメントラインは以下のとおりであります。
・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)
・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による555百万米ドル(長期)
(3)重要性がある会計方針及び見積り
要約四半期連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針及び見積りは、「第4 経理の状況」における「1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表に対する注記2 作成の基礎 (3)見積り及び判断の利用」及び「同 注記3 重要性がある会計方針」に記載のとおりであります。
(4)経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」について、当第2四半期連結累計期間において重要な変更はありません。
なお、2023年度の株主還元方針について、2023年11月2日に以下の内容を決定及び公表しております。
<2023年度の株主還元>
中期経営戦略「GC2024」期間(2022年度~2024年度)における株主還元については、中長期的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を実施し、総還元性向30%~35%程度を目安に機動的な自己株式取得を実施します。
(配当について)
当社は、株主に対して長期にわたり安定した配当を行いつつ、中長期的な利益成長の実現によって増配を目指すことを基本方針としております。この方針に基づき、中期経営戦略「GC2024」期間(2022年度~2024年度)においては、配当は1株当たり年間配当金78円を基点とし、中長期的な利益成長に合わせて増配していく累進配当を実施しております。
2023年11月2日に公表した通期連結業績予想において、親会社の所有者に帰属する当期利益を4,200億円から4,500億円に修正しました。この結果、2023年度の1株当たり年間配当予想については、上記の基本方針に基づき、前回予想(2023年5月8日公表)の78円00銭を83円00銭に修正し、これに伴い、1株当たり中間配当金及び1株当たり期末配当予想をそれぞれ前回予想(2023年5月8日公表)の39円00銭から41円50銭に修正しました。
(自己株式取得及び消却について)
機動的な資本政策の遂行及び株主還元の拡充を図るため、2023年11月6日から2024年2月9日までの期間において、200億円又は2,000万株を上限として、市場買付の方法により、自己株式を取得することを決定しました。
これにより取得する全株式を、2024年2月22日に消却する予定です。
詳細については、「第4 経理の状況」における「1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表に対する注記12 後発事象」に記載のとおりであります。
(5)研究開発活動
特に記載すべき事項はありません。
(将来に関する記述等についてのご注意)
本報告書に記載されている将来に関する記述は、当社が当四半期報告書提出日現在において入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実際の業績等は様々な要因により大きく異なる可能性があります。