【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
1 経営成績等の状況の概要
(1)当連結会計年度における経済環境及びオペレーティング・セグメント別の事業の状況
経済環境
当連結会計年度の経済環境を概観しますと、年度のはじめより、先進国や中国の景気減速に加え、米中通商摩擦の継続による景況感の悪化から多くの新興国でも景気減速が続きました。これを受けて米国をはじめ各国で金融緩和が行われたことに加え、12月に米中通商協議が部分合意されると、一時的に更なる景況感の悪化は回避されました。
しかし、年明け以降、中国から世界に新型コロナウイルスの感染が広がると、世界各地で外出制限等の感染拡大防止策が講じられました。その結果、各国の経済活動が大幅に制限され、世界経済の急激な縮小、金融市場の混乱、一次産品価格の下落が生じました。特に原油価格は移動制限と景気悪化に伴う需要減少懸念に加え、OPECプラスの協調減産協議決裂により急落しました。また銅価格は世界消費量の半分を占める中国需要の減少懸念や自動車生産の相次ぐ停止等が嫌気され下落しました。かかる状況下、各国政府・中銀は家計・企業・金融市場を支えるため、かつてない規模の財政出動を含むあらゆる政策手段の総動員に踏み切りました。
オペレーティング・セグメント別の事業の状況
当連結会計年度におけるオペレーティング・セグメント別の事業の状況は、以下の通りであります。
・ライフスタイル
世界的に大きな社会課題となっている衣料品等繊維製品の大量廃棄問題の解決に貢献するため、繊維リサイクル技術を有するタイトンバイオサイエンス社に出資しました。販売チャネルの活用等、当社及びSaide Tekstil Sanayi ve Ticaretが保有する機能との掛け合わせにより、グローバルな循環型サプライチェーンの構築に取り組んでおります。
また、丸紅フットウェアにおいては、子ども靴ブランド「イフミー」の足計測アプリの導入や米国アウトドアブランド「メレル」等を販売する直営店の出店等、消費者向け直販事業に注力しました。ブランド認知度も向上しており、販売は好調に推移しました。
・情報・不動産
情報分野では、世界各国の通信規制状況に応じて現地キャリアと接続し、低価格・高速度の通信を可能とするグローバルIoT通信サービスの提供や、加入者管理機能を保有したフルMVNO(*)として独自SIMカードの発行が可能となったことにより、新たに高付加価値の無線通信サービスの提供を開始しました。
不動産分野では、「ミッドタワーグランド」(東京都中央区月島)や中国の嘉興市(上海近郊)及び長春市における住宅販売が堅調に推移しました。また、上場リートや私募リートを通じて、ホテル、物流センター等への積極的な投資活動を行いました。
(*)Mobile Virtual Network Operator(仮想移動体通信事業者)
・フォレストプロダクツ
インドネシアにおける植林・パルプ製造販売事業は、順調なオペレーションを通じて競争力強化を推進し、国内の板紙製造販売事業は、2018年度下期に実施した段ボール原紙値上げによる増収効果により増益を実現しました。また、木質資源活用の一環として、ペレットの自社ソース開発等バイオマス燃料の取組みも進めております。さらに、2020年下半期の商業生産開始を目指し、ベトナムの段ボール原紙製造工場の建設を進めるとともに、衛生紙分野では、世界第4位の市場規模を有するブラジルにて衛生紙製造販売会社サンテル社の買収を決定し、同国での事業に参画するとともに、今後は他地域への展開も推進していきます。
・食料
2019年5月にベトナムで当社100%出資のインスタントコーヒー製造販売会社のIguacu Vietnamを設立しました。伸長するアセアン・中国市場における事業拡大を目指し、2022年の商業稼働を予定しております。また、米国の牛肉処理加工販売会社のCreekstone Holdingにおいて設備増強を実施しました。グローバルな需要拡大が見込まれる高品質牛肉の供給拠点として、事業基盤の更なる強化を図っていきます。今後も引き続き、プレミアムビーフ等のスペシャリティ商品のマーケティング強化と製造・メーカー機能強化を戦略の柱として、事業拡大と持続的成長を推進していきます。
・アグリ事業
アグリインプット事業分野では、資産買収等を通じた米州・欧州・アジアの顧客基盤強化を引き続き図るとともに、一大農産地であるブラジルにおいて、新たに農業資材販売会社のAdubos Realへの出資を実施しました。
これら事業展開地域の拡大に加え、ITを駆使した顧客へのソリューション提供を強化することにより、一層の事業拡大を進めていきます。
また、北米穀物事業分野では、GavilonやColumbia Grain Internationalが営む集荷・保管・配送の既存事業の拡充を推進していくと同時に、食の安全・健康への意識の高まりに根差した新規事業にも取り組んでいきます。
・化学品
長年にわたり業界でトップクラスの地位を維持している石油化学品トレードでの需給調節機能の高度化や、蓄電池・ディスプレイ・太陽光発電機器に代表されるエレクトロニクス等のスペシャリティ分野でのソリューション提供型ビジネスの深化を国内外で推し進めております。また、飼料添加剤ディストリビューターのOrffa International Holdingを軸に、人口増加に伴い持続的な成長が期待できるライフサイエンス分野での事業拡大に注力するとともに、AIを活用した画像診断をはじめとするデジタルヘルス分野への進出等、化学品の枠を超えた新分野での新たな仕組み作りにも取り組んでおります。
・電力
再生可能エネルギー発電分野において、カタール初の大型太陽光発電事業となるアル・カルサ案件を受注、台湾で太陽光発電事業を開発・運営するチェンヤ・エナジー社とその事業群の買収に合意、秋田港・能代港における日本初の商業ベースでの洋上風力発電事業及び蒲郡市でのバイオマス発電事業の融資契約を締結して事業基盤を拡大し、スワイハン太陽光発電事業も商業運転を開始しました。さらに、UAEのフジャイラF3ガス焚き発電事業やミャンマーの500KV GIS(*)変電所建設案件を受注、アフリカでソーラーホームシステム販売事業を行うAzuri Technologiesへの出資参画、SmartestEnergyの米国等への展開や英国Dual Energy Direct買収による小売事業強化等火力発電事業や電力サービス事業の拡張も図っております。
(*)Gas Insulated Switchgear(ガス絶縁開閉装置)
・エネルギー
地球温暖化問題が深刻化する中、低炭素の天然ガス・LNG事業分野では、カタール等既存案件の安定操業・効率化・拡張の検討、さらには需要開発等サプライチェーンの拡充に資する取り組みを着実に進めております。また、新エネルギー分野では、豪州・米国・国内でCO2フリーに繋がる水素や燃料アンモニア製造・供給案件、バイオ燃料事業の検討や実証事業がスタートしました。さらに、強みである石油製品、天然ガス、LNG、ウラン等でのトレード&マーケティング分野でも収益が伸長しており、様々な事業分野で社会や顧客のニーズに応えるサービス提供に注力しております。
・金属
中核事業の豪州ロイヒル鉄鉱山、豪州クイーンズランド州のジェリンバーイースト炭鉱等の原料炭炭鉱及びアントファガスタ社とのチリ・センチネラ銅鉱山等の銅鉱山において、生産の最適化や厳格なコスト管理、AI等の先進技術の導入により収益力の向上を図るとともに、優良資産の新規取得や買い増し、新規鉱区の開発にも取り組んでおります。また、カナダ・ケベック州の鉱山廃棄物を活用したマグネシウム生産事業への参画をはじめとする循環型ビジネスへの取り組み強化、EV(*)の普及に必要不可欠な原材料の供給を通じて、グローバルな社会課題である環境問題解決に尽力しております。
(*)Electric Vehicle(電気自動車)
・プラント
水分野では、ポルトガル水道事業会社AGS MCUK Holdingsの完全子会社化を実現し、エネルギーインフラ分野では、7件目及び8件目のブラジル向けFPSO(*1)長期傭船事業に参画しました。交通インフラ分野では、2014年に受注した豪州シドニーメトロノースウェスト線の延伸案件となるシドニーメトロシティ&サウスウェスト線のPPP(*2)事業権を獲得しました。また、インフラファンド分野では、ガス・交通インフラの資産を順調に積み上げております。低炭素・循環型エコノミー分野では、英国カーボンクリーンソリューションズ社への出資を通じ、CO2回収・有効利用事業に参入しました。
(*1)Floating Production, Storage and Offloading System(浮体式海洋石油・ガス生産貯蔵積出設備)
(*2)Public Private Partnership(官民連携)
・航空・船舶
航空分野では、旺盛な旅客需要を背景に部品トレード事業、航空アセットマネジメント事業、空港グランドハンドリング事業が順調に拡大、またビジネスジェット事業、空港での車両の自動走行化、ロケット開発会社との資本提携を通じた宇宙事業への参入等、将来に向けた事業領域の拡大を図っております。船舶分野では、市況は不安定ながらトレード・自営船事業・LNG船事業ともに耐性を保ち堅調に推移した他、新たにパートナー会社とのばら積み船プール事業への参入、船舶保有ファンドへの出資参画も行いました。さらにはデジタル化も見据えた新規取組の模索等、商社のオーガナイズ機能の極大化を推進しております。
・金融・リース事業
航空機リース事業では、中長期的な航空旅客需要を背景に成長を続けている米国の持分法適用会社Aircastleの全株式をみずほリース株式会社と共同で取得しました。また、冷蔵・冷凍トレーラーリース・レンタル事業では、当社米国子会社株式をみずほリース株式会社へ持分譲渡し、同社との海外事業の共同展開を強化しました。航空機エンジンリース事業においては、Total Engine Asset Managementが保有する航空機エンジンを裏付けとする資産担保証券の発行に関する契約を、アジア企業として初めて締結しました。米国の中古車販売金融事業は、徹底したデータ活用による貸倒れの低減と販路の拡大に注力しました。
・建機・自動車・産機
建設機械分野では、トルコにおける建機販売代理店を連結子会社化し、代理店及び関連事業の収益基盤の強化・拡大に取り組んでおります。自動車分野では、米国における部品販売や車両整備等のアフターマーケット事業の拡大に取り組むとともに、EV用バッテリーマネジメント及び二次利用の事業化検討等、車両電動化へ多角的に取り組んでおります。タイヤ・ゴム資材分野では、タイ・メキシコにおいてタイヤ小売店舗を拡大しました。産業機械分野では、分散型電源の普及拡大に取り組むとともに、出資先を通じた構造物の予防保全に関する実証実験を開始しました。
・次世代事業開発
次世代事業開発本部は、世の中の成長テーマを捉え、次世代の収益基盤となる新たな事業の開発を目的として、2019年4月に発足しました。ヘルスケア分野においては、中国での医薬品卸販売事業が好調に推移した他、インドネシア最大の民間総合病院グループの株式取得により同国での病院事業に参画しました。また、革新的な技術やビジネスモデルを取り込み、新たな事業の開発を加速するためコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)を設立した他、シンガポール政府系投資会社テマセック傘下ファンドへの出資を行いました。アジア中間層向け事業開発、スマートシティ開発についても積極的に推進しております。
(2)当連結会計年度の経営成績、財政状態及びキャッシュ・フローの状況
「2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」をご参照願います。
(3)仕入、成約及び販売の実績
①仕入の実績
仕入と販売との差異は僅少であるため、仕入高の記載は省略しております。
②成約の実績
成約と販売との差異は僅少であるため、成約高の記載は省略しております。
③販売の実績
「2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記4 セグメント情報」をご参照願います。
2 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1)当連結会計年度の経営成績の分析
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
①収益
7,401,256
6,827,641
△573,615
②売上総利益
729,675
696,808
△32,867
③販売費及び一般管理費
△549,014
△558,487
△9,473
④貸倒引当金繰入額
△7,652
△4,446
3,206
営業利益
173,009
133,875
△39,134
⑤支払利息(受取利息控除後)
△30,857
△31,355
△498
⑥受取配当金
37,336
27,631
△9,705
⑦固定資産損益
△15,206
△250,961
△235,755
⑧有価証券損益
28,517
25,123
△3,394
⑨その他の損益
10,742
△15,098
△25,840
⑩持分法による投資損益
85,278
△55,150
△140,428
税引前利益(損失)
288,819
△165,935
△454,754
⑪法人所得税
△49,535
△24,256
25,279
⑫親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
230,891
△197,450
△428,341
(注)1. 本資料においては、特に記載がない場合、百万円未満を四捨五入して表示しております。
2. 「営業利益」は、投資家の便宜を考慮し、日本の会計慣行に従った自主的な表示であり、IFRSで求められている表示ではありません。「営業利益」は、連結包括利益計算書における「売上総利益」、「販売費及び一般管理費」及び「貸倒引当金繰入額」の合計額として表示しております。
①収益
当連結会計年度の収益は、中国向け穀物取引の減少、石油化学製品の価格下落及び取扱数量減少、Gavilon穀物事業における減収等により、前連結会計年度比5,736億円(7.8%)減収の6兆8,276億円となりました。
②売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、アルテリア・ネットワークスの連結子会社化(以下、ARTE子会社化)に伴う影響等があったものの、天候不順及び肥料市況悪化に伴うGavilonの減益、パルプ市況の悪化等に伴うムシパルプ事業の減益、原油・ガス価格の下落等に伴う石油・ガス開発事業の減益等により、前連結会計年度比329億円(4.5%)減益の6,968億円となりました。
③販売費及び一般管理費
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、ARTE子会社化に伴う影響等により、前連結会計年度比95億円(1.7%)増加の5,585億円となりました。
④貸倒引当金繰入額
当連結会計年度の貸倒引当金繰入額は、前連結会計年度比32億円(41.9%)減少の44億円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度比391億円(22.6%)減益の1,339億円となりました。
⑤支払利息(受取利息控除後)
当連結会計年度の支払利息(受取利息控除後)は、米ドル金利の低下に伴う減少があったものの、IFRS第16号「リース」の適用に伴う増加等により、前連結会計年度比5億円(1.6%)増加の314億円となりました。
⑥受取配当金
当連結会計年度の受取配当金は、海外発電事業での減少等により、前連結会計年度比97億円(26.0%)減少の276億円となりました。
⑦固定資産損益
当連結会計年度の固定資産損益は、米国メキシコ湾及び英領北海における石油・ガス開発事業の有形固定資産並びにGavilon穀物事業の買収に伴い認識したのれん及び無形資産等の減損損失の計上等により、前連結会計年度比2,358億円(-%)悪化の2,510億円(損失)となりました。
⑧有価証券損益
当連結会計年度の有価証券損益は、米国冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業の一部売却に伴う有価証券損益の増益があったものの、前連結会計年度におけるARTE子会社化に伴う時価評価益の反動等により、前連結会計年度比34億円(11.9%)減少の251億円(利益)となりました。
⑨その他の損益
当連結会計年度のその他の損益は、海外インフラ案件における損失、再保険事業関連損失、Gavilonの欧州(イタリア・スペイン)向け取引における不適切な処理に起因する過年度決算修正に伴う損失に加えて、前連結会計年度における国内発電事業の売却益計上の反動等により、前連結会計年度比258億円(-%)悪化の151億円(損失)となりました。
⑩持分法による投資損益
当連結会計年度の持分法による投資損益は、チリ銅事業投資、米国航空機リース事業投資、フィリピンインフラ事業投資、米国西海岸穀物輸出事業投資、英国洋上風力据付事業投資、パプアニューギニアにおけるLNG事業投資の減損損失の計上等により、前連結会計年度比1,404億円(-%)悪化の552億円(損失)となりました。
以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、前連結会計年度比4,548億円(-%)悪化の1,659億円(損失)となりました。
⑪法人所得税
当連結会計年度の法人所得税は、税引前利益の悪化により、前連結会計年度比253億円(51.0%)減少の243億円となりました。なお、当連結会計年度において、英領北海石油ガス開発事業並びに当社及び連結納税子会社において繰延税金資産の取り崩しによる損失を計上いたしました。
⑫親会社の所有者に帰属する当期利益(損失)
当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益(以下、当期利益)は、営業利益の減益に加えて、減損損失等の一過性損失があったことにより、前連結会計年度比4,283億円(-%)悪化の1,975億円(損失)となりました。
主な一過性損失(税引後計数)は以下の通りです。
米国メキシコ湾石油・ガス開発事業における固定資産の減損損失
940億円
Gavilon穀物事業の買収に伴い認識したのれん及び無形資産等の減損損失
783億円
チリ銅事業投資の減損損失
603億円
英領北海石油・ガス開発事業における固定資産の減損損失及び
繰延税金資産の取り崩し
575億円
米国航空機リース事業投資の減損損失
392億円
フィリピンインフラ事業投資の減損損失
211億円
米国西海岸穀物輸出事業投資の減損損失
199億円
英国洋上風力据付事業投資の減損損失
155億円
パプアニューギニアにおけるLNG事業投資の減損損失
136億円
当社及び連結納税子会社における繰延税金資産の取り崩し
101億円
当連結会計年度のオペレーティング・セグメント別の経営成績は次の通りです。
・ライフスタイル
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
170,345
164,040
△6,305
売上総利益
23,610
22,602
△1,008
営業利益
5,269
4,202
△1,067
持分法による投資損益
728
437
△291
親会社の所有者に帰属する
当期利益
5,191
4,127
△1,064
セグメントに対応する資産(参考)
122,188
102,770
△19,418
売上総利益は、衣料品等の販売減少により、前連結会計年度比10億円(4.3%)減益の226億円となり、営業利益は、前連結会計年度比11億円(20.3%)減益の42億円となりました。持分法による投資損益は、衣料品等の企画・製造・販売事業の減益により、前連結会計年度比3億円(40.0%)減益の4億円となりました。以上により、当期利益は、前連結会計年度比11億円(20.5%)減益の41億円となりました。
・情報・不動産
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
174,772
254,287
79,515
売上総利益
98,539
117,294
18,755
営業利益
18,308
27,924
9,616
持分法による投資損益
5,577
2,003
△3,574
親会社の所有者に帰属する
当期利益
31,365
11,944
△19,421
セグメントに対応する資産(参考)
447,106
483,014
35,908
売上総利益は、アルテリア・ネットワークスの連結子会社化(以下、ARTE子会社化)に伴う影響及び国内不動産販売の増加により、前連結会計年度比188億円(19.0%)増益の1,173億円となり、営業利益は、前連結会計年度比96億円(52.5%)増益の279億円となりました。持分法による投資損益は、ARTE子会社化に伴う影響及び中国不動産販売事業の減益により、前連結会計年度比36億円(64.1%)減益の20億円となりました。これらに加えて、再保険事業関連損失及び前連結会計年度におけるARTE子会社化に伴う時価評価益の反動があったことから、当期利益は、前連結会計年度比194億円(61.9%)減益の119億円となりました。
・フォレストプロダクツ
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
287,213
266,461
△20,752
売上総利益
41,159
32,424
△8,735
営業利益
19,792
11,683
△8,109
持分法による投資損益
2,361
△1,227
△3,588
親会社の所有者に帰属する
当期利益
16,213
3,298
△12,915
セグメントに対応する資産(参考)
266,855
266,786
△69
売上総利益は、パルプ市況の悪化等により、前連結会計年度比87億円(21.2%)減益の324億円となり、営業利益は、前連結会計年度比81億円(41.0%)減益の117億円となりました。持分法による投資損益は、持分法適用会社における一部生産設備の減損損失及び前連結会計年度に持分法適用会社を売却したことによる影響により、前連結会計年度比36億円(-%)悪化の12億円(損失)となりました。これらに加えて、ムシパルプ事業における繰延税金資産の取り崩しがあったことから、当期利益は、前連結会計年度比129億円(79.7%)減益の33億円となりました。
・食料
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
2,078,825
1,675,498
△403,327
売上総利益
97,933
102,313
4,380
営業利益
23,796
31,557
7,761
持分法による投資損益
5,237
6,307
1,070
親会社の所有者に帰属する
当期利益
19,639
19,467
△172
セグメントに対応する資産(参考)
762,628
679,664
△82,964
売上総利益は、穀物トレードの採算改善等により、前連結会計年度比44億円(4.5%)増益の1,023億円となりました。これに加えて、経費が減少したことから、営業利益は、前連結会計年度比78億円(32.6%)増益の316億円となりました。しかしながら、為替差損益の悪化及び北米天然鮭鱒事業における固定資産の減損損失等により、当期利益は、前連結会計年度比2億円(0.9%)減益の195億円となりました。
・アグリ事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
2,849,001
2,767,156
△81,845
売上総利益
185,194
169,146
△16,048
営業利益
43,183
27,235
△15,948
持分法による投資損益
△29,411
△24,966
4,445
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
672
△77,062
△77,734
セグメントに対応する資産(参考)
1,233,343
1,164,784
△68,559
売上総利益は、天候不順及び肥料市況悪化に伴うGavilonの減益等により、前連結会計年度比160億円(8.7%)減益の1,691億円となり、営業利益は、前連結会計年度比159億円(36.9%)減益の272億円となりました。また、前連結会計年度に減損損失を計上した米国西海岸穀物輸出事業投資について、事業環境悪化に伴い将来事業計画を見直した結果、当連結会計年度においても、持分法による投資損益として減損損失を計上しました。これらに加えて、Gavilon穀物事業の買収に伴い認識したのれん及び無形資産等の減損損失並びにGavilonの欧州(イタリア・スペイン)向け取引における不適切な処理に起因する過年度決算修正に伴う損失により、当期利益は、前連結会計年度比777億円(-%)悪化の771億円(損失)となりました。
・化学品
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
610,707
426,956
△183,751
売上総利益
39,958
29,913
△10,045
営業利益
16,803
5,385
△11,418
持分法による投資損益
1,739
1,468
△271
親会社の所有者に帰属する
当期利益
11,448
4,091
△7,357
セグメントに対応する資産(参考)
351,427
267,098
△84,329
売上総利益は、石油化学製品の採算悪化及び飼料機能材事業の取扱数量減少により、前連結会計年度比100億円(25.1%)減益の299億円となりました。これに加えて、貸倒費用増加等により、営業利益は、前連結会計年度比114億円(68.0%)減益の54億円となりました。以上により、当期利益は、前連結会計年度比74億円(64.3%)減益の41億円となりました。
・電力
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
165,463
162,812
△2,651
売上総利益
30,567
23,628
△6,939
営業損失
△10,210
△13,916
△3,706
持分法による投資損益
3,570
17,781
14,211
親会社の所有者に帰属する
当期利益
15,021
8,976
△6,045
セグメントに対応する資産(参考)
712,176
704,279
△7,897
売上総利益は、英国電力卸売・小売事業等の減益により、前連結会計年度比69億円(22.7%)減益の236億円となり、営業損失は、前連結会計年度比37億円(-%)悪化の139億円(損失)となりました。持分法による投資損益は、英国洋上風力据付事業投資の減損損失等があったものの、前連結会計年度におけるシンガポール発電事業投資の減損損失の反動等により、前連結会計年度比142億円(398.1%)増益の178億円となりました。しかしながら、前連結会計年度における国内発電事業売却益の反動により、当期利益は、前連結会計年度比60億円(40.2%)減益の90億円となりました。
・エネルギー
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
404,591
469,722
65,131
売上総利益
55,054
37,343
△17,711
営業利益
20,010
3,345
△16,665
持分法による投資損益
958
△13,228
△14,186
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
26,646
△149,335
△175,981
セグメントに対応する資産(参考)
787,524
572,001
△215,523
売上総利益は、石油・ガス開発事業における原油・ガス価格の下落等及び石油・ガストレーディング事業の減益により、前連結会計年度比177億円(32.2%)減益の373億円となり、営業利益は、前連結会計年度比167億円(83.3%)減益の33億円となりました。持分法による投資損益は、パプアニューギニアにおけるLNG事業投資の減損損失等により、前連結会計年度比142億円(-%)悪化の132億円(損失)となりました。これらに加えて、米国メキシコ湾石油・ガス開発事業における固定資産の減損損失、英領北海石油・ガス開発事業における固定資産の減損損失及び繰延税金資産の取り崩し等により、当期利益は、前連結会計年度比1,760億円(-%)悪化の1,493億円(損失)となりました。
・金属
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
386,325
337,664
△48,661
売上総利益
32,667
30,412
△2,255
営業利益
13,672
11,719
△1,953
持分法による投資損益
41,012
△16,547
△57,559
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
41,740
△5,719
△47,459
セグメントに対応する資産(参考)
853,100
758,594
△94,506
売上総利益は、豪州石炭事業における商品価格の下落等により、前連結会計年度比23億円(6.9%)減益の304億円となり、営業利益は、前連結会計年度比20億円(14.3%)減益の117億円となりました。持分法による投資損益は、豪州鉄鉱石事業の増益があったものの、チリ銅事業投資の減損損失により、前連結会計年度比576億円(-%)悪化の165億円(損失)となりました。以上により、当期利益は、前連結会計年度比475億円(-%)悪化の57億円(損失)となりました。
・プラント
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
29,854
23,112
△6,742
売上総利益
14,844
14,126
△718
営業損失
△3,378
△4,545
△1,167
持分法による投資損益
17,522
△16,619
△34,141
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
15,565
△27,783
△43,348
セグメントに対応する資産(参考)
343,588
243,833
△99,755
売上総利益は、海外プラント案件の取扱高減少により、前連結会計年度比7億円(4.8%)減益の141億円となり、営業損失は、前連結会計年度比12億円(-%)悪化の45億円(損失)となりました。持分法による投資損益は、フィリピンインフラ事業投資及び米国石油・ガス開発関連事業投資の減損損失等により、前連結会計年度比341億円(-%)悪化の166億円(損失)となりました。これらに加えて、海外インフラ案件における損失等により、当期利益は、前連結会計年度比433億円(-%)悪化の278億円(損失)となりました。
・航空・船舶
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
76,283
80,996
4,713
売上総利益
23,391
26,220
2,829
営業利益
11,302
14,058
2,756
持分法による投資損益
5,073
2,832
△2,241
親会社の所有者に帰属する
当期利益
13,990
11,641
△2,349
セグメントに対応する資産(参考)
245,707
274,961
29,254
売上総利益は、船舶関連事業の増益等により、前連結会計年度比28億円(12.1%)増益の262億円となり、営業利益は、前連結会計年度比28億円(24.4%)増益の141億円となりました。持分法による投資損益は、船舶関連事業の増益があったものの、英国洋上風力据付事業投資の減損損失により、前連結会計年度比22億円(44.2%)減益の28億円となりました。以上により、当期利益は、前連結会計年度比23億円(16.8%)減益の116億円となりました。
・金融・リース事業
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
24,774
25,095
321
売上総利益
10,740
11,025
285
営業利益(損失)
1,011
△492
△1,503
持分法による投資損益
22,288
△20,092
△42,380
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
18,337
△7,424
△25,761
セグメントに対応する資産(参考)
250,097
306,915
56,818
売上総利益は、前年度並みであったものの、経費が増加したことから、営業利益は、前連結会計年度比15億円(-%)悪化の5億円(損失)となりました。持分法による投資損益は、米国中古車販売金融事業の増益があったものの、米国航空機リース事業投資の減損損失により、前連結会計年度比424億円(-%)悪化の201億円(損失)となりました。当期利益は、米国冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業の一部売却に伴う有価証券損益の増益があったものの、持分法による投資損益の悪化により、前連結会計年度比258億円(-%)悪化の74億円(損失)となりました。
・建機・自動車・産機
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
318,131
318,260
129
売上総利益
86,476
89,559
3,083
営業利益
18,676
20,017
1,341
持分法による投資損益
8,675
6,027
△2,648
親会社の所有者に帰属する
当期利益
22,131
19,561
△2,570
セグメントに対応する資産(参考)
340,728
359,864
19,136
売上総利益は、自動車関連事業、建設機械販売事業、タイヤ・ゴム資材事業等の増益により、前連結会計年度比31億円(3.6%)増益の896億円となり、営業利益は、前連結会計年度比13億円(7.2%)増益の200億円となりました。持分法による投資損益は、前連結会計年度における国内発電事業売却益の反動等により、前連結会計年度比26億円(30.5%)減益の60億円となりました。以上により、当期利益は、前連結会計年度比26億円(11.6%)減益の196億円となりました。
・次世代事業開発
(単位:百万円)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
収益
8
60
52
売上総利益
4
32
28
営業損失
△2,112
△4,368
△2,256
持分法による投資損益
8
2
△6
親会社の所有者に帰属する
当期利益(損失)
△2,155
△3,676
△1,521
セグメントに対応する資産(参考)
643
7,314
6,671
営業損失は、新たなビジネスモデルの創出・開発の推進に伴い、人件費・調査研究費等の経費が増加したことにより、前連結会計年度比23億円(-%)悪化の44億円(損失)となりました。以上により、当期損失は、前連結会計年度比15億円(-%)悪化の37億円(損失)となりました。
(注)1. 当連結会計年度より、「食料」、「生活産業」、「素材」、「エネルギー・金属」、「電力・プラント」及び「輸送機」としていたオペレーティング・セグメントを、「ライフスタイル」、「情報・不動産」、「フォレストプロダクツ」、「食料」、「アグリ事業」、「化学品」、「電力」、「エネルギー」、「金属」、「プラント」、「航空・船舶」、「金融・リース事業」、「建機・自動車・産機」及び「次世代事業開発」に再編しております。これらに伴い、前連結会計年度のオペレーティング・セグメント情報を組み替えて表示しております。
2. セグメント間取引は、通常の市場価格により行われております。
(2)当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況及び財政状態の分析、並びに資本の財源及び資金の流動性について
①キャッシュ・フローの状況について
当連結会計年度末における「現金及び現金同等物」の残高は、前連結会計年度末比132億円(2.6%)増加の5,225億円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、営業資金負担等の増加があったものの、営業収入や配当収入等により、3,270億円の収入となりました。前連結会計年度比では421億円の収入の増加であります。
基礎営業キャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローから、営業資金の増減等を控除した「基礎営業キャッシュ・フロー」は、3,638億円となりました。その内訳は次の通りです。
(収入:+、支出:△)
調整後営業利益
(売上総利益+販売費及び一般管理費)
+1,383億円
減価償却費等
+1,669億円
利息の受取額及び支払額
△372億円
配当金の受取額
+1,205億円
法人所得税の支払額
△247億円
基礎営業キャッシュ・フロー
+3,638億円
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、株式の売却収入があったものの、持分法適用会社の株式の取得や海外事業における資本的支出等により、2,098億円の支出となりました。前連結会計年度比では2,323億円の支出の増加であります。
回収
当連結会計年度における投資の回収等による収入は、1,236億円となりました。
主な売却案件は以下の通りです。
・冷凍・冷蔵トレーラーリース・レンタル事業(米国 PLM Fleet 一部売却)
・豪州PPP事業
・海外発電事業
・国内小売事業(相鉄ローゼン)
新規投資・CAPEX(資本的支出)
当連結会計年度における新規投資・CAPEX(資本的支出)等による支出は、3,335億円となりました。
ビジネスモデル別の主な新規投資は以下の通りです。
セールス&マーケティング事業
・肉牛の処理加工・販売事業拡張(米国 Creekstone Holding)
・病院事業(インドネシア Siloam病院)
・農業資材販売事業(ブラジル Adubos Real)
・建設機械販売代理店事業追加出資(トルコ Temsa Is Makinalari Imalat Pazarlama Ve Satis)
ファイナンス事業
・航空機リース事業追加出資(米国 Aircastle)
安定収益型事業
・水事業追加出資(ポルトガル・ブラジル AGS MCUK Holdings)
・海外発電事業
以上により、当期のフリーキャッシュ・フローは、1,172億円の収入となりました。前連結会計年度比では1,902億円の収入の減少であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
社債及び長期借入金やリース負債等の返済、配当金の支払いを行った結果、933億円の支出となりました。前連結会計年度比では3,342億円の支出の減少であります。
②財政状態の状況について
(単位:百万円)
前連結
会計年度末
当連結
会計年度末
増減
総資産
6,809,077
6,320,037
△489,040
資本合計
2,071,726
1,604,600
△467,126
ネット有利子負債
1,858,839
1,859,125
286
ネットDEレシオ
0.90
倍
1.16
倍
0.26
ポイント
(注)ネット有利子負債は、社債及び借入金(流動・非流動)の合計額から現金及び現金同等物、定期預金を差し引いて算出しております。
当連結会計年度末における総資産は、新会計基準適用による有形固定資産等の増加があったものの、石油・ガス開発事業等における減損損失に加え、主に穀物トレード事業及び石油化学製品分野における営業債権及び貸付金の減少により、前連結会計年度末比4,890億円減少の6兆3,200億円となりました。ネット有利子負債は、フリーキャッシュ・フローでの収入があったものの、リース負債の支払い及び支払配当の影響等により、前連結会計年度末比3億円増加の1兆8,591億円となりました。資本合計は、利益剰余金の減少及び円高による在外営業活動体の換算差額の減少等により、前連結会計年度末比4,671億円減少の1兆6,046億円となりました。この結果、ネットDEレシオは1.16倍となりました。
③資本政策及び資本コストに関する考え方について
当社は、中期経営戦略「GC2021」を策定し、2019年度よりスタートしております。2019年度の赤字決算により財務基盤の早急な回復が必要になったことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響により経営環境が大幅に悪化したことから、経営基盤の強化・再構築に取り組むべく、「GC2021」を修正しております。財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底し、3ヵ年累計の株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字により債務返済を優先することで、2021年度末のネットDEレシオを1.0倍程度に改善させる方針です。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)中期経営戦略「GC2021」の修正について」をご参照願います。
加えて、株主資本コストを十分に意識した経営を実施するため、「GC2021」における経営指標としてROE10%以上を最低限クリアすべき水準として設定し、長期的な時価総額の向上を追求していく方針です。
当連結会計年度における資本配分の状況は以下の通りです。
当連結会計年度における基礎営業キャッシュ・フローは3,638億円の収入となり、子会社や持分法で会計処理される投資の売却等の投資活動による収入と合わせた収入合計額は4,876億円となりました。一方で、営業資金の増減による368億円の支出や、新規投資・CAPEX等の投資活動による支出と合わせた支出合計額は3,704億円となり、フリーキャッシュ・フローは1,172億円の収入となりました。
フリーキャッシュ・フローから親会社の株主に対する配当金599億円を控除した株主還元後フリーキャッシュ・フローは、573億円の収入となり、社債及び借入金やリース負債等の返済に充当しております。当社は、「GC2021基本方針」に従い、GC2021期間中は財務基盤の再生・強化を優先し、株主還元後フリーキャッシュ・フローを債務の返済に優先的に充当する方針です。なお、当社の配当に関する基本方針等については、「第4 提出会社の状況」における「3 配当政策」に記載の通りであります。
④資金調達の方針及び手段について
当社及び連結子会社の資金調達に関しては、資産構成に合わせた最適資金調達を基本方針としております。
銀行、生保等の国内金融機関を中心とした間接調達、及び社債、コマーシャル・ペーパーの発行を通じた直接調達をバランスよく組み合わせることにより、必要資金を確保するとともに、長年に亘り金融機関・市場関係者と培った関係性を活かしながら、安定的な資金調達と金融費用の削減を目指しております。
なお、直接調達手段として、国内公募普通社債発行登録枠2,000億円、コマーシャル・ペーパー発行枠7,000億円を設定しております。
また、財務基盤の更なる強化を図るため、2016年8月16日に永久劣後特約付ローンによる2,500億円の資金調達を実行しております。
当連結会計年度では、前連結会計年度と同様に、財務規律の向上に努めつつ、大型の投資案件に対する必要資金の確保に機動的に対応しました。翌連結会計年度は、新型コロナウイルスの発生・拡大に端を発する実体経済の悪化に伴う不測の資金需要に対して如何に適切に対応をしていくかが主要な資金調達の実施方針となります。具体的には、平時に比べて厚い手元流動性を保有し、機動的な資金調達を実施します。
連結子会社を含む当社グループの資金管理については、原則として、当社及び国内外の金融子会社、海外現地法人等の調達拠点を通じて、資金余剰のあるグループ会社の余資を、他のグループ会社の資金需要に機動的に活用することで、グループ全体における効率的な調達体制を維持しております。
格付けについて、当社はムーディーズ・ジャパン株式会社(Moody’s)、S&Pグローバル・レーティング・ジャパン株式会社(S&P)、株式会社格付投資情報センター(R&I)、株式会社日本格付研究所(JCR)の4社から格付けを取得しております。
当連結会計年度末現在の長期格付けは、Moody’sがBaa2、S&PがBBB、R&IがA、JCRがA+となっております。
⑤流動性の状況について
当連結会計年度末の現金及び現金同等物並びに定期預金の残高は5,227億円となりました。また、金融機関にフィーを支払い、コミットメントラインを以下の通り設定しております。
・大手邦銀を主としたシンジケート団による3,000億円(長期)
・欧米主要銀行を主としたシンジケート団による555百万米ドル(短期)
当連結会計年度末において、1年以内に返済予定の長期債務を含む短期債務は6,200億円であり、連結ベースの流動比率は、前連結会計年度末の128.1%に対し、当連結会計年度末は122.0%となりました。現金及び現金同等物並びに定期預金の保有、コミットメントラインの設定により十分な流動性を確保しております。
前述した通り、翌連結会計年度は新型コロナウイルスによる実体経済の悪化に伴う不測の資金需要に備え、直接・間接調達を併せた機動的な資金調達を実施することで、現預金等の手元流動性を十分に確保します。
(3)重要な会計方針及び見積り
当社の連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しており、連結財務諸表の作成にあたっては、報告期間の期末日における資産・負債の計上、偶発資産・偶発負債の開示及び期中の収益・費用の計上を行うため、必要に応じて会計上の見積り及び仮定を用いております。この会計上の見積り及び仮定は、その性質上不確実であり、実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表に特に重要な影響を与える会計上の見積り及び仮定は以下の通りであります。
有形固定資産及び無形資産の減損
当社及び連結子会社は、各報告期間の期末日に資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判定しております。資産が減損している可能性を示す兆候の内容は、主に、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。
有形固定資産及び耐用年数を確定できる無形資産については、資産が減損している可能性を示す兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額の見積りを行っております。耐用年数を確定できない無形資産及びのれんについては、減損の兆候があるか否かを問わず、最低限年1回定期的に資産の帳簿価額が回収可能価額を超過しているか否かを確認しております。
資産の回収可能価額は資産又は資金生成単位の売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としており、資産が他の資産又は資産グループから概ね独立したキャッシュ・インフローを生成しない場合を除き、個別の資産ごとに決定しております。公正価値は独立の第三者による評価結果を使用する等市場参加者間の秩序ある取引において成立し得る価格を合理的に見積り算定しております。資産又は資金生成単位の回収可能価額が帳簿価額を下回っている場合は、当該資産の帳簿価額をその回収可能価額まで減額し、減損損失として認識しております。使用価値の算定に当たって使用される将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された事業計画や、それが入手できない場合は、直近の資産状況を反映した事業計画によって見積もっております。石油・原油等の資源事業に係る開発設備及び鉱業権においては、将来油価・ガス価、鉱区ごとの開発コスト及び埋蔵量等を主要な仮定としております。使用価値の評価にあたり、見積られた将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間価値及び当該資産に固有のリスクに関する現在の市場評価を反映した割引率を用いて現在価値まで割り引いております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。
減損損失認識後は、各報告期間の期末日において、過去に認識した減損損失がもはや存在しないか、または減少している可能性を示す兆候があるか否かを判定しております。このような兆候が存在する場合は、資産の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額が資産の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。戻入れ後の帳簿価額は、過去において当該資産について認識した減損損失がなかったとした場合の帳簿価額(減価償却累計額控除後又は償却累計額控除後)を超えない範囲で認識しております。減損の戻入額は純損益として認識しております。
なお、のれんについて認識した減損損失を戻入れることはしておりません。
関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の減損
当社及び連結子会社が保有している関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資に関して、総合的に判断を行い、減損の客観的証拠がある場合には、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減額は減損損失として純損益で認識しております。減損の客観的証拠の内容は、主に、市場性のある投資の市場価格の下落、事業環境の悪化に伴う収益性の低下、事業内容の見直し等によるものです。また、回収可能価額は売却費用控除後の公正価値と使用価値のいずれか高い方の金額としております。 公正価値は主に、売却予定価格等に基づき算定しており、使用価値は主に、経営者により承認された事業計画等に基づき算定しております。これらの主要な仮定について、事業戦略の変更や市場環境の変化等により見直しが必要となった場合並びに割引率の見直しが必要となった場合に減損損失が発生する可能性があります。
減損損失認識後は、認識した減損損失がもはや存在しない、または減少している可能性を示す兆候の有無に関して、各報告期間の期末日に判定しております。このような兆候が存在する場合は、関連会社及びジョイント・ベンチャーに対する投資の回収可能価額の見積りを行っております。見積られた回収可能価額がその投資の帳簿価額を超える場合は、減損損失を戻入れております。減損損失の戻入額は、その投資の回収可能価額が減損損失認識後に増加した範囲で認識しており、過去に認識した減損損失の金額を上限として純損益として認識しております。
偶発負債及び引当金
引当金は、当社及び連結子会社が過去の事象の結果として、現在の法的又は推定的債務を有しており、当該債務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が生じる可能性が高く、かつ当該債務の金額について信頼性をもって見積ることができる場合に認識しております。貨幣の時間価値の影響が重要である場合、引当金は当該負債に特有のリスクを反映させた割引率を用いた現在価値により測定しております。
訴訟案件に関する重要な引当金や偶発負債の見積にあたっては、見積時点における訴訟プロセスの状況、訴訟戦略上の様々な選択肢や想定される将来の訴訟の趨勢も考慮のうえ、関連する事実関係や法律関係について、社外専門家を起用の上、当社の主張する法的立場の客観的な分析及び評価を実施しております。訴訟において当社が最終的に損失を蒙る可能性が高い状況であると考えられる場合に、信頼性をもって見積ることができる金額の引当金を計上しております。
新型コロナウイルス感染症の影響
連結財務諸表の作成に当たっては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による直接的または間接的影響を考慮した会計上の見積り及び仮定を用いております。詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響について」及び「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記2 作成の基礎 (3)見積り及び判断の利用」をご参照願います。
当社の経営陣は、これらの見積り及び仮定は合理的であると考えておりますが、想定を超えた変化等が生じた場合、当社の連結財務諸表に大きな影響を及ぼすことがあります。
その他、重要な会計方針についての詳細は、「第5 経理の状況」における「1 連結財務諸表等 連結財務諸表に対する注記3 重要な会計方針」に記載の通りであります。
(4)経営戦略の現状と今後の見通し
当社は、丸紅グループの在り姿「Global crossvalue platform」を定めるとともに、3ヵ年の中期経営戦略「GC2021」を策定し、2019年度よりスタートしておりますが、2019年度の赤字決算により株主資本が毀損し、ネットDEレシオが1.16倍に後退したことに加え、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響等によりキャッシュ創出力の低下が見込まれることから、2021年度末ネットDEレシオ目標を当初目標の0.7倍程度から1.0倍程度に修正いたしました。
今後は、財務基盤の再生・強化を最優先課題としてキャッシュ・フロー重視の経営を徹底し、3ヵ年累計の株主還元後フリーキャッシュ・フローの黒字を達成することで債務返済を優先し、2021年度末ネットDEレシオの1.0倍程度の達成を目指します。
なお、「GC2021」の修正の詳細については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」の「(4)中期経営戦略「GC2021」の修正について」をご参照願います。