【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況当連結会計年度の第2四半期連結累計期間においては、コロナショックからの脱却に伴う世界的な経済活動の活発化により景気回復に期待が寄せられる一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化、足元の中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりによる不透明感、先進国での根強いインフレと各国中銀の金融引き締めにより、世界経済への下押し圧力が継続しており、今後の景気後退懸念に注視していく必要があります。
米国では、インフレ抑制を目指し、FRBが2022年3月~2023年7月にハイペースでの利上げを実施し、政策金利は5.25~5.50%となっています。その後FRBは、直近の9月と11月の会合で利上げを見送り、金利の適正水準を見極めようとしています。景気後退懸念は依然残るものの、インフレ鈍化と堅調な消費を受け、ソフトランディングは可能との見方が強まっています。欧州では、ECBが9月理事会で10会合連続の利上げを決定した後、10月理事会で主要政策金利の据え置きを決定しました。ECBは現在の政策金利を「十分に長い期間」維持することで、インフレが抑制される可能性を示唆しています。インフレ鈍化と安定的な雇用環境はプラス材料ですが、足元の消費は弱含みであり、GDP成長率は減速傾向にあります。中国では、2022年10月の第20回中国共産党全国代表大会で改革開放重視の姿勢が示され、同年12月にはゼロコロナ政策を転換し、経済活動の本格的な回復が期待されました。しかし、輸出額の減少、個人消費や不動産市場の低迷などを受けて、今年度に入り二度の利下げが行われるなど景況感の改善が鈍い状況が続いており、経済活動の先行きを注意深く見ていく必要があります。アジアでは、欧米市場を中心とした外需低迷を受けて、成長率は減速傾向にあります。内需がけん引する国も多いものの、ウクライナ情勢の長期化による物価高、金利高が懸念されます。一部の国ではインフレ率がピークアウトしつつも、米国との金利差から生じる通貨安等もあり、利下げに踏み切る国は限定的となっています。日本では、訪日外国人客数の回復により宿泊業や飲食業が回復に向かい、自動車は半導体の供給制約の解消を受けて生産・販売ともに好転しています。一方で、名目賃金を示す現金給与総額は上昇しているものの、物価上昇の影響から実質賃金の低下が続く中、国内消費は足踏み状態が続いています。日銀は従来の緩和的な金融政策を維持し、日米金利差を背景に円安が進行しました。今後も、日本の金融政策変更などを要因とする急激な為替変動がありうる点には留意が必要です。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの経営成績につきましては、次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間の収益は、石炭の価格下落や取扱数量減少による金属・資源・リサイクルでの減収に加え、各種化学品の取扱数量減少による化学での減収などにより、1兆1,872億68百万円と前年同期比6.8%の減収となりました。売上総利益は、石炭の価格下落や取扱数量減少による金属・資源・リサイクルでの減益に加え、各種化学品の取扱数量減少による化学での減益などにより、前年同期比248億48百万円減益の1,573億95百万円となりました。税引前四半期利益は、売上総利益の減益に加え、物件費の増加による販売費及び一般管理費の増加などにより、前年同期比420億38百万円減益の645億9百万円となりました。四半期純利益は、税引前四半期利益645億9百万円から、法人所得税費用150億68百万円を控除した結果、四半期純利益は前年同期比321億71百万円減益の494億40百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は、前年同期比309億42百万円減益の479億34百万円となりました。四半期包括利益は、四半期純利益にFVTOCIの金融資産や在外営業活動体の換算差額などを計上した結果、四半期包括利益は、前年同期比470億30百万円減益の1,096億60百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期包括利益は、前年同期比431億67百万円減益の1,054億16百万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当社グループは、2023年4月1日付にて一部の報告セグメントの区分方法の変更を行っており、要約四半期連結財務諸表の注記事項「4 セグメント情報」に記載しております。
(以下「四半期純利益」は「親会社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しております。)
(自動車)収益は、海外中古車販売事業の取得などにより、2,015億1百万円と前年同期比33.3%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、海外中古車販売事業の取得による販売費及び一般管理費の増加に加え、外貨金利上昇による金融費用の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比18億18百万円減益の26億65百万円となりました。
(航空産業・交通プロジェクト)収益は、ビジネスジェット運航整備会社の取得などにより、183億75百万円と前年同期比5.4%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、航空機関連取引における金融収益の減少などにより、四半期純利益は、前年同期比8億71百万円減益の15億2百万円となりました。
(インフラ・ヘルスケア)収益は、産業機械事業会社における収益の増加などにより、719億2百万円と前年同期比12.4%の増収となりました。売上総利益の増益があったものの、米国ガス火力発電事業の売却に伴う持分法による投資損益の減少などにより、四半期純利益は、前年同期比42億79百万円減益の54億70百万円となりました。
(金属・資源・リサイクル)収益は、石炭の価格下落や取扱数量減少などにより、2,452億57百万円と前年同期比29.9%の減収となりました。売上総利益の減益などにより、四半期純利益は、前年同期比232億57百万円減益の185億37百万円となりました。
(化学)収益は、各種化学品の取扱数量減少などにより、2,778億11百万円と前年同期比16.0%の減収となりました。売上総利益の減益などにより、四半期純利益は、前年同期比46億63百万円減益の67億58百万円となりました。
(生活産業・アグリビジネス)収益は、木材の取扱数量減少などにより、1,430億25百万円と前年同期比22.8%の減収となりました。売上総利益の減益などにより、四半期純利益は、前年同期比23億56百万円減益の34億50百万円となりました。
(リテール・コンシューマーサービス)収益は、商業施設の売却などにより、2,036億2百万円と前年同期比35.1%の増収となりました。売上総利益の増益に加え、冷凍マグロ加工販売会社の取得に伴う負ののれん発生益によるその他の収益・費用の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比80億78百万円増益の91億24百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは852億24百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは462億9百万円の収入、財務活動によるキャッシュ・フローは1,612億2百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は2,261億86百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の営業活動による資金は、営業収入及び配当収入などにより852億24百万円の収入となりました。前年同期比では29億70百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の投資活動による資金は、冷凍マグロ加工販売会社や豪州省エネルギー事業への出資があったものの、航空機関連取引や政策保有株式の売却による回収などにより462億9百万円の収入となりました。前年同期比では904億40百万円の収入増加となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の財務活動による資金は、借入金の返済や自己株式の取得及び配当金の支払いなどにより1,612億2百万円の支出となりました。前年同期比では1,098億70百万円の支出増加となりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
通期連結業績の見通し
現時点での通期の連結業績見通しは、以下のとおりであります。
売上総利益 3,200億円
税引前利益 1,250億円
当期純利益 1,000億円
当期純利益(当社株主帰属) 950億円
上記見通しの前提条件として、下期の為替レート(\/US$)は140円としておりますが、影響は軽微であります。
剰余金の配当(中間配当)
配当基準日である2023年9月30日時点の発行済普通株式に対し、1株当たり中間配当金を65円とすることを
2023年10月31日開催の取締役会にて決議しました。なお、当該中間配当の配当総額は、14,439百万円(効力発生日:
2023年12月1日)となります。
また、第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変
更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動特記事項はありません。
(5) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況についての分析
① 財政状態当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、円安の影響に加え、連結子会社の新規取得などにより、前期末比1,138億81百万円増加の2兆7,747億24百万円となりました。負債合計は、円安の影響に加え、営業債務及びその他の債務が当第2四半期連結会計期間末の休日影響により増加したことなどにより、前期末比685億93百万円増加の1兆8,528億59百万円となりました。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、自己株式の取得や、配当金の支払いがあったものの、四半期純利益の積み上がりや、為替の変動によるその他の資本の構成要素の増加などにより、前期末比507億91百万円増加の8,885億4百万円となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は32.0%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比127億28百万円増加の6,421億54百万円となり、ネット有利子負債倍率は0.7倍となりました。
※ 自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。
また、有利子負債総額にはリース負債を含めておりません。
② 資金の流動性と資金調達について当社グループは、「中期経営計画2023」におきまして、従来と同様に資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし、一定水準の長期調達比率の維持や、経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当第2四半期連結会計期間末の流動比率は151.8%、長期調達比率は80.0%となっております。長期資金調達手段の一つである普通社債につきましては、当第2四半期連結累計期間は発行しておりませんが、引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び25.75億米ドル(4.15億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。
(6) 主要な設備特記事項はありません。
※将来情報に関するご注意本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済環境、為替相場の変動など様々な要因により、大きく変動する可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。