【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績の状況当連結会計年度の第2四半期連結累計期間においては、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻とこれに対する各国制裁の影響、インフレ高進とそれに対する世界的な金融引き締め、中国経済の先行き不透明感など、世界経済への下押し圧力が拡大しており、新型コロナウイルス感染症は収束しつつあるものの、今後の景気後退懸念に注視していく必要があります。
米国では、FRBによる大幅な利上げが続いており、9月のFOMCで示された最新見通しでは、年内の残り2会合で、さらに1.25%分の利上げが想定され、住宅投資や設備投資では既に減速感が見られており、来年に向けてリセッション入りが懸念される状況となっています。欧州では、ECBは物価安定を最優先課題とし、積極的な利上げで対応する方針を示しています。エネルギー関連については、対露制裁を強化しつつある一方、同地域における原油・ガスの対露依存度も大きいため、製造業を含めた幅広いバリューチェーンへの悪影響が拡大することが懸念されています。中国では、ゼロコロナ政策の影響で第1四半期の経済活動が大きく下押しされ、経済活動再開後の第2四半期においても7~9月期実質GDP成長率が前年比3.9%増にとどまり、PMIなど各種景況感指数の改善傾向は続かず、経済活動に力強さを欠いている状況にあります。今後公表される経済指標やゼロコロナ政策の動向には、引き続き注意が必要となります。アジアでは、経済活動の再開に伴い、生産や輸出の回復が続いている一方、自国通貨安による輸入物価の上昇や米利上げに伴う資本流出への対応として各国中銀は5月以降、順次利上げに転じています。日本では、第1四半期に中国の都市封鎖の影響が生産・輸出に大きく出ましたが、第2四半期以降は持ち直しています。一方、日銀は世界的な金融引き締めの中においても、従来の緩和的な金融政策を維持しています。日銀・財務省による為替介入の効果は限られており、今後も日米金利差のさらなる拡大による円安が経済環境に与える影響にも留意が必要です。
当第2四半期連結累計期間の当社グループの経営成績につきましては、次のとおりであります。
当第2四半期連結累計期間の収益は、石炭価格の上昇による金属・資源・リサイクルでの増収に加え、合成樹脂取引の増加やメタノール価格の上昇による化学での増収、木材や肥料価格の上昇による生活産業・アグリビジネスでの増収などにより、1兆2,733億22百万円と前年同期比27.2%の増収となりました。売上総利益は、石炭価格の上昇による金属・資源・リサイクルでの増益に加え、メタノール価格の上昇や合成樹脂取引の増加による化学での増益、海外自動車事業での為替及び収益性良化による自動車での増益などにより、前年同期比645億27百万円増加の1,822億43百万円となりました。税引前四半期利益は、連結子会社の新規取得などによる販売費及び一般管理費の増加があったものの、売上総利益の増益などにより、前年同期比540億92百万円増加の1,065億47百万円となりました。四半期純利益は、税引前四半期利益1,065億47百万円から、法人所得税費用249億36百万円を控除した結果、前年同期比401億47百万円増加の816億11百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期純利益は前年同期比394億27百万円増加し、788億76百万円となりました。四半期包括利益は、四半期純利益にFVTOCIの金融資産や在外営業活動体の換算差額などを計上した結果、前年同期比959億91百万円増加し、1,566億90百万円となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期包括利益は前年同期比902億36百万円増加し、1,485億83百万円となりました。
セグメントごとの経営成績を示すと、次のとおりであります。
当社グループは、2022年4月1日付にて「生活産業・アグリビジネス」、「リテール・コンシューマーサービス」を再編し、報告セグメントの区分方法を変更しております。
(以下「四半期純利益」は「親会社の所有者に帰属する四半期純利益」を指しております。)
(自動車)収益は、海外自動車事業での為替及び収益性良化などにより、1,511億85百万円と前年同期比27.0%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、四半期純利益は、前年同期比10億51百万円増加し、44億82百万円となりました。
(航空産業・交通プロジェクト)収益は、航空機関連取引における減収などにより、187億9百万円と前年同期比40.5%の減収となりました。航空機内食関連事業会社の取得による売上総利益の増益などにより、四半期純利益は、前年同期比6億17百万円増加し、20億1百万円となりました。
(インフラ・ヘルスケア)収益は、米国省エネルギーサービス事業の取得などにより、473億11百万円と前年同期比68.3%の増収となりました。売上総利益の増益に加え、LNG事業会社の増益による持分法による投資損益の増加や、海外通信タワー事業会社の一部売却によるその他の収益・費用の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比77億44百万円増加し、89億81百万円となりました。
(金属・資源・リサイクル)収益は、石炭価格の上昇などにより、3,498億81百万円と前年同期比35.2%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、四半期純利益は、前年同期比255億80百万円増加し、417億94百万円となりました。
(化学)収益は、合成樹脂取引の増加やメタノール価格の上昇などにより、3,234億79百万円と前年同期比24.1%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、四半期純利益は、前年同期比45億83百万円増加し、113億40百万円となりました。
(生活産業・アグリビジネス)収益は、木材や肥料価格の上昇などにより、1,926億32百万円と前年同期比35.8%の増収となりました。売上総利益の増益などにより、四半期純利益は、前年同期比11億42百万円増加し、58億87百万円となりました。
(リテール・コンシューマーサービス)収益は、水産食品加工会社の取得などにより、1,494億44百万円と前年同期比45.4%の増収となりました。売上総利益での増益があったものの、水産食品加工会社の取得による販売費及び一般管理費の増加などにより、四半期純利益は、前年同期比4億79百万円減少し、14億18百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間のキャッシュ・フローの状況は、営業活動によるキャッシュ・フローは822億54百万円の収入、投資活動によるキャッシュ・フローは442億31百万円の支出、財務活動によるキャッシュ・フローは513億32百万円の支出となりました。これに現金及び現金同等物に係る換算差額を調整した結果、当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物の残高は2,692億74百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の営業活動による資金は、営業収入及び配当収入などにより822億54百万円の収入となりました。前年同期比では526億67百万円の収入増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の投資活動による資金は、航空機関連取引やフィリピンオフィスビル開発事業への拠出などにより442億31百万円の支出となりました。前年同期比では228億30百万円の支出減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間の財務活動による資金は、借入金の返済及び配当金の支払いなどにより513億32百万円の支出となりました。前年同期比では565億26百万円の支出増加となりました。
(3) 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等
通期連結業績の見通し2023年3月期の連結業績予想につきましては、各セグメントの事業全般が堅調に推移していることに加えて、足元の石炭市況および為替水準などによる業績への好影響が見込まれることを踏まえ、以下の通り上方修正しました。
当期純利益(当社株主帰属) 1,100億円(期初予想比250億円(29.4%)増加)
上記見通しの前提条件として、下期の為替レート(¥/US$)は140円としております。
利益配分に関する基本的方針及び当期の配当当社は、株主の皆さまに対して安定的且つ継続的に配当を行うとともに、内部留保の拡充と有効活用によって企業競争力と株主価値を向上させることを基本方針とし、経営の最重要課題と位置付けております。「中期経営計画2023」では、本基本方針に基づき連結配当性向を30%程度としております。また、各年度末時点でPBRが1倍未満の場合は、時価ベースのDOE(※1)4%を下限配当とし、PBRが1倍以上の場合は、簿価ベースのDOE(※2)4%を下限配当として設定しております。
(※1)時価ベースのDOE=1株当たり年間配当÷株価(各年度の終値年間平均)(※2)簿価ベースのDOE=1株当たり年間配当÷1株当たり親会社所有者帰属持分(各年度末)
2023年3月期第2四半期連結業績及び2023年3月期の連結業績予想、並びに今後の事業環境を総合的に勘案して、2023年3月期の1株当たり年間配当予想額につきましては、前回予想の112円から130円に修正(18円増配)いたします。この結果、当期純利益(当社株主帰属)に対する連結配当性向は27.3%となります。なお、2023年3月期の1株当たり中間配当金につきましては、前回配当予想56円から増額し、1株当たり年間配当予想額の半額の65円(9円増配)とすることを2022年11月1日開催の取締役会にて決議しました。
また、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4) 研究開発活動特記事項はありません。
(5) 資本の財源と資金の流動性及び調達状況についての分析
① 財政状態当第2四半期連結会計期間末の資産合計は、円安の影響に加え、営業債権及びその他の債権が航空機関連取引や石炭により増加したこと及び、棚卸資産が航空機や肥料により増加したことや、新規取得や持分法による投資損益の積み上げに伴う持分法で会計処理されている投資の増加などにより、前期末比2,717億58百万円増加の2兆9,334億38百万円となりました。負債合計は、円安の影響に加え、営業債務及びその他の債務が石炭や煙草が増加したことなどにより、前期末比1,303億61百万円増加の2兆281億63百万円となりました。資本のうち親会社の所有者に帰属する持分合計は、四半期純利益の積み上がりや、為替の変動によるその他の資本の構成要素の増加などにより、前期末比1,343億17百万円増加の8,623億29百万円となりました。この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は29.4%となりました。また、有利子負債総額から現金及び現金同等物、及び定期預金を差し引いたネット有利子負債は前期末比490億47百万円増加の8,193億38百万円となり、ネット有利子負債倍率は0.95倍となりました。
※ 自己資本比率及びネット有利子負債倍率の算出には、親会社の所有者に帰属する持分を使用しております。
また、有利子負債総額にはリース負債を含めておりません。
② 資金の流動性と資金調達について当社グループは、「中期経営計画2023」におきまして、従来と同様に資金調達構造の安定性維持・向上を財務戦略の基本方針とし、一定水準の長期調達比率の維持や、経済・金融環境の変化に備えた十分な手元流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めており、当第2四半期連結会計期間末の流動比率は168.0%、長期調達比率は82.4%となっております。長期資金調達手段の1つである普通社債につきましては、当第2四半期連結累計期間は発行しておりませんが、引き続き金利や市場動向を注視し、適切なタイミング、コストでの起債を検討してまいります。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、円貨1,000億円(未使用)及び21.25億米ドル(13.6億米ドル使用)の長期コミットメントライン契約を有しております。
(6) 主要な設備特記事項はありません。
※将来情報に関するご注意本資料に掲載されている業績見通し等の将来に関する記述は、当社が現在入手している情報及び合理的であると判断する一定の前提に基づいており、業績を確約するものではありません。実際の業績等は、内外主要市場の経済環境、為替相場の変動など様々な要因により、大きく変動する可能性があります。重要な変更事象等が発生した場合は、適時開示等にてお知らせします。