【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用情勢や企業収益が改善する中で、個人消費、設備投資の持ち直しを受け、緩やかに回復してまいりました。一方で世界経済は、世界的なインフレ圧力が残存し、各国中央銀行による利上げの影響が続く中、回復ペースが鈍化しております。中国においてもサービス消費が底堅いものの、不動産市場の調整の影響もあり、持ち直しのペースは鈍化しております。また、不安定な国際情勢の中、原燃料市況の高止まりや世界的な物価上昇、急激な為替変動など、景気の下振れリスクを内包した経営環境が継続しております。このような状況の中、特殊鋼の主要需要先である自動車関連の受注は、半導体を中心とした部品の供給不足が緩和されてきたことなどにより、構造用鋼を中心に前年同期比で増加したものの、産業機械関連の需要は弱含んで推移しました。ステンレス鋼などにおいては、サプライチェーンにおける在庫調整が継続しており、前年同期比で減少しました。また、半導体関連は、シリコンサイクルの下降局面において受注が減少しました。なお、自由鍛造品については、エネルギー関連、航空機関連で需要が増加にしたことにより、受注は引き続き高位で推移しました。主要原材料である鉄屑価格は、国際市況の影響を受け弱含んで推移しましたが、依然、価格水準としては高位で推移しました。また、ニッケルなどの各種合金類は、前期においてウクライナ情勢による供給制約懸念を受けて高騰したこともあり、前年を下回って推移しました。また、原油・LNG市況の高騰に伴い、電力などのエネルギーコストは高位を継続しました。これらのコスト増大に対し、適正マージン確保のため、徹底したコスト削減および販売価格への反映に継続して取り組みました。この結果、当第2四半期連結累計期間の連結経営成績は、売上高は前年同期比67億36百万円増収の2,885億94百万円となりました。利益面に関しては、ステンレス鋼の売上数量減少により、営業利益は前年同期比42億21百万円減益の190億3百万円、経常利益は前年同期比30億9百万円減益の210億83百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益は前年同期比68億28百万円減益の114億65百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
①特殊鋼鋼材構造用鋼においては、産業機械関連の受注は伸び悩んだものの、自動車関連の受注は増加したことにより、前年同期比で数量が増加しました。工具鋼に関しては、中国など東アジアにおける需要減少やサプライチェーンにおける在庫調整が継続しており、前年同期比で数量が減少しました。主要原材料である鉄屑は、国際価格の影響により弱含んで推移しましたが、エネルギーコストは引き続き原油価格の高騰影響を受け、前期対比では高値で推移しました。この結果、当第2四半期連結累計期間における特殊鋼鋼材の売上高は、売上数量が増加したことに加え、エネルギーコストの上昇を販売価格に反映させたことにより、前年同期比6.0%増加の1,089億4百万円、営業利益は前年同期比20億99百万円増益の63億22百万円となりました。
②機能材料・磁性材料ステンレス鋼および高合金は、自動車関連および産業機械関連のサプライチェーンにおける在庫調整が継続していること、また、半導体関連は、シリコンサイクルの下降局面において前年同期比で数量は減少しました。磁石製品は、国内における自動車向け需要は徐々に持ち直しの動きが見られるものの、中国における需要が減少したため、売上高は前年同期比で減少しました。チタン製品は、医療関連などの輸出製品を中心に需要が高まっていることから、売上高は前年同期比で増加しており、2010年度以降では、売上高、利益ともに最高となりました。この結果、当第2四半期連結累計期間における機能材料・磁性材料の売上高は、ステンレス鋼を中心に売上数量が減少したことにより、前年同期比6.3%減少の1,026億9百万円、営業利益は前年同期比63億71百万円減益の70億66百万円となりました。
③自動車部品・産業機械部品エンジンバルブ部品は自動車増産の影響を受け、売上高は増加しました。精密鋳造品はターボ関連製品における一部製品の生産終了により、型鍛造品は事業合理化などにより、数量は減少しました。また、みがき帯製品はサプライチェーンにおける在庫調整の影響により数量は減少しました。一方、自由鍛造品は、半導体関連需要は減少したものの、航空機需要、重電需要が堅調に推移し、売上高は前年同期比で増加しました。この結果、当第2四半期連結累計期間における自動車部品・産業機械部品の売上高は、自由鍛造品の売上高増加により前年同期比3.9%増加の514億2百万円となりましたが、利益面では、自由鍛造品の内容構成変化、みがき帯製品および精密鋳造品の数量減少などにより、営業利益は前年同期比7億85百万円減益の25億76百万円となりました。
④エンジニアリングカーボンニュートラル製品・省エネルギー製品の受注が増加したことから、当第2四半期連結累計期間におけるエンジニアリングの売上高は、前年同期比32.1%増加の110億14百万円、営業利益は前年同期比6億53百万円増益の10億66百万円となりました。
⑤流通・サービス当第2四半期連結累計期間における流通・サービスの売上高は、前年同期比25.0%増加の146億62百万円、営業利益は前年同期比1億35百万円増益の19億51百万円となりました。
当社グループの当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前期末に比べ206億71百万円増加し7,945億23百万円となりました。総資産の増加の主な内訳は、「投資有価証券」の増加201億62百万円であります。総資産の増加の主な内訳と要因は、下記のとおりであります。・「投資有価証券」は、保有株式の時価の上昇により増加しております。また、当社グループの当第2四半期連結会計期間末の非支配株主持分を含めた純資産は、前期末に比べ233億37百万円増加し4,288億17百万円となりました。純資産の増加の主な内訳と要因は、保有株式の時価の上昇等による「その他有価証券評価差額金」の増加137億47百万円であります。この結果、当第2四半期連結会計期間末の自己資本比率は49.2%となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前期末対比31億25百万円増加し、596億14百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は、241億40百万円(前年同期は76億31百万円の資金の減少)となりました。収入の主な内訳としては、税金等調整前四半期純利益184億3百万円、非資金損益項目である減価償却費131億82百万円、売上債権及び契約資産の減少47億31百万円であり、支出の主な内訳は、仕入債務の減少43億2百万円、法人税等の支払額66億88百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、134億89百万円(前年同期は104億46百万円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出130億64百万円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、92億22百万円(前年同期は151億44百万円の資金の増加)となりました。収入の主な内訳は、長期借入れによる収入212億円、短期借入金の増加98億53百万円であり、支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出248億24百万円、コマーシャル・ペーパーの減少90億円であります。当社グループでは、原材料およびエネルギー価格の高位継続や高付加価値品の拡大により運転資金が増加していることから、原燃料コストの上昇に応じた販売価格の改訂を進めるとともに、生産リードタイム短縮による棚卸資産の削減や原価低減活動、固定費等の圧縮を推し進め、安定的なキャッシュ・フローを創出するよう事業活動を続けてまいります。設備投資資金は長期借入金や社債により、運転資金は短期借入金により安定的に調達することを基本方針としております。また、手元流動性の適正レベルは時々の環境を考慮し、弾力的に運営してまいります。
(3) 研究開発活動 当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費は30億95百万円であります。