【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 業績の状況当第1四半期連結累計期間における世界経済は、欧州では高インフレによる金融引き締めの影響から景気は足踏み状態にありますが、米国や中国は個人消費や輸出の持ち直しから緩やかな回復基調で推移しました。一方、わが国では新型コロナウイルス感染症対策の規制緩和に伴い社会経済活動の正常化が進み、個人消費や企業の生産活動に持ち直しの動きがみられました。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や原材料・エネルギー価格の高騰、円安進行による物価の上昇など景気の先行きは依然として不透明な状況で推移しました。このような状況下、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、収益の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指しました。当第1四半期連結累計期間における主な取り組みとしては、化学合成農薬以外の事業ポートフォリオ拡充を目的として、英国のアジュバント等の添加剤やバイオスティミュラントの製造・販売会社であるInteragro (UK) Limitedの全発行株式を、当社連結子会社のNichino Europe Co., Ltd.が取得しました。また、スマート農業への取り組みでは、スマートフォン用アプリケーション「レイミーのAI病害虫雑草診断」の機能向上の一環として、新たに「図鑑」機能と「その他野菜」の診断機能を追加しました。当第1四半期連結累計期間の売上高は、中核事業である農薬事業が国内、海外ともに天候不順や過年度の流通在庫の影響などから伸び悩み、221億83百万円(前年同期比18億32百万円減、同7.6%減)となりました。利益面では、営業利益は13億85百万円(前年同期比13億95百万円減、同50.2%減)、経常利益は13億26百万円(前年同期比17億59百万円減、同57.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純利益は10億38百万円(前年同期比14億71百万円減、同58.6%減)となりました。
当第1四半期連結累計期間における報告セグメントの概況は以下のとおりです。
[農薬事業]国内農薬販売では、水稲用殺虫剤ベンズピリモキサン(商品名「オーケストラ」)を始めとする主力自社開発品目の普及拡販に努めました。しかしながら、過年度の流通在庫の影響などから販売が伸び悩み、国内販売全体の売上高は前年同期を下回りました。海外農薬販売では、世界最大の農薬市場であるブラジルで多雨によりサトウキビ向け除草剤需要が拡大したことなどからSipcam Nichino Brasil S.A.の売上高が伸長しました。一方、寒冷な気候が続いた北米では例年よりも害虫の発生が少なく殺虫剤需要が減少し、Nichino America Inc.の売上高が伸び悩みました。また、アジアではインドにおいて雨季の遅れなどの天候不順により散布機会が減少したことからNichino India Pvt. Ltd.の売上高が低迷しました。これらにより、海外販売全体の売上高は前年同期を下回りました。これらの結果、農薬事業の売上高は207億23百万円(前年同期比17億13百万円減、同7.6%減)、営業利益は12億59百万円(前年同期比12億98百万円減、同50.8%減)となりました。
[農薬以外の化学品事業]化学品事業では、株式会社アグリマートの防疫用殺虫剤の売上高が伸長しました。医薬品事業では、海外向けで需要が減少したことなどから外用抗真菌剤ルリコナゾールの販売が伸び悩みました。これらの結果、農薬以外の化学品事業の売上高は10億77百万円(前年同期比74百万円減、同6.4%減)、営業利益は2億88百万円(前年同期比78百万円減、同21.5%減)となりました。
(2) 財政状態の分析当第1四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ29億97百万円増加し、1,396億49百万円となりました。これは、現金及び預金の減少を上回る棚卸資産及び投資有価証券の増加が主な要因です。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ2億1百万円増加し、637億29百万円となりました。これは、借入金の増加が主な要因です。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ27億95百万円増加し、759億20百万円となりました。これは、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額及び親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加が主な要因です。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。なお、当社は、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」のもと、中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に努めてまいる所存です。また、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様が検討するための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(4) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、9億75百万円であり、主に農薬事業です。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。