【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 】
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間における世界経済は、中国ではゼロコロナ政策による主要都市でのロックダウンから、米国と欧州では物価上昇圧力の高まりによる政策金利の上昇から、それぞれ低い成長にとどまりました。わが国では欧米との金利差に起因する急速な円安で物価の上昇が進みました。さらに、ロシアのウクライナへの軍事侵攻の長期化からサプライチェーンの逼迫や資源価格の高騰が続き、景気は依然として不安定な状況で推移しました。このような状況下、当社グループは中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、収益性の向上と技術革新・次世代事業の確立および持続的な企業価値の向上を目指しております。
当第2四半期連結累計期間の主な取組みとしては、インドで新規水稲用殺虫剤ベンズピリモキサンの本格販売を開始し、拡販に向けて技術普及活動を行いました。さらに、技術革新・次世代事業の確立の一環として、当社が2020年4月より配信しておりますスマートフォン用アプリケーション「レイミーのAI病害虫雑草診断」の診断対象作物を15作物まで拡大しました。このようなスマート農業への取組みを通じて生産者の利便性のさらなる向上を図っています。当第2四半期連結累計期間の売上高は、中核事業である農薬事業が海外で好調に推移したことから431億67百万円(前年同期比116億87百万円増、同37.1%増)となりました。利益面では、営業利益は30億30百万円(前年同期比15億85百万円増、同109.7%増)、経常利益は31億97百万円(前年同期比16億29百万円増、同103.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は25億82百万円(前年同期比10億34百万円増、同66.8%増)となりました。なお、第1四半期連結会計期間より、在外連結子会社等の収益及び費用は、各社の決算日の直物為替相場により円貨に換算する方法から、期中平均為替相場により円貨に換算する方法に変更したため、遡及適用後の数値で前年同四半期比較を行っています。詳細は「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。当第2四半期連結累計期間における報告セグメントの概況は以下のとおりです。
[農薬事業]国内農薬販売では、園芸用殺虫剤ピリフルキナゾン(商品名「コルト」)を始めとする主力自社開発品目の普及拡販に努めました。また、当社は、国内農薬市場におけるシェア拡大を図るため、2021年5月にコルテバ・アグリサイエンス日本株式会社およびダウ・アグロサイエンス日本株式会社(以下、両社あわせて「コルテバ社」といいます。)との間で販売契約を締結し、同年10月よりコルテバ社製品の販売を開始したこともあり、国内販売全体の売上高は前年同期を上回りました。海外農薬販売では、世界最大の農薬市場であるブラジルの農薬需要が拡大基調にあるなか、Sipcam Nichino Brasil S.A.の売上高が伸長しました。北米では、ピーナッツ向けに殺菌剤フルトラニルの販売が増加しました。欧州では、競合剤の登録失効等で市場シェアを獲得した除草剤ピラフルフェンエチルの需要が高まり、Nichino Europe Co.,Ltd.の売上高が伸長したほか、バイエル社向けフルベンジアミド原体販売が好調に推移しました。アジアでは、インドで棉やトウガラシ向けに園芸用殺虫剤トルフェンピラドの販売が好調に推移しました。これらにより、海外販売全体の売上高は前年同期を上回りました。以上の結果、農薬事業の売上高は403億3百万円(前年同期比114億87百万円増、同39.9%増)、営業利益は27億40百万円(前年同期比16億49百万円増、同151.3%増)となりました。
[農薬以外の化学品事業]化学品事業では、株式会社アグリマートの防疫薬剤分野の販売が堅調に推移しました。一方、医薬品事業では、足白癬向けで外用抗真菌剤ルリコナゾールの販売が伸び悩みました。以上の結果、農薬以外の化学品事業の売上高は20億37百万円(前年同期比72百万円増、同3.7%増)、営業利益は5億70百万円(前年同期比56百万円減、同9.1%減)となりました。
(2) 財政状態の分析当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末に比べ71億71百万円増加し、1,254億18百万円となりました。これは、売上債権の減少を上回る現金及び預金、棚卸資産並びに投資その他の資産その他(主に繰延税金資産)の増加が主な要因です。負債につきましては、前連結会計年度末に比べ21億21百万円増加し、534億11百万円となりました。これは、支払手形及び買掛金並びに流動負債その他(主に未払費用)の増加が主な要因です。純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ50億50百万円増加し、720億6百万円となりました。これは、為替換算調整勘定等のその他の包括利益累計額及び親会社株主に帰属する四半期純利益による利益剰余金の増加が主な要因です。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ7億1百万円増加し、117億62百万円となりました。 各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、45億6百万円となりました。これは、売上債権の減少額125億73百万円、税金等調整前四半期純利益32億17百万円等の資金の増加が、棚卸資産の増加額94億26百万円等の資金の減少を上回ったことが主な要因です。(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、6億87百万円となりました。これは、定期預金の預入による支出14億69百万円、有形固定資産の取得による支出6億円等の資金の減少が、定期預金の払戻による収入10億12百万円、有形固定資産の売却による収入4億49百万円等の資金の増加を上回ったことが主な要因です。(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、37億95百万円となりました。これは、短期借入金純増減額22億10百万円等の資金の減少が主な要因です。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。なお、当社は、グループビジョン「Nichino Group-Growing Global」のもと、中期経営計画「Ensuring Growing Global 2(EGG2)」に取り組み、当社の企業価値ひいては株主共同の利益の確保・向上に努めてまいる所存です。また、当社株券等の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主の皆様が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆様が検討するための時間の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の総額は、19億50百万円であり、主に農薬事業です。なお、当第2四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。