【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況当第1四半期連結累計期間におけるわが国経済は、ウィズコロナの下で国内における行動制限や入出国制限の緩和等により、経済活動は緩やかに持ち直しの動きがみられました。一方で、ウクライナ・ロシア情勢の長期化や円安によるエネルギー価格や原材料価格の高騰、物価上昇など依然として先行き不透明な状況となっております。このような経営環境の下、当フジボウグループは、中期経営計画『増強21-25』において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置づけ、各事業の成長基盤の増強に取り組んでおりますが、当期については、製造業の業況感の悪化が続くなか、事業の柱である研磨材事業は、コロナ禍で2年以上続いた市場の活況から一転、2022年半ばを境に半導体需要にブレーキがかかり、2023年前半も悪化する状況が続いております。化学工業品事業は、中国の景気減速を背景に、化学品市況が低迷し需要動向が弱まりました。生活衣料事業は、原材料の高騰に対し、製造工程でのコスト削減や価格転嫁での対応を行ってきました。この結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は前年同期比1,123百万円(11.7%)減収の8,511百万円、営業利益は1,212百万円(73.0%)減益の449百万円、経常利益は959百万円(55.8%)減益の759百万円となりました。これに特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比600百万円(51.1%)減益の574百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
①研磨材事業主力の超精密加工用研磨材は、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などにおいては、世界的な需要減速を背景に、主要半導体メーカー各社がグローバル市場の急激な変化に対応すべく、在庫調整・削減の取り組みを優先しており、需要が低迷し、大きな受注減に直面しました。加えて、ハードディスク用途は、パソコンおよびデータセンター向けの需要減退により、顧客の稼働が大きく低下し受注は減少しました。また、液晶ガラス用途においてもパネルメーカーの在庫過多から顧客の減産および在庫調整の影響により受注は減少しました。この結果、売上高は前年同期比1,376百万円(33.0%)減収の2,788百万円となり、営業利益は991百万円(91.3%)減益の94百万円となりました。
②化学工業品事業機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、海外生産リスクの顕在化による化学工業品生産の日本国内回帰の傾向は続いたものの、半導体を含む電子材料需要減速の影響を受け、一部機能性材料ユーザーの需要減退により、受注が減少しました。この結果、売上高は前年同期比80百万円(2.6%)増収の3,152百万円となり、営業利益は170百万円(54.1%)減益の144百万円となりました。
③生活衣料事業繊維素材は、ウクライナ・ロシア情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高と、円安に伴う部材調達や海外製造の高騰がさらなる追い打ちをかけ、厳しい環境が続きました。一方、繊維製品は、より収益性の高い製品への絞り込みに加え、多様化する顧客ニーズや市場動向に応じ、EC販売やデジタルマーケティングを強化することで、販売が堅調に推移しました。この結果、売上高は前年同期比47百万円(2.6%)減収の1,744百万円となり、営業利益は6百万円(3.3%)増益の204百万円となりました。
④その他化成品部門は、医療用プラスチック市場の回復により、医療機器用部品の受注を中心に堅調に推移しました。金型部門では、2022年11月1日付で取得し連結対象となった金型子会社が貢献し、売上高が前年同期比で増加しました。貿易部門は、より収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、収益性の精査を図るとともに、採算性の改善に取り組みました。一方、利益については、各部門とも減益となりました。この結果、売上高は前年同期比219百万円(36.3%)増収の826百万円となり、営業利益は57百万円(88.9%)減益の7百万円となりました。
(2)財政状態の分析(資産)資産合計は前連結会計年度末に比べて1,223百万円減少の60,144百万円となりました。流動資産は1,101百万円減少の21,901百万円となりましたが、これは棚卸資産が増加しましたが、現金及び預金や受取手形及び売掛金が減少したことなどによります。固定資産は122百万円減少の38,243百万円となりましたが、これは減価償却により有形固定資産が減少したことなどによります。
(負債)負債合計は前連結会計年度末に比べて1,390百万円減少の17,057百万円となりました。流動負債は1,507百万円減少の10,361百万円、固定負債は116百万円増加の6,695百万円となりました。これは、未払法人税等や設備関係支払手形などのその他流動負債が減少したことなどによります。
(純資産)純資産合計は前連結会計年度末に比べて166百万円増加し、43,087百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が630百万円ありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加が574百万円あったことなどによります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期連結累計期間において、事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4) 財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第1四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5) 研究開発活動当第1四半期連結累計期間の研究開発費の総額は350百万円であります。なお、当第1四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。