【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものであります。
(1)業績の状況当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、政府が新型コロナウイルス感染症に関する行動制限をしない方針や水際措置の見直しが発表される等、経済活動の水準引き上げが進みつつあります。しかしながら、ロシア・ウクライナによる紛争が継続していること、原油価格が依然として高い水準にあることや原材料の高騰に加え、急激な円安の影響に伴う物価の上昇が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。このような経営環境の下、当フジボウグループは、中期経営計画『増強21-25』において、計画期間5年間の前半3年を「高収益体質への転換と種まき」ステージと位置づけ、各事業の成長基盤の増強に取り組んでおります。計画2年目となる当期は、研磨材事業では、研究開発力の加速、生産能力の増強を進めました。化学工業品事業は、柳井・武生両工場がフル稼働を続けており、生活衣料事業では、利益率の高い製品へのシフトによる収益性向上を図りました。また、全ての事業で、高騰し続けている原材料費、エネルギーコストの上昇分を適切に転嫁できるよう努めております。この結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は前年同期比2,068百万円(7.7%)増収の28,989百万円、営業利益は252百万円(5.4%)減益の4,445百万円、経常利益は292百万円(6.0%)減益の4,545百万円となりました。これから特別損益、法人税等を加減した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は、前年同期比299百万円(8.9%)減益の3,077百万円となりました。
セグメント別の業績は以下のとおりであります。
①研磨材事業主力の超精密加工用研磨材は、ハードディスク用途および液晶ガラス用途は、新型コロナウイルス特需の反動を受け、主要ユーザーが大幅な生産調整および在庫調整により、受注が大きく減少しました。また、シリコンウエハー用途および半導体デバイス用途(CMP)などは、世界的な景気後退に加え、データセンター、パソコン、タブレット端末、スマートフォンなどの半導体需要減退の影響を受け、稼働が下がり、調整局面に入りました。この結果、売上高は前年同期比714百万円(6.3%)増収の12,039百万円となり、営業利益は256百万円(8.7%)減益の2,704百万円となりました。
②化学工業品事業機能性材料、医薬中間体および農薬中間体などの受託製造は、国内需要の回復に加え、中国における環境規制の影響や新型コロナウイルス感染症拡大による海外生産リスクも顕在化したことで、化学工業品生産の日本国内回帰の傾向が続き、機能性材料用を中心に安定生産を継続することができました。しかし、原材料・原燃料の高騰が続いており、利益は圧迫されました。この結果、売上高は前年同期比613百万円(7.3%)増収の9,062百万円となり、営業利益は113百万円(10.7%)減益の946百万円となりました。
③生活衣料事業生活衣料事業は、繊維素材は、ウクライナ情勢を要因とした原油価格上昇に伴う物流や原材料のコスト高と、円安に伴う部材調達や海外製造の高騰がさらなる追い打ちをかけ、厳しい環境が続きました。一方、繊維製品は、より収益性の高い製品への絞り込みに加え、多様化する顧客ニーズや市場動向に応じ、EC販売やデジタルマーケティングを強化することで、販売が堅調に推移しました。この結果、売上高は前年同期比237百万円(4.4%)増収の5,613百万円となり、営業利益は13百万円(2.2%)増益の644百万円となりました。
④その他化成品部門は、デジタルカメラ用部品および医療機器用部品が、縮小傾向が続いていたデジタルカメラ市場に底打ちの兆しが出始めたことや、医療用プラスチック市場の回復により、受注が堅調に推移しました。金型部門では、自動車市場が回復基調になりました。また、2022年11月1日付で取得し連結対象となった金型子会社の売上高が増加しましたが、同社株式の取得関連費用が発生しました。貿易部門は、収益性、安全性の高い取引に対象を絞り、採算性を改善しました。この結果、売上高は前年同期比503百万円(28.4%)増収の2,274百万円となり、営業利益は102百万円(219.6%)増益の149百万円となりました。
(2)財政状態の分析
(資産)資産合計は前連結会計年度末に比べて3,358百万円増加の61,890百万円となりました。流動資産は1,126百万円増加の23,671百万円となりましたが、これは現金及び預金が減少しましたが、棚卸資産が増加したことなどによります。固定資産は2,231百万円増加の38,218百万円となりましたが、これは研磨材事業や化学工業品事業における設備投資により有形固定資産が増加したことや、子会社の取得によりのれんが増加したことなどによります。
(負債)負債合計は前連結会計年度末に比べて1,143百万円増加の19,178百万円となりました。流動負債は727百万円増加の12,203百万円、固定負債は416百万円増加の6,974百万円となりました。これは、設備関係支払手形などのその他流動負債が増加したことなどによります。
(純資産)純資産合計は前連結会計年度末に比べて2,214百万円増加し、42,711百万円となりました。これは、剰余金の配当による減少が1,260百万円ありましたが、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による増加が3,077百万円あったことなどによります。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題に重要な変更および新たに生じた課題はありません。
(4)財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針当第3四半期連結累計期間において、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針について重要な変更はありません。
(5)研究開発活動当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は815百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。