【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績
<経済環境>当第2四半期連結累計期間における世界経済は、新型コロナウイルスによる危機からほぼ回復するも、インフレ率は高止まり、家計の購買力を抑制し、減速傾向となりました。米国経済は、金融引き締めの中でも個人消費を中心に復調の流れが続き、堅調さを維持しました。欧州経済は、物価高と利上げで内需の伸びが弱く、成長は小幅となりました。中国経済は、ゼロコロナ政策解除後、経済活動の正常化が進みましたが、不動産市場の低迷等から回復スピードは緩やかとなりました。我が国経済は、経済活動制限の撤廃以降、サービス消費を中心としたペントアップ需要を支えに回復しましたが、物価高騰による実質所得低迷により家計消費が落ち込むなど、勢いに陰りが見られました。
<外航海運業>タンカー傭船市況は、原油船についてはウクライナ情勢に起因するトレードパターンの変化による船腹需要の増加の影響が引き続き見られ、市況低迷期の主因であった船余りの環境が改善した一方で、トレードパターンの僅かな変化が、時として船腹量や輸送需要に大きな影響を与える状況となり、高位ながらも不安定な状態で推移しました。石油製品船については、ロシア出し貨物の代替調達によるトンマイルの伸長やコロナ禍明けの荷動きの増加が持続し、現在は季節的要因による下落傾向にはあるものの、比較的好調裡に推移しています。またLPG/LNG船についても、地政学的な要因による船腹需要の増加やトレードパターンの変化が引き続き市況に大きな影響を与え、傭船マーケットは活況を維持しました。一方、バルカー傭船市況についてはタンカーとは対照的に、大型船型のケープサイズにおいては極度な乱高下は見られなかったものの、中国経済の先行きの不透明さなどから船腹需要は減少、季節的要因も相まって期初以降下落傾向が継続しています。中/小型船型のパナマックス、ハンディマックスおよびハンディサイズにおいても、パナマ運河の通峡規制などの船腹量引き締め要因が大西洋域にて生じた一方で、太平洋域においては中国向けのインドネシア炭需要の減少などを負の要因として海域ごとに船腹需給に格差を生じ、総じて低調な推移となりましたが、穀物収穫期を迎える北米、南米においては豊作による出荷量の増加とそれに伴う滞船の増加により、秋口となって反転上昇の兆しが見られます。自動車船傭船市況は、2020年の荷動き減退時のスクラップ促進などによる船腹量絞り込みの影響が未だ強く、コロナ禍からの回復に伴う自動車生産量と荷動きの増加に伴う旺盛な船腹需要をカバーしきれない状況が継続し、歴史的な高水準で推移しています。コンテナ船市況は、コロナ禍に起因する歴史的な好市況から昨年11月頃よりコロナ前の水準まで下落していましたが、その後横ばいの状態で推移しています。このような状況のもと、当社グループの外航海運業部門は、売却による船舶の稼働減もありましたが、前連結会計年度に竣工した船舶の稼働増に加え、タンカー1隻の新規稼働のほか、円安進行の影響もあり、売上高は28,385百万円(前年同四半期比19.4%増)となり、外航海運業利益は、入渠費など海運業費用の減少もあり、5,998百万円(前年同四半期比90.0%増)となりました。また、特別利益として、当社の連結子会社が所有する船舶1隻の船舶売却益1,317百万円を計上しています。
<ホテル関連事業>ホテル関連事業部門では、コロナ禍の状況から回復基調に転じ、ホテル関連事業部門の売上高は3,655百万円(前年同四半期比58.8%増)となり、ホテル関連事業損失は100百万円(前年同四半期はホテル関連事業損失720百万円)となりました。
<不動産賃貸業>不動産賃貸業部門は、売上高は272百万円(前年同四半期比4.6%増)、不動産賃貸業利益は143百万円(前年同四半期比3.1%増)となりました。以上の結果、当第2四半期連結累計期間の売上高は、32,313百万円(前年同四半期比22.7%増)、営業利益は、前述の海運業費用の減少およびホテル関連事業損失の減少もあり、6,042百万円(前年同四半期比134.6%増)となりました。経常利益は、支払利息2,141百万円、為替差損1,642百万円の計上がありましたが、営業利益の増額もあり、2,406百万円(前年同四半期比449.8%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は、特別利益として前期は3隻分の船舶売却益を計上した一方、当期は1隻分となったことから、1,888百万円(前年同四半期比53.1%減)となりました。
(2) 財政状態当第2四半期連結会計期間末における資産の部は、前連結会計年度末より15,800百万円増加し、290,747百万円となりました。これは主に現金及び預金の増加、在外子会社の為替換算および新造船竣工に伴う船舶の増加によるものです。負債の部は、前連結会計年度末より8,480百万円増加し、214,993百万円となりました。これは主に船舶取得に伴う借入金の増加によるものです。また、純資産の部は、前連結会計年度末より7,319百万円増加し、75,753百万円となりました。これは主に非支配株主持分、為替換算調整勘定、利益剰余金の増加によるものです。
(3) キャッシュ・フローの状況キャッシュ・フローにおいては、当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べて7,304百万円増加し、34,275百万円となりました。 当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間における営業活動によって得られた資金は、13,710百万円(前年同四半期比23.6%増)となりました。これは主に税金等調整前四半期純利益3,723百万円に、減価償却費8,856百万円を加算し、その他非資金項目を加減算した結果です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間において投資活動に使用した資金は、3,006百万円(前年同四半期は238百万円の収入)となりました。これは主に船舶建造資金等の有形固定資産の取得による支出4,738百万円、船舶等の有形固定資産の売却による収入2,461百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当第2四半期連結累計期間において財務活動に使用した資金は、4,350百万円(前年同四半期は2,636百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入6,447百万円と、長期借入金の返済による支出10,885百万円との差額4,437百万円によるものです。
(4) 主要な設備当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に建造中の船舶1隻が竣工し、稼働を開始しました。これにより当第2四半期連結会計期間末現在の設備の新設計画は以下のとおりとなりました。
セグメントの名称
設備の内容
投資予定金額
資金調達方法
着手及び完了予定
完成後の増加能力(載貨重量屯数)
総額(千円)
既支払額(千円)
着手
完了予定
外航海運業
船舶5隻
130,355,838
14,230,835
借入金および自己資金
2021年8月
2026年10月
469千トン
また当第2四半期連結累計期間において、前連結会計年度末に売却予定であった船舶1隻の売却引渡が完了しました。