【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当第2四半期連結累計期間(2023年1月1日から2023年6月30日)は、世界的な原材料価格の高騰など、厳しい経営環境が継続しております。特に日本国内においては、物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。国内加工食品事業においては、主要原材料をはじめ製造費用の増加を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。改定後、需要の落ち込みがあったものの、食品カテゴリーや業務用カテゴリーの販売が好調であったことにより増収となりました。また事業利益は原材料価格の高騰などにより減益となりました。一方、国際事業においては、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調であったことにより、増収増益となりました。
以上により、当第2四半期連結累計期間の売上収益は、前年同期比10.0%増の1,053億23百万円、事業利益は前年同期比64.3%増の88億28百万円となりました。営業利益は、前年同期比60.6%増の89億11百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比45.7%増の51億89百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
セグメント別の業績の概況は次の通りであります。(単位:百万円)
セグメントの名称
売上収益
事業利益(△は損失)
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減
前第2四半期連結累計期間
当第2四半期連結累計期間
増減
飲料
36,503
35,537
△966
3,235
3,201
△34
通販
6,089
5,820
△269
392
217
△174
食品他
22,479
24,330
1,851
1,285
1,356
71
国内加工食品事業 計
65,072
65,688
616
4,913
4,776
△137
国内農事業
4,992
5,231
238
204
59
△144
国際事業
29,977
41,321
11,344
1,157
4,887
3,729
その他
1,091
1,275
184
△38
△98
△60
調整額
△5,344
△8,194
△2,849
△863
△795
67
合計
95,790
105,323
9,533
5,373
8,828
3,454
<国内加工食品事業>国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。当事業における売上収益は、前年同期比0.9%増の656億88百万円、事業利益は、前年同期比2.8%減の47億76百万円となりました。
[飲料:「野菜生活100」シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他]トマトジュースは、消費者の健康ニーズを捉えたことにより好調に推移しました。「野菜生活100」シリーズは、価格改定による買い控えにより、減収となりました。以上により、飲料カテゴリーの売上収益は、前年同期比2.6%減の355億37百万円、事業利益は、広告宣伝費の抑制などに努めたものの、原材料価格の高騰により、前年同期比1.1%減の32億1百万円となりました。
[通販:野菜飲料、サプリメント、スープ等の通信販売]通販カテゴリーでは、主に、野菜飲料、サプリメント、スープなどの製造・販売を行う通信販売「健康直送便」を手掛けております。通販カテゴリーの売上収益は、野菜飲料の定期顧客数が前年を下回り、前年同期比4.4%減の58億20百万円となりました。事業利益は、減収に加え、コンタクトセンター運営費の上昇などにより、前年同期比44.5%減の2億17百万円となりました。
[食品他:トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答品、他]食品カテゴリーは、価格改定による需要の落ち込みに対して「オムライススタジアム」や「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、売上収益は増収となりました。業務用カテゴリーは、価格改定後も外食需要の高まりにより、売上収益は増収となりました。ギフト・特販カテゴリーは、受託製品の販売が減少したことで、売上収益は減収となりました。以上により、食品他カテゴリーの売上収益は、前年同期比8.2%増の243億30百万円、事業利益は、原材料価格の高騰があったものの、食品他カテゴリーの増収により、前年同期比5.5%増の13億56百万円となりました。
<国内農事業>国内農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。当第2四半期連結累計期間は、生鮮トマトの取扱量は増加したものの、5月から6月にかけて生鮮トマト市況が前年を下回ったことで販売単価が下落し、国内農事業の売上収益は、前年同期比4.8%増の52億31百万円、事業利益は、前年同期比71.0%減の59百万円となりました。
<国際事業>国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しております。
主な子会社における現地通貨建業績の概要は以下の通りです。KAGOME INC.(米国)は、販売価格の上昇、およびフードサービス企業向け販売が好調に推移したことにより増収となりました。利益面では増収に加え、同社持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCの利益が増加したことにより、増益となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、主力商品であるトマトペーストの販売価格上昇により増収増益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)は、販売価格の上昇、およびフードサービス企業向け販売が好調に推移したことにより増収となりましたが、原材料価格の高騰などにより利益は前年同水準となりました。
以上により、国際事業における売上収益は、前年同期比37.8%増の413億21百万円、事業利益は、前年同期比4.2倍の48億87百万円となりました。
<その他事業>その他事業には、不動産事業、業務受託事業、新規事業等が含まれております。売上収益は、前年同期比16.9%増の12億75百万円、事業損失は98百万円(前年同期は事業損失38百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況当第2四半期連結会計期間は、資産合計につきましては、前期末に比べ121億11百万円増加いたしました。流動資産につきましては、前期末に比べ89億24百万円増加いたしました。これは、主に「現金及び現金同等物」が、長期借入金の増加などにより37億27百万円、「棚卸資産」が季節要因などにより27億15百万円、円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が19億64百万円、それぞれ増加したことによります。非流動資産につきましては、前期末に比べ31億87百万円増加いたしました。これは、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が33億63百万円、「有形固定資産」が11億32百万円、当社子会社であるKAGOME INC.(米国)の持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCの利益が増加したことなどにより「持分法で会計処理されている投資」が8億20百万円、それぞれ増加したことによります。なお、「繰延税金資産」は19億97百万円減少いたしました。負債につきましては、前期末に比べ25億90百万円増加いたしました。これは、主に海外子会社で返済が進んだことに伴い「借入金」が80億32百万円、「営業債務及びその他の債務」が季節要因により10億80百万円、それぞれ減少したものの、当社における資金調達等に伴い「長期借入金」が100億64百万円、「1年内償還社債」が9億89百万円、それぞれ増加したことによります。資本につきましては、前期末に比べ95億20百万円増加いたしました。内訳としては、「親会社の所有者に帰属する四半期利益」により51億89百万円、「その他の資本の構成要素」が64億16百万円増加いたしました。一方で、剰余金の配当により32億76百万円減少しております。この結果、親会社所有者帰属持分比率は53.7%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,480円78銭となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、251億17百万円となり、前連結会計年度末比で37億27百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、90億49百万円の純収入(前年同期は47億12百万円の純収入)となりました。これは、主に税引前四半期利益が86億79百万円となったこと、減価償却費及び償却費が40億20百万円となったこと、営業債権及びその他の債権が10億84百万円減少したこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産が2億73百万円増加したこと、営業債務及びその他の債務が12億4百万円減少したこと、法人所得税等の支払いにより17億32百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)などによります。投資活動によるキャッシュ・フローは、25億37百万円の純支出(前年同期は57億1百万円の純支出)となりました。これは、主に有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により27億98百万円支出したことによります。財務活動によるキャッシュ・フローは、33億30百万円の純支出(前年同期は131億36百万円の純支出)となりました。これは、配当金の支払いにより32億70百万円、短期借入金の減少により106億5百万円それぞれ支出がありましたが、長期借入による収入により102億24百万円収入があったことによります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えております。当社の株式について、特定の買付者による大量取得行為が行われる場合に、株主の皆さまが当社の株式を売却されるか否かは、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えられますが、その前提として、株主の皆さまに適切かつ十分な情報をご提供したうえで、ご判断を頂くために適切かつ十分な期間と機会を確保することが重要と考えております。当社は、2021年開催の第77回定時株主総会終結のときをもって「当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)」を継続しない旨を決定し現在に至っておりますが、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組みa.企業価値向上への取り組み当社は、長期ビジョンや2025年のありたい姿の達成に向け、中期経営計画を策定し、経営課題に取り組むことで企業価値の向上を図ってまいります。b.コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組み当社では、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、体制の整備・運用を行うことで、経営の客観性、透明性を高め、高度なアカウンタビリティを実現し、真の「開かれた企業」を目指してまいります。
③ 本取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由本取り組みは、前述のとおり、基本方針の実現のため、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるために取り組むものであります。このため、当社取締役会は、本取り組みが基本方針に沿い、株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、19億12百万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。