【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(重要な会計方針及び見積り)
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りは、過去実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるために実際の結果は異なる場合があります。採用している重要な会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況」における「3.重要な会計方針」及び「4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
(1) 経営成績の分析
当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、次の通りであります。
①
売上収益売上収益は、1,830億41百万円となり、前連結会計年度の1,808億49百万円に比べ、21億92百万円の増加(1.2%増)となりました。 新型コロナウイルス感染症拡大により、巣ごもり消費が加速したことで、国内における飲料や内食向け商品の販売が拡大した結果、前期比20億10百万円の増加(1.5%増)となりました。他方、外食需要の落ち込みにより、外食向け商品の販売は減少しました。
② 事業利益
当連結会計年度の売上原価は、1,154億69百万円となり、前連結会計年度の1,156億67百万円に比べ、1億98百万円の減少(0.2%減)となりました。また、売上原価率は前連結会計年度の64.0%から63.1%と0.9ポイント改善しております。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は低利益率商品の売り上げ構成比が高かったことなどにより原価率が悪化しましたが、国内加工食品事業の原材料調達価格の減少や製造設備の更新による生産効率の向上による原価低減の結果、前連結会計年度より売上原価率は改善しました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は、675億72百万円となり、前連結会計年度の651億81百万円に比べ、23億90百万円の増加(3.7%増)となりました。当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、530億59百万円となり、前連結会計年度の529億86百万円に比べ、72百万円の増加(0.1%増)となりました。『野菜をとろうキャンペーン』の展開による広告宣伝費の増加はありましたが、新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、国内における販売促進費及び旅費交通費等が減少したことにより、売上高販管費比率では29.0%と前連結会計年度の29.3%から0.3ポイント改善しております。当連結会計年度の持分法投資損失は、9億14百万円となり、前連結会計年度の持分法投資利益1億8百万円に比べ、10億23百万円悪化しました。これは主にIngomar Packing Company, LLCへの投資について、出資時ののれん部分に係る減損損失9億96百万円を計上したことによるものです。この結果、当連結会計年度の事業利益は、135億99百万円となり、前連結会計年度の123億4百万円に比べ、12億94百万円の増加(10.5%増)となりました。また、売上収益事業利益率は、前連結会計年度の6.8%から7.4%と0.6ポイント改善しております。
③ 営業利益
当連結会計年度のその他の収益は、13億77百万円となり、前連結会計年度の27億33百万円から13億56百万円の減少となりました。これは前連結会計年度に、物流子会社であるカゴメ物流サービス㈱を新物流会社F-LINE㈱に統合した際の事業譲渡益を16億92百万円計上していることによるものです。また、当連結会計年度のその他の費用は、42億93百万円となり、前連結会計年度の9億58百万円から33億35百万円の増加となりました。これは当連結会計年度に、ポルトガル子会社であるHolding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.において、保有する固定資産の減損損失を30億28百万円計上したことによるものです。この結果、当連結会計年度における営業利益は、106億82百万円となり、前連結会計年度の140億79百万円に比べ、33億96百万円の減少(24.1%減)となりました。また、売上収益営業利益率は、前連結会計年度の7.8%から5.8%と2.0ポイント悪化しております。
④
親会社の所有者に帰属する当期利益
当連結会計年度の法人所得税費用は、前連結会計年度の35億74百万円に比べ、9億48百万円増加し45億22百万円となりました。上記に非支配株主に帰属する当期純利益を差し引いた結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は、74億25百万円となり、前連結会計年度の101億98百万円に比べ27億73百万円の減少(27.2%減)となりました。
以上により、当連結会計年度の売上収益は、前期比1.2%増の1,830億41百万円、事業利益は前期比10.5%増の135億99百万円、営業利益は前期比24.1%減の106億82百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前期比27.2%減の74億25百万円となりました。
セグメント別の業績は、次の通りであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第5 経理の状況」における「5.セグメント情報(2)報告セグメントの変更に関する事項」をご参照ください。 (単位:百万円)
セグメントの名称
売上収益
事業利益(△は損失)
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
前連結会計年度
当連結会計年度
増減
飲料
72,039
74,270
2,231
5,826
7,669
1,843
食品他
60,445
60,224
△220
5,390
5,134
△255
加工食品 計
132,485
134,495
2,010
11,216
12,803
1,587
農
9,567
10,189
622
△225
272
497
その他
3,850
786
△3,063
561
344
△216
消去及び調整(注1)
△2,885
△3
2,881
-
-
-
国内事業 計
143,017
145,468
2,451
11,552
13,420
1,868
国際事業
44,398
44,344
△53
752
178
△573
消去及び調整(注2)
△6,566
△6,772
△205
-
-
-
合計
180,849
183,041
2,192
12,304
13,599
1,294
(注) 1国内事業内のセグメント間売上収益を消去しております。2国内事業と国際事業間のセグメント売上収益を消去しております。
<国内事業>
国内事業の売上収益は、前期比1.7%増の1,454億68百万円、事業利益は、前期比16.2%増の134億20百万円となりました。各事業別の売上高の状況は以下の通りであります。
① 加工食品事業加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。当事業における売上収益は、前期比1.5%増の1,344億95百万円、事業利益は、前期比14.2%増の128億3百万円となりました。
[飲料:「野菜生活100」シリーズ、トマトジュース、他]
野菜飲料においては、日本における野菜摂取量を「あと60g増やす」ことを目指した『野菜をとろうキャンペーン』の展開に加えて、新型コロナウイルス感染症拡大によって健康に対する関心が高まり、飲用機会の増加につながりました。「野菜生活100」シリーズにおいては、野菜と果実に豆乳を加えた「野菜生活 Soy+(ソイプラス)」を2月に発売し好調に推移しました。また、「野菜一日これ一本」についても、堅調に推移しています。以上により、飲料カテゴリーの売上収益は、前期比3.1%増の742億70百万円となりました。事業利益は、前期比31.6%増の76億69百万円となりました。
[食品他:トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、通販・贈答用製品、他]食品においては、内食需要の拡大によって家庭内での調理機会が増加したことなどにより、トマトケチャップやパスタソースの販売が堅調に推移しました。業務用においては、外食需要の落ち込みにより販売が減少しました。特に、ホテルやレストラン向けの商品の販売が落ち込みました。通販においては、通販の主力飲料である「つぶより野菜」に加え、野菜の美味しさを味わうポタージュが引き続き堅調です。以上により、食品他カテゴリーの売上収益は、前期比0.4%減の602億24百万円となりました。事業利益は、前期比4.7%減の51億34百万円となりました。
② 農事業農事業では、主に、生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産、販売を手掛けております。第1四半期連結累計期間は、日照不足等により生鮮トマトの調達量が低下しましたが、第2四半期以降は、調達量の増加や販路拡大により売上が増加しました。また、固定費削減などの収益構造改革に引き続き取り組んでいます。この結果、当事業の売上収益は、前期比6.5%増の101億89百万円、事業利益は2億72百万円(前期は事業損失2億25百万円)となりました。
また、当社農事業の会社分割を行う方針を決定するとともに、2021年1月1日の事業開始に先立ち、カゴメアグリフレッシュ株式会社を2020年10月1日に設立しました。本組織再編により、同事業の収益基盤を強固なものとし、利益を確実に生み出すことのできる体質に変えていくとともに、お客様により満足いただける商品、プロモーションの提供に努めてまいります。
③ その他事業その他事業には、不動産賃貸業、業務受託事業などが含まれております。売上収益は、前期比79.6%減の7億86百万円、事業利益は、前期比38.6%減の3億44百万円となりました。なお、2019年4月の物流事業再編に伴い、当社子会社であったカゴメ物流サービス㈱をF-LINE㈱へ統合し、連結の範囲から除外いたしました。
<国際事業>
国際事業では、トマトの種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しております。
主な子会社における現地通貨建業績の概要は以下の通りです。KAGOME INC.(米国)は、新型コロナウイルス感染症拡大に伴うロックダウンなどの影響を受け、外食需要が大きく落ち込んだことにより、減収減益となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、食品メーカー向け販売が好調に推移したものの、低利益率商品の売上構成比が高かったことなどにより、増収減益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)は、同国内向け、グループ会社向け販売が共に好調に推移したものの、当第1四半期連結累計期間に発生した工程不具合により、増収減益となりました。United Genetics Holdings LLC(米国)は、欧州向け種子販売が堅調に推移し、増収増益となりました。なお、上記のほか、持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCへの投資について、出資時のれん部分に係る減損損失9億96百万円を計上しております。以上により、売上収益は、前期比0.1%減の443億44百万円、事業利益は、前期比76.3%減の1億78百万円となりました。
なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りであります。 また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りであります。
(2)財政状態の分析
当連結会計年度末は、資産合計については、前連結会計年度末に比べ237億33百万円増加いたしました。流動資産については、前連結会計年度末に比べ289億19百万円増加いたしました。これは、「現金及び現金同等物」が配当金や法人所得税の支払いがあったものの、新型コロナウイルス感染症拡大による資金調達環境の逼迫等に備えた借入金の増加に伴う、満期が3ヶ月未満の定期預金の増加などにより295億7百万円増加したことによります。非流動資産については、前連結会計年度末に比べ51億85百万円減少いたしました。これは、「その他の非流動資産」が投資不動産の売却などにより31億50百万円、「有形固定資産」が設備投資による増加があったものの、減価償却費や減損損失の計上などにより10億62百万円、「持分法で会計処理されている投資」が減損損失の計上などにより10億62百万円、それぞれ減少したことによります。負債については、前連結会計年度末に比べ224億68百万円増加いたしました。これは、「借入金」が新型コロナウイルス感染症拡大による資金調達環境の逼迫等に備えたことなどにより183億10百万円、「営業債務及びその他の債務」が40億87百万円、「未払法人所得税」が10億80百万円、それぞれ増加したことによります。資本については、前連結会計年度末に比べ12億65百万円増加いたしました。これは、主に「親会社の所有者に帰属する当期利益」により74億25百万円増加、剰余金の配当により31億13百万円、自己株式の取得等により14億40百万円、「非支配持分に帰属する当期利益」により13億23百万円、それぞれ減少したことによります。この結果、親会社所有者帰属持分比率は49.3%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,242円19銭となりました。
(3)連結キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、567億68百万円となり、前連結会計年度末比で295億7百万円増加いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、204億42百万円の純収入(前期は122億24百万円の純収入)となりました。この主要因は、税引前当期利益が106億24百万円となったこと、減価償却費及び償却費が68億95百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、法人所得税等の支払いにより34億69百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)によります。投資活動によるキャッシュ・フローは、33億98百万円の純支出(前期は92億67百万円の純支出)となりました。この主要因は、有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により61億7百万円支出したことによります。財務活動によるキャッシュ・フローは、121億4百万円の純収入(前期は50億68百万円の純支出)となりました。この主要因は、借入金(長期借入金を含む)の純返済により10億32百万円、配当金の支払いにより31億12百万円、それぞれ支出したことによります。
(資本の財源及び資金の流動性)
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの主な資金の源泉は、営業活動によるキャッシュ・フロー及び金融機関からの借入金となります。設備投資等の長期資金需要は、自己資金又は金融機関からの長期借入金等により賄い、運転資金等の短期資金需要は、主に自己資金により賄っております。なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は567億68百万円、有利子負債の残高は552億95百万円となっております。
(生産、受注及び販売の状況)
a. 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前期比(%)
飲料
32,329
△0.4
%
食品他
17,662
0.4
%
加工食品 計
49,991
△0.1
%
農
2,687
10.1
%
その他
215
8.4
%
国内事業 計
52,894
0.4
%
国際事業
32,715
△7.1
%
合計
85,610
△2.6
%
(注)
1
金額は製造原価によっております。2
金額は消費税等を含めておりません。
b. 受注状況
主要製品の受注生産は行っておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメント毎に示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
構成比(%)
前期比(%)
飲料
外部顧客に対するもの
74,270
3.1
セグメント間取引
-
-
計
74,270
40.5
3.1
食品他
外部顧客に対するもの
60,224
△0.4
セグメント間取引
-
-
計
60,224
32.9
△0.4
加工食品
外部顧客に対するもの
134,495
1.5
セグメント間取引
-
-
計
134,495
73.4
1.5
農
外部顧客に対するもの
10,189
6.5
セグメント間取引
-
-
計
10,189
5.5
6.5
その他
外部顧客に対するもの
783
△16.3
セグメント間取引
3
△99.9
計
786
0.4
△79.6
調整額(注1)
△3
-
外部顧客に対するもの
145,468
1.7
セグメント間取引
-
△100.0
国内事業
計
145,468
79.4
1.7
国際事業
外部顧客に対するもの
37,572
△0.8
セグメント間取引
6,772
3.6
計
44,344
24.2
△0.1
調整額(注2)
△6,772
△3.7
連結売上収益
183,041
100.0
1.2
(注) 1
国内事業内のセグメント間売上収益を消去しております。2 国内事業と国際事業間のセグメント売上収益を消去しております。
3
金額は消費税等を含めておりません。4
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社日本アクセス
32,725
18.1
34,222
18.7