【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当第3四半期連結累計期間(2022年1月1日から2022年9月30日)は、新型コロナウイルス感染症や、地政学リスクの高まりの影響により、エネルギー価格の高騰、サプライチェーンの混乱、円安の進行など、事業を取り巻く環境が大きく変化しました。このような環境の下、売上収益は、主に国際事業が円安や米国外食需要の回復などにより増収となりました。他方、価格改定を上回る原料価格の高騰や販売促進費の積極的投下により、事業利益(※)は減益となりました。
以上により、当第3四半期連結累計期間の売上収益は、前年同期比6.2%増の1,506億7百万円、事業利益は前年同期比16.5%減の98億85百万円となりました。営業利益は、前年同期比13.4%減の101億9百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比15.9%減の66億15百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
セグメント別の業績の概況は次の通りであります。当第1四半期連結累計期間より、報告セグメントの区分を変更しております。詳細は、「第4 経理の状況」「要約四半期連結財務諸表に関する注記事項」の5.セグメント情報をご参照ください。なお、前第3四半期連結累計期間については、当該変更に基づき遡及して作成した数値となっております。(単位:百万円)
セグメントの名称
売上収益
事業利益(△は損失)
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
前第3四半期連結累計期間
当第3四半期連結累計期間
増減
飲料
57,740
57,631
△108
7,206
5,768
△1,437
通販
9,832
9,849
16
949
944
△5
食品他
34,811
35,256
445
2,862
2,166
△696
国内加工食品事業 計
102,384
102,737
352
11,018
8,879
△2,139
国内農事業
7,244
7,259
14
76
249
173
国際事業
37,080
46,649
9,568
1,884
1,952
67
その他
1,480
1,667
187
△7
59
67
調整額
△6,362
△7,705
△1,342
△1,135
△1,255
△120
合計
141,827
150,607
8,780
11,837
9,885
△1,952
<国内加工食品事業>国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。当事業における売上収益は、前年同期比0.3%増の1,027億37百万円、事業利益は、前年同期比19.4%減の88億79百万円となりました。
[飲料:「野菜生活100」シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他]野菜飲料においては、日本における野菜摂取量を「あと60g増やす」ことを目指した『野菜をとろうキャンペーン』を推進し、積極的な販促活動を実施しました。「野菜生活100」シリーズは、前年の内食需要の反動があり、主にホームパックの需要が減少しました。なお、植物性ミルクの新ブランド「畑うまれのやさしいミルク」を2022年3月29日より全国で発売しております。以上により、飲料カテゴリーの売上収益は、前年同期比0.2%減の576億31百万円、事業利益は、『野菜をとろうキャンペーン』や、植物性ミルクの新ブランド認知拡大を目的としたプロモーション費用の投下や、原料価格の高騰により、前年同期比19.9%減の57億68百万円となりました。
[通販:野菜飲料、サプリメント、スープ等の通信販売]通販カテゴリーでは、主に、野菜飲料、サプリメント、スープなどの製造・販売を行う通信販売「健康直送便」を手掛けております。広告宣伝の顧客獲得効率低下により野菜飲料が前年を下回ったものの、サプリメントが好調に推移したことにより、売上収益は前年同水準となりました。その結果、通販カテゴリーの売上収益は、前年同期比0.2%増の98億49百万円となりました。事業利益は、広告宣伝費の増加により、前年同期比0.6%減の9億44百万円となりました。
[食品他:トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答品、他]原材料であるトマトペースト価格の高騰などから、2022年4月1日より家庭用、業務用の一部トマト調味料の出荷価格の改定を行いました。食品カテゴリーは、内食需要に対応した「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化しましたが、価格改定による一時的な需要の落ち込みにより、売上収益は減収となりました。業務用カテゴリーは、外食需要の回復に価格改定による販売単価の上昇も相俟って、売上収益は増収となりました。ギフト・特販カテゴリーは、受託製品の販売が減少したことで、売上収益は減収となりました。以上により、食品他カテゴリーの売上収益は、前年同期比1.3%増の352億56百万円、事業利益は、原材料価格の高騰や、ケチャップの販売促進費の増加により、前年同期比24.3%減の21億66百万円となりました。
<国内農事業>国内農事業では、主に生鮮トマト、ベビーリーフ等の生産・販売を手掛けております。当第3四半期連結累計期間は、天候等の影響により生鮮トマトの取扱量が減少したものの、市況が前年を上回ったことにより、売上収益は前年同期比0.2%増の72億59百万円となりました。事業利益は、構造改革による固定費削減効果もあり、前年同期比約3倍の2億49百万円となりました。
<国際事業>国際事業では、種子開発から農業生産、商品開発、加工、販売事業を展開しております。
主な子会社における現地通貨建業績の概要は以下の通りです。KAGOME INC.(米国)は、米国外食需要の回復により、新規顧客を含むフードサービス企業向け販売が好調に推移したこと、およびコスト上昇に伴う価格改定を実施したことにより増収となりました。利益面では、継続的な原料価格や物流費などのコスト上昇による影響があったものの、同社持分法適用会社であるIngomar Packing Company, LLCの利益が増加したことにより、増益となりました。Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(ポルトガル)は、主力商品であるトマトペースト価格が上昇したことなどにより増収となり、エネルギー価格の急激な高騰があったものの増益となりました。Kagome Australia Pty Ltd.(豪州)は、アップルペーストなどの販売が好調だったことにより、増収となりましたが、当第1四半期連結累計期間に発生した品質不具合による一時的な損失などにより減益となりました。
以上により、国際事業における売上収益は、前年同期比25.8%増の466億49百万円、事業利益は、前年同期比3.6%増の19億52百万円となりました。
<その他事業>その他事業には、不動産事業、業務受託事業、新規事業等が含まれております。売上収益は、前年同期比12.6%増の16億67百万円、事業利益は59百万円(前年同期は事業損失7百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況当第3四半期連結会計期間は、資産合計につきましては、前期末に比べ109億15百万円増加いたしました。流動資産につきましては、前期末に比べ41億49百万円増加いたしました。これは、主に「現金及び現金同等物」が、固定資産の取得や、自己株式の取得などにより149億69百万円減少したものの、原材料価格の高騰に備えた在庫の積み増しなどにより「棚卸資産」が131億97百万円、加えて「営業債権及びその他の債権」が24億89百万円、円安によるデリバティブ資産の時価増加などにより「その他の金融資産」が15億31百万円、それぞれ増加したことによります。非流動資産につきましては、前期末に比べ67億65百万円増加いたしました。これは、主に円安によるデリバティブ資産の時価増加や、プラントベースフードのスタートアップ企業である株式会社TWOへの出資などにより「その他の金融資産」が31億2百万円、当社の製造設備の更新などにより「有形固定資産」が30億98百万円、それぞれ増加したことによります。負債につきましては、前期末に比べ74億52百万円増加いたしました。これは、主に運転資金の増加に伴い「借入金」が38億80百万円増加したことや、「その他の流動負債」が19億9百万円増加、「営業債務及びその他の債務」が11億23百万円増加したことによります。資本につきましては、前期末に比べ34億62百万円増加いたしました。内訳としては、円安の進行等により「その他の資本の構成要素」が72億65百万円、「親会社の所有者に帰属する四半期利益」により66億15百万円増加いたしました。一方で、自己株式の取得や処分により77億32百万円、剰余金の配当により32億77百万円、それぞれ減少しております。この結果、親会社所有者帰属持分比率は53.3%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,399円83銭となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況当第3四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、162億61百万円となり、前連結会計年度末比で149億69百万円減少いたしました。各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、25億68百万円の純収入(前年同期は115億50百万円の純収入)となりました。これは、主に税引前四半期利益が98億62百万円となったこと、減価償却費及び償却費が60億42百万円となったこと(以上、キャッシュの純収入)、棚卸資産が89億43百万円増加したこと、法人所得税等の支払いにより37億75百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)などによります。投資活動によるキャッシュ・フローは、79億37百万円の純支出(前年同期は117億59百万円の純支出)となりました。これは、主に有形固定資産及び無形資産の取得(投資不動産含む)により79億26百万円支出したことによります。財務活動によるキャッシュ・フローは、102億87百万円の純支出(前年同期は301億1百万円の純支出)となりました。これは、主に自己株式の純増加が77億86百万円、配当金の支払いにより32億75百万円支出があったこと(以上、キャッシュの純支出)によります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えております。当社の株式について、特定の買付者による大量取得行為が行われる場合に、株主の皆さまが当社の株式を売却されるか否かは、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えられますが、その前提として、株主の皆さまに適切かつ十分な情報をご提供したうえで、ご判断を頂くために適切かつ十分な期間と機会を確保することが重要と考えております。当社は、2021年開催の第77回定時株主総会終結のときをもって「当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)」を継続しない旨を決定し現在に至っておりますが、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組みa.企業価値向上への取り組み当社は、長期ビジョンや2025年のありたい姿の達成に向け、中期経営計画を策定し、経営課題に取り組むことで企業価値の向上を図ってまいります。b.コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組み当社では、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、体制の整備・運用を行うことで、経営の客観性、透明性を高め、高度なアカウンタビリティを実現し、真の「開かれた企業」を目指してまいります。
③ 本取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由本取り組みは、前述のとおり、基本方針の実現のため、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるために取り組むものであります。このため、当社取締役会は、本取り組みが基本方針に沿い、株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(5) 研究開発活動当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、28億73百万円であります。なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。